AYANE(ME:I)の歌声の変遷|強い個性に、かわいさと柔らかさを重ねるまで

高見文寧(2023年のオーディション公式プロフィール) AYANE(ME:I)
高見文寧(2023年のオーディション公式プロフィール)

AYANEの歌声には、一度聴くと覚えてしまう個性があります。
けれど、その個性をいつも同じ形で出してきたわけではありません。
曲の人物を考えること、かわいい声を求められること、仲間と一つの歌を作ること。
ME:Iとしての歩みをたどると、持ち味を残したまま、声の使いどころを広げてきた過程が見えてきます。

2023年のオーディションでの「First Love」(高見文寧の個別カメラ)。

デビュー前|歌だけでなく、ステージ全体を考えていた

学生時代のAYANEは、軽音楽部で本気で音楽に取り組んでいました。
他校との差をつけるには、歌うことだけでは足りない。
そう考えて、ステージの構成にも工夫を凝らしていたといいます。
自作曲を求められる大会もあり、作詞作曲にも向き合いました。
声を出す人であると同時に、その声をどんな曲や場面に置くかを考える人でもありました。

2023年の『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』には、高見文寧の名前で参加します。
「好きと言わせたい」では、普段の話し声と歌声の違いが、早くから注目されました。
ただ、強く歌う場面だけが持ち味ではありません。
「First Love」では優しいバラードにも挑戦し、「TOXIC」では挑発的な表情を見せています。
この段階ですでに、曲の中で違う人物になるような歌い分けがありました。

環境が変わっても、自分の力を出すことを学びました。
初めての韓国で戸惑っていた合宿中、YUMEKIから、活躍する人はどこでも力を出せると教わったといいます。
本人の記憶に残ったのは、自分の軸を持つことの大切さでした。
慣れた場所でよく歌えることから、知らない場所でも曲へ向かえることへ。
歌の外側にある準備も、舞台へ立つうえでの課題になっていました。

2024年春|曲を理解しながら、自分の声も残す

ME:Iは2024年4月、シングル『MIRAI』でデビューしました。
タイトル曲「Click」の終盤では、AYANEとTSUZUMIのアドリブが聴きどころの一つになります。
一方、収録曲「Sugar Bomb」では、別の難しさに出会いました。
録音で曲について詳しく教わり、その意図をくみながら、自分らしさも出すことに苦戦したといいます。
求められた雰囲気に合わせることと、自分の声として歌うこと。
デビュー作から、その二つを同時に考えていたのです。

2024年の『MIRAI』収録音源。

AYANE(2024年、「Hi-Five」発表期)
AYANE(2024年、「Hi-Five」発表期)。
画像出典:画像掲載元

2024年夏|「Cookie Party」で、かわいい歌にも手応えを得る

2枚目のシングル『Hi-Five』に入った「Cookie Party」は、かわいらしさが前に出る曲でした。
制作には、オーディションの「TOXIC」と同じ作家が関わっています。
AYANEは録音中に悔しい思いもしましたが、以前から知る作家に、かわいい曲も歌えるようになったと評価されました。
かっこいい曲で目立つ声が、別の曲調でも役割を持てる。
持ち味を狭く決めずに、作品へ合わせる幅を増やした経験です。

同じ夏の『2024 ME:ICONIC Hi-Summer』では、「Our Diary」が公演を締めくくりました。
ゆったりした曲の中で、メンバーはハンドマイクで優しく歌い、最後のサビにはAYANEの高音フェイクが加わります。
柔らかな流れのまま終えるだけでなく、終盤で声を広げる。
穏やかな曲と力のある高音が、一つのステージの中でつながっていました。

2024年のダンス練習映像。

2024年末|映画の主人公を、みんなの声で描く

『モアナと伝説の海2』の日本版エンドソング「ビヨンド ~越えてゆこう~」は、普段のME:Iの曲とは違う挑戦でした。
ドラマチックな構成とサウンドの中で、複数の声に一体感を出すことが難しかったと、AYANEは振り返っています。
そこで、メンバー全員がモアナになったつもりで歌いました。
個々に違う声を持ちながら、同じ人物の決意へ向かう。
曲の中でどんな自分を見せるかに加え、全員で何を語るかも大切になったのです。

