BLACKPINKでは、ほかのメンバーと一曲を分け合っていたロゼ。
ソロになった時、課題になったのは、自分の声で最初から最後まで歌を運ぶことでした。
短い担当部分に力を注ぐ歌唱から、一曲全体を見渡す歌唱へ、考える単位が変わったのです。
2021年の『R』、2024年の『rosie』、そして2026年の「new trick」。
その歩みには、声の質感を見つけることと、どんな自分をその声で伝えるかを選ぶことが重なっています。
「On The Ground」―2021年発表曲の公式MV
2021年、『R』で一曲を歌い切る難しさを知る
2016年にBLACKPINKの一員としてデビューしたロゼは、2021年3月に初のソロ作品『R』を発表します。
収録曲は「On The Ground」と「Gone」。
発表時の記者会見では、「Gone」は約2年前に、「On The Ground」は数か月前に録音した曲だと説明していました。
同じ作品に並ぶ二曲も、同じ時期に一度で出来上がったものではありません。
自分の名前で出す最初の作品には、どんな自分を託すのか。
BillboardのNolan Feeneyによる取材で、ロゼは、その選択が怖かったことも明かしています。
完璧を求めて決めきれない自分を、メンバーやプロデューサーが後押ししてくれました。
「On The Ground」に重ねたのも、活動の慌ただしさの中で、自分がどこへ向かっているのかと考えていた気持ちです。
一曲を歌う前に、そこで何を伝えたいのかを選ぶ難しさがありました。

画像出典:写真掲載元
同じ取材では、歌唱の課題も具体的に話しています。
グループでは15〜20秒ほどの担当部分へ力を込めるのに対し、ソロでは約3分間、すべての行を自分で担う。
その全体へエネルギーを配分できるよう、練習室で歌い方を探っていました。
その挑戦を支えたのは、BLACKPINKで積んできた経験でした。
ロゼは、練習生時代の一人での評価よりも、グループで活動した約4年間から多くを学んだと振り返っています。
ソロの負担が増しても、舞台や制作を経験してきたことが、自分なら取り組めるという安心につながっていました。
さらに、ソロを通して、生々しく粗さのある、話すような声を見つけたとも話します。
本人が金属を連想させると表した、その声の質感も、グループに持ち帰ってみたいものでした。
「Gone」―2021年発表『R』収録曲の公式MV
ソロで得たものを、BLACKPINKの歌にも生かしたい。
活動を分けるだけでなく、そこで試した声を次の表現へつなげようとしていたところに、この時期の転機があります。
2024年、『rosie』では、見せたくない気持ちも歌の中心へ
2024年12月発表の『rosie』では、歌で伝える自分の姿が、さらに個人的なものになります。
Apple Musicでの本人の説明によると、作品に収めたのは、友人や家族と話すような自分の20代でした。
身近な人が呼ぶ名前を題名にしたアルバムは、聴き手との距離を縮めるものでもあったのです。
その制作は、BLACKPINKの「BORN PINK」ワールドツアーを終えた後、ロサンゼルスで進みました。
i-Dの取材によると、ツアー後に行き場を失ったように感じていたロゼにとって、スタジオは気持ちを落ち着けられる場所になっていきます。
ただ、宿泊先を移りながら一人で過ごす時間には、孤独もありました。
自分だけの名前を掲げる心細さと、それでも自分の曲を作りたい気持ちが、同時にあったのです。
冒頭曲「number one girl」は、人からどう見られるか、どう認められたいかという気持ちを扱っています。
ロゼは、ネット上の反応を明け方まで読み続けていた日のことを明かしました。
自分でも認めたくなかった感情を、スタジオでは正直に出そうとしたといいます。
「number one girl」―2024年発表曲の公式MV
取材したShaad D'Souzaは、この曲で承認を求める姿の生々しさを、BLACKPINKの強気なイメージとの対照として捉えています。
また、制作に参加したAmy Allenも、できるだけ正直に向き合うことが、作品を作る際の方針だったと話しました。

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ここで広がったのは、強く見える自分以外にも、歌の中心を任せる選択肢です。
誰かに認めてほしい気持ちや、うまく整理できない感情まで、一人の歌い手の声で届ける。
『rosie』は、ソロで一曲を担うことの先に、その声で何を見せるかを問う作品になりました。
「APT.」では、ブルーノ・マーズと歌を録り直す
同じ2024年の「APT.」には、別の制作の経験がありました。
プロデューサーのCirkutは、Music Weekの取材で、韓国の飲み会のゲームをロゼがリズミカルに紹介したことから、曲が生まれたと説明しています。
掛け声とドラムから始まり、コードやメロディーを加えていった曲でした。
発端となった日のセッションでは、別の曲に一日を費やしていました。
終わり際の雑談で出てきたリズムに、作家のTheron Thomasが反応したのです。
翌日には、伴奏を流してマイクの前で案を試しながら、曲の形を作っていきました。
それでも、ロゼは初めから確信していたわけではなく、いったん制作の優先順位を下げていたといいます。
後からブルーノ・マーズが加わると、曲の一部を書き直し、ロゼの歌も録り直しています。
具体的には、サビへ向かう部分のメロディーを調整し、曲の途中に展開を変える部分を加えました。
Cirkutによると、そうしたセッションは4〜5回ありました。
共演相手の歌を完成した音源へ足すだけでなく、二人で曲と歌を仕上げ直す過程があったのです。
「APT.」―2024年発表、ブルーノ・マーズとの公式MV
自分の弱さを歌う「number one girl」と、掛け声を起点に共演者と作る「APT.」。
同じアルバムへ向かう時期にも、ロゼは、異なる入り口から歌を作っていました。
一つの声の印象にすべてをそろえるより、曲が求める自分を選ぶ幅が広がっています。
2026年、「new trick」で別のエネルギーを取り込む
2026年9月には、単独シングル「new trick」を発表しました。
VogueのEmma Specterによる取材で、ロゼは、『rosie』の頃のように悲しい