さまざまな歌を歌えることが自分の魅力。
そう答えたニンニンが、同じ取材で、これから自分のスタイルを探したいとも話していた。
2022年のその問いを経て、2024年には、自身も作詞に参加したソロ曲「Bored!」を披露する。
歌える幅を持つ声で、自分の一曲に何を選ぶのか。
本人の言葉と公演の記録から、その表現の探し方をたどりたい。
「Bored!」の公式本人カメラ映像(2024年ソウル公演/同年11月公開)。
本文で触れる2025年Kia Forum公演とは別の舞台です。
2021年、録音する前に、歌の中の役を思い描く
ニンニンは、2020年にデビューしたaespaのメンバーだ。
2021年のミニアルバム『Savage』の取材で、すでに歌うための準備を具体的に話している。
録音前に大切にしていたのは、曲のメッセージと雰囲気をつかむことだった。
映画のように場面を思い浮かべ、自分はどんな役で、何が起き、何を感じているのかを考えてから録音に入るという。
歌う前に、声で演じる人物と、その人物がいる場面を定める。
ニンニンは、音を出す前の段階から、曲に合う表情を準備していたのである。
当時の歌声について、NMEのCarmen Chinは、表題曲でウィンターとニンニンの幅広い音域が曲を彩ると評していた。
「Savage」の公式ミュージックビデオ(2021年公開)。
2022年、歌える幅を持ちながら、自分のスタイルを探す
翌2022年、歌い手としての魅力を聞かれ、さまざまな歌を歌いこなし、いろいろな姿を見せられることを挙げた。
一方、何が自分に最も合うかという問いには、自分でも気になる、これから自分のスタイルを探したいと答えている。

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ヒップホップを聴くのは大好きだが、好きなことと上手にできることは別、とも話していた。
対応できる歌の幅を持つことと、その中から自分の表現を定めることは、並行して進んでいたのだ。
同じ取材では、録音室で歌や歌詞を考え、どう歌いこなすかを頭の中で計画しているとも説明している。
歌うことには自信がある。
その自信があっても、自分に最も合う表現への答えは、まだ探している途中だった。
この取材で、おすすめの一曲として選んだのは、2021年の『Savage』収録曲「Lucid Dream」だった。
表題曲に加え、アルバムの終わりに置かれたこの曲も、本人が気に入っていた。
「Lucid Dream」のレーベル提供音源(2021年配信)。
NMEのアルバム評では、「Lucid Dream」は強い曲が続いた後に穏やかに着地する一曲として紹介され、グループの息を感じさせる声の重なりにも触れられている。
初期のaespaの作品の中にも、声を強く押し出す歌とは違う表情があった。
ニンニンが好んだこの一曲を手がかりにすると、後のソロでの抑えた歌も、さまざまな選択肢の中で考えられる。
2023年「Wake Up」、一人で舞台を担う経験
ソロで表現を試す場は、「Bored!」以前にもあった。
2023年の初単独コンサート「SYNK : HYPER LINE」で、ニンニンは「Wake Up」を披露している。
翌年1月には、この最初のコンサートを忘れられない活動として振り返った。
その背景には、デビュー当初の事情もある。
コロナ禍でファンと直接会う機会が乏しく、本人はデビューした実感を持ちにくかったと話していた。
歌を準備して披露するだけでなく、目の前の人へ届いたと感じられる舞台が、少しずつ増えてきたのである。
本人によると、ツアー前は心配でいっぱいだったが、「Wake Up」のソロステージで、その不安が晴れた。
この振り返りを伝えたCine21は、歌、ラップ、振り付けを一人で担う姿に注目している。
グループの一部を歌う経験に、一曲を自分で引き受ける経験が加わった。
「Wake Up」とウィンターの「Lips」の公式録音メイキング(2023年公開)。
一方、当時のソウル公演を評したNMEのRhian Dalyは、「Wake Up」に期待した鋭い刺激が十分には届かず、平板に感じたと書いている。
本人にとって忘れられない舞台も、見る側には異なる手応えを残す。
一人の表現をどう客席へ届けるかは、ここからも試していく課題だった。
その年の日本公演での「Wake Up」は、映像作品『aespa LIVE TOUR 2023 ‘SYNK : HYPER LINE’ in JAPAN -Special Edition-』にも収められている。
2024年のソロ曲「Bored!」、個人の表情を前へ出す
次のツアーへ向かう際、ニンニン自身も、前の経験から変えたいことを持っていた。
2024年のAllure Koreaでは、初ツアーには心残りが多く、二度目はその経験を生かして、やり残したことに挑もうと準備したと振り返っている。
印象深い公演に選んだのは、「SYNK : PARALLEL LINE」の始まりとなったソウル公演だった。
ファンの熱い反応も受け、今回は心残りがあまりないと話していた。
2024年には、ツアーのソロ曲として「Bored!」を披露した。
同曲は10月9日に『SYNK : PARALLEL LINE – Special Digital Single』の一曲として配信され、ニンニンも作詞に参加している。
「Bored!」のレーベル提供音源(2024年10月9日配信)。
ソロの制作への関わりについて、ジゼルは2025年のLA Weeklyの取材で、メンバー自身が音楽や演出、振り付けを考える役割を持ったと説明していた。
歌を受け取って表現を準備するところから、自分のステージをどんな音楽と見せ方にするかにも関わる。
歌い手の選択が、一曲を取り巻く部分へ広がっていた。
そこで見せた歌の表情を、2025年、米国Kia Forum公演のレポートが伝えている。
取材したK-Pop ConcertsのKatie D.は、ニンニンがそれまでの曲では動きにも歌声にも力を惜しまなかったのに対し、「Bored!」では抑えた、繊細なパフォーマンスを見せたと評した。
エアリーな歌声が、曲の中の落ち着かない感情や無関心を描いていた、という受け取り方だ。
同じ歌い手が、ソロでは抑えた質感を一曲の表情にする。
得意な声をいつも同じように出すのではなく、曲に合う出し方を選ぶ姿が、この記録にはある。

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2026年も続く、自分の表現を探す問い
2026年8月の取材でも、ニンニンは自分の表現について考え続けている。
世界各地のファンに会える機会への感謝を述べながら、K-POPアイドルとして、本当の自分を観客に見せることが今も難しいと話した。
自分のソロを持ち、舞台での経験を積んでも、自分らしさの探索が終わったわけではない。
多様な歌を歌えることを魅力に挙げた時期から、ソロで抑えた声を聴かせる舞台へ。
ニンニンの歩みから見えるのは、声の幅を持ちながら、その声で自分をどう表すかを探し続ける過程だ。
会話のように始める歌や、低い声に寄せられた評価は、ニンニンの歌い方で取り上げている。

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