ウィンター(aespa)の歌い方|突き抜ける強さと、息を含む柔らかさをどう使うのか

ウィンター。Esquire Koreaのインタビュー掲載写真(2026年3月) ウィンター(aespa)
ウィンター。Esquire Koreaのインタビュー掲載写真(2026年3月)

ウィンターの歌い方を、よく通る高音だけで説明すると、デュエットやバラードでの表情が抜け落ちます。
曲ごとの声の選択を見ると、高音の印象とは別の魅力も分かります。
声の強さや柔らかさを、どの曲で、何を伝えるために選ぶのか。
「Officially Cool」のような相手のいる歌も含めて、その選択を考えてみます。

力強さと息の混ざる声は、二つとも本人の持ち味

ウィンターは2026年、強く充実させた声と、息を含ませたきれいな声を、どちらも自分の音色と説明しています。
声の質感をどう選ぶかについての話です。

また、録音後も気になる細部として、息の音の強さや発音を挙げています。
周囲が良いと判断しても、本人にとっては残しておけない差があるのです。
二つの声を大まかに切り替えるだけでなく、そこにどの程度の息を含め、どう言葉を置くかまでが選択になります。
声量の大小だけでは説明できないところに、本人のこだわりがあります。

本人は、力強く前へ出る声を得意なものに挙げています。
そこで使う「ダンピング」は、声の勢いについての本人の感覚的な表現です。
強い声を自覚しているからこそ、それ以外の曲で何を選ぶかにも目を向けられます。

はっきり聞こえる言葉も、出発点は発音だけではない

歌やラップの言葉が明瞭だという印象に対して、本人は、発音よりも感覚や感情を意識すると答えています。
ラップの経験がない状態から、録音のディレクターとやり取りして修正してきたことも話しました。
はっきりした言葉は、最初から完成していた癖が出ているだけではないのです。

ここで注目したいのは、子音を強くすればよい、という説明になっていないことです。
何を感じている人物として、その言葉を出すのか。
そこが変われば、同じ明瞭さを保っていても、強気にも親しげにも聞こえる余地があります。
ウィンターの発言は、言葉を伝える技術と、曲の人物を表すことがつながっていると教えてくれます。

だから、ラップを担当する曲とバラードを同じ「滑舌の良さ」で一括りにはできません。
発音が聞き取りやすいかに加え、その言い方が曲の感情に合っているかを見ると、歌い分けの意味を捉えやすくなります。

ウィンター。GQ Koreaのインタビュー掲載写真(2024年11月)
ウィンター。GQ Koreaのインタビュー掲載写真(2024年11月)。
画像出典:画像掲載元

「Officially Cool」では、一人の強さより声同士の関係が見える

2024年の「Officially Cool」は、バン・イェダムと歌う、KENZIE制作のデュエットです。
別れたあとも平気なふりをする二人を扱い、リズムのあるポップな曲調に、気持ちを隠しきれない関係を置いています。
予想をずらすメロディーやシンセサイザー、後半のコーラスも、曲の表情を作っています。

イェダムは、ウィンターの美しい声を初めから期待していたと話しました。
彼女の声が、強い曲を突き抜けるためだけのものではなく、この二人の組み合わせに必要な音色として選ばれていたことが分かります。

二人が単に交互に歌うだけでなく、互いに関わるところが、このデュエットの聴きどころです。
抑えた曲調の中で、それぞれの声が相手とどのような関係を作るか。
一人ずつの声の良さに加え、二人になったときのやり取りへ耳を向けると、この曲の面白さが見えてきます。

この場合、歌の役割は一人で場を支配することではありません。
相手の声があることで、自分の言葉も会話の一部になります。
大きな声で歌える人が、毎回最大の強さを見せる必要はない。
ウィンターの柔らかな側面を考える際に、ソロの静かな歌だけでなく、このような相手との距離がある曲も欠かせません。

「On Such a Day」の透明感は、歌が向かう相手と結びつく

2025年には、ドラマ『いつかは賢いレジデント生活』のOSTで「그런 날(On Such a Day)」を歌っています。
HENが詞曲を手掛け、編曲とピアノも担当したバラードです。
ウィンターの澄んだ声に温かな感情が重なり、バラードの表情を作っています。

ここでいう透明感は、ただ細く歌うことと同義ではありません。
歌が温かさを伝えるものとして作られている以上、音色の明るさと、聴く人を包むような感情の向きが一緒に働くことになります。
「Black Mamba」で求められた力強さとは、曲の中で声に担わせる役目が違います。

グループ曲の高音とこのOSTを並べるときも、どちらが難しいか、どちらが本当の実力かだけで比べると狭くなります。
同じ歌手が、作品に合わせて前へ出る力と温かな表情の配分を変える。
声の特徴を曲の目的と結びつけることで、柔らかな歌唱も独立した選択として理解できます。

ウィンター。Harper’s BAZAAR Koreaのインタビュー掲載写真(2025年9月)
ウィンター。Harper’s BAZAAR Koreaのインタビュー掲載写真(2025年9月)。
画像出典:画像掲載元

「Dirty Work」のクールさは、声を目立たせる別の方法

2025年のaespaの「Dirty Work」は、以前の力強いボーカルとは違う、落ち着いたクールな声色を打ち出した曲です。
ジゼルも、強い楽器音を重ねる方向より、声に焦点を合わせる構成だと話しています。
これはグループ全体の制作についての発言です。
ウィンターだけの発声法を説明した証言とは分けて受け取る必要があります。

それでも、彼女の強い声を考えるうえで大切な対照例になります。
伴奏の圧力を声の圧力で押し返す場面ばかりが、ボーカルの見せ場ではありません。
声を前面に置ける構成では、勢いを抑えた言葉の出し方も、曲の態度を決める要素になります。
強さをいつも足すのではなく、落ち着いた質感によって存在感を作る曲もあるのです。

ウィンターの歌を「鋭いから」と一言で説明したくなったとき、この曲とOSTの違いは役に立ちます。
同じ柔らかな側へ寄る表現でも、クールさを作るのか、温かさを届けるのかで、目指す表情は変わります。

その声を、もう一度自分で選べるか

「Whiplash」の録音について、ウィンターは偶然うまく歌えただけでは納得しないという考えを語っています。
必要なときに再現できなければ、自分の力として受け取れないからです。

力強い声と息を含む声を持っているだけでは、歌い分けは完結しません。
その曲の言葉に、相手の声に、伴奏のあり方に合わせて選び、次にも選べることが必要になります。
ウィンターの歌い方の核は、響く声そのものに加えて、何を求めてその声を出すかを確かめる姿勢にあると考えられます。
こうした考え方が、デビューからどのように広がったかは、ウィンター(aespa)の歌唱変遷でたどっています。

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