ナヨン(TWICE)の歌い方|歌のエネルギーと、言葉に合わせる声の表情

ナヨン(2024年掲載の写真) シンガー
ナヨン(2024年掲載の写真)

ナヨンのソロ作品には、曲の勢いを保つ工夫や、言葉の意味から声を考える取り組みがあります。
「POP!」「ABCD」「Butterflies」を手がかりに、歌の表情の作り方を見ていきます。

ナヨン「ABCD」(2024年)のMV。

「POP!」は、高いエネルギーを保つ

「POP!」の録音では、高いテンションとエネルギーを維持するのが難しく、一部を何度も録り直したと話しています。
曲の明るさを保つことが、この録音での課題でした。

ナヨン「POP!」(2022年)のMV。

「Sunset」まで聴くと、柔らかい表情も見えてくる

「POP!」が印象に残っている人には、同じ「IM NAYEON」に収録された「Sunset」も、声の幅を知る曲になります。
NMEのRhian Dalyは、アルバムの冒頭にある「POP!」と、最後の「Sunset」を、それぞれ優れた曲として取り上げました。

その評価では、「POP!」の自信に満ちた明るさに対し、「Sunset」は、より物悲しく、柔らかく、ジャズの趣を持つ曲とされています。
一枚のアルバムの中で、聴き手を弾ませる歌と、静かな気持ちへ導く歌が並んでいるのです。

この二曲を比べると、ナヨンの歌の魅力を、明るさだけで捉えずに済みます。
元気な曲で高いエネルギーを保つことと、柔らかな曲の空気を聴かせることは、求められる表情が違います。
曲の始まりから終わりまで、どんな気分を保とうとしているかに目を向けると、声の聴き方も変わります。

「ABCD」は、余裕のある歌の運びにも目を向ける

2024年の「ABCD」を取り上げた韓国のKorea JoongAng Dailyは、その歌唱を、クールで余裕のある運びと評しています。
本人も「NA」では、前作よりクールで強い一面を見せたいと話していました。

この曲を聴くときは、そうした余裕のある声の運びに注目すると、表現を捉える手がかりになります。
前作で高いエネルギーを保とうとした話と合わせると、曲の印象を決める歌の運びにも目を向けられます。

「ABCD」の録音については、2024年の会見で、Pdoggが細部までディレクションしてくれたことも語っています。
ナヨンは、録音のときに初めて会ったPdoggと、息が合ったと感じたそうです。
曲を作った人と、声の具体的な出し方をすり合わせる制作だったことがうかがえます。

完成した歌から受ける余裕と、録音を細かく整える作業は、別々に考える必要があります。
さらりと歌っているように感じられる曲でも、その形にするまでには、制作現場での調整があります。
ナヨンが語った録音の経験は、完成した声を聴く際に、その表情が選び取られたものであることを思い出させます。

「Butterflies」は、言葉から声のニュアンスを考える

言葉への関心は、自分で歌詞を書くときにも表れています。
2022年の会見でナヨンは、「All or Nothing」には、つらい時期を乗り越える支えになったものを書いたと説明しました。
最初のソロ作品に、自分だけで歌詞を書いた曲を入れたいという思いもあったそうです。

英語曲を収めた「NA」の準備では、歌詞を正しく理解して声の調子や感情を伝えられるよう、単語を調べていたと話しています。
「Butterflies」が恋の高揚感を表す言い方にもなると知ったことも、その一例でした。

この話から分かるのは、言葉の理解を、声のニュアンスにつなげようとする姿勢です。
本人が言葉から受け取った感情が、どんな声の表情を選ぶ手がかりになったのか。
英語曲での歌い方を考えるときにも、耳を向けたい点です。

ナヨン「Butterflies」(2024年)の公式音源。

ナヨン(2024年掲載の写真)
ナヨン(2024年掲載の写真)。
画像出典:画像掲載元

共演する声を、曲の中でどう組み合わせるか

「NA」には、ナヨン一人の声だけでなく、別の歌手の声が加わる曲もあります。
「Heaven」ではSam Kim、「Magic」ではKISS OF LIFEのJULIEと共演しています。
NMEの取材でナヨンは、Sam Kimの音楽が以前から好きで、レーベルから共演の提案を受けたと話しています。

「Magic」ではラッパーが必要になったときに、まずJULIEを思い浮かべ、共演したいと伝えたそうです。
誰の声が入るかも、曲の表情を作る選択の一つになっています。
歌とラップが交替するときには、それぞれの声の違いと、同じ曲としてまとまる感覚の両方に耳を向けられます。

GRAMMY.comの取材でも、JULIEのパフォーマンスを見て気に入り、参加を強く希望したと説明しました。
一方、その取材時点では、参加したアーティストたちと直接会って話す機会はあまりなかったとも明かしています。
共演曲で声が自然につながっていても、それが同じ場所で一緒に録音したことを意味するわけではありません。

NMEでは、「Butterflies」「Heaven」「Magic」の三曲が英語で歌われることも紹介されています。
言葉と共演者の声、その両方が替わる中で、自分の声をどう置くか。
「NA」の収録曲には、その違いを聴き比べる面白さがあります。

「Heaven」と「Count It」で、穏やかな声に耳を向ける

「ABCD」の強い印象から少し離れると、同じ「NA」の中にある柔らかい歌唱にも気づきやすくなります。
Bollywood Hungamaのアルバム評では、「Heaven」は滑らかなR&Bの歌として取り上げられ、高音を押し出すことより、柔らかな歌唱が印象に残ると評されています。

さらに、最後の「Count It」では、低めの声の領域と柔らかな歌い方に注目しています。
落ち着いたR&Bの伴奏の中で、ナヨンの声が聴き手を引き込むという評価です。
これは声域の測定ではなく、その曲を聴いた評者が捉えた歌の表情です。

この二曲では、どこで歌を強く印象づけるかを、高音の見せ場以外にも探せます。
穏やかな曲の中で言葉をどう響かせるか、伴奏と声がどうなじむかも、歌を聴く楽しみになります。
「POP!」のエネルギーや「ABCD」のクールな表情と並べると、曲に合わせて見せる面の違いがわかりやすくなります。

録音された声と、ライブで歌う声の違い

録音の音をどう受け止めるかについて、ナヨンは具体的な話もしています。
2022年のTeen Vogueの取材で取り上げたのは、TWICEの「I’m Gonna Be a Star」でした。

自分のパートにはオートチューンによる加工があり、コンサートでは録音された声を同じように表現できないと説明しています。
音源で聴く声には、歌った声に制作上の処理が加わる場合もあるのです。
その違いを踏まえて聴けば、ライブでの表情を、録音と同じかどうかだけで判断せずに楽しめます。

1曲を自分で歌う怖さから、ソロの録音経験を重ねていく歩みは、ナヨン(TWICE)の歌唱変遷でたどっています。

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