2025年|「MUSE」から、表現の幅を一枚のアルバムへ

2025年4月の「MUSE」では、かわいらしさに大人っぽさも加わりました。
AYANEは、録音の順番が後ろになることが多く、自分の前後を歌うメンバーの声を聴けたと話しています。
そこで感じたのは、これまでとは違う歌唱の表情でした。
透き通った声を持つメンバーも、声の引っ掛かりやアクセントを使っていた。
仲間の新しい選択を聴くことが、グループで表現できるものへの期待につながっていました。

AYANE(2025年、『WHO I AM』インタビュー掲載写真)
AYANE(2025年、『WHO I AM』インタビュー掲載写真)。
画像出典:画像掲載元

同年9月の初アルバム『WHO I AM』では、強い曲もバラードも、一枚の中に並びます。
「Fan Letter」についてRINONは、一人ひとりの声がよく聴ける曲であり、AYANEのボーカルには特に力強さを感じると語りました。
静かな曲だから個性を消すのではなく、その声で思いを伝える。
さまざまな曲を持つことが、メンバー同士の声を聴き直す機会にもなっていました。

この時期のAYANEは、曲ごとに声の出し方を研究していると説明しています。
「Royal Energy」では、それまでのME:Iとの違いを見せ、「Fan Letter」では柔らかく歌う。
初期に持っていた歌い分けを、作品全体の設計として、より意識的に使う段階へ進んでいました。

2025年の対談では、曲を客席へ開く力にも注目が集まりました。
MIUが見習いたいと感じたのは、フェスで「TOXIC(ME:I Ver.)」を披露したAYANEの姿でした。
客席をあおり、自由に踊る集中力に、高校時代のバンド活動を感じたというのです。
オーディションで自分の魅力を示した曲が、今は観客の反応を引き出す曲にもなる。
同じ曲名でも、歌い手が向き合う相手は広がっています。

2026年|三人のカバー、そして同じ曲の新しい舞台

2026年3月には、MIU、AYANE、TSUZUMIの三人による「Golden(Japanese Ver.)」のカバーが公開されます。
AYANEは難曲への焦りと、挑戦できる喜びの両方を感じていました。
録音でも緊張したものの、その時の精いっぱいを出せたと振り返っています。
大きなグループの一員として歌う曲に加え、三つの声を中心に聴かせる場が生まれたのです。

同年の本人は、聴く音楽の幅も広げようとしていました。
2025年夏頃からヒップホップを深く聴くようになり、言語を問わずラップにも親しみたいと話しています。
すでに得意な歌を磨くだけでなく、声の動かし方の異なる音楽へ関心を向ける。
それは、次にどんな歌い方を選べるかを増やすための、開かれた姿勢でもあります。

夏の『LuckyFes’26』では、「Cookie Party」と「Hi-Five」をバンドアレンジで披露しました。
後者では、AYANEとTSUZUMIが同時に高音を響かせる場面が、舞台を盛り上げています。
2024年に録音で向き合った曲が、2026年には、客席と声を交わすロックなステージの一部になる。
新曲を増やすだけでなく、すでにある歌を別の場で生かす歩みも続いています。

「花咲く道」の発表期には、2025年のツアーを越え、舞台への向き合い方や、自分を見つめる力が変わったとも話しました。
メンバーへの信頼が増し、成長を実感する瞬間には驚きと安心もあったそうです。
声の表現を増やす歩みと、共に歌う相手を信じられるようになる歩みは、並んで続いていました。
経験を積んだ自分たちで、新たなロックバラードへ向かう時期だったのです。

AYANEの変遷は、特徴的な声を薄めて、何にでも同じように馴染むようになったという話ではありません。
曲の人物や仲間の声を受け取り、かわいさ、柔らかさ、高音の強さを使う場面を増やしてきた歩みです。
声に気づいてもらうところから、その声で何を伝えるかへ。
具体的な使い分けは、AYANE(ME:I)の歌い方で詳しく扱っています。

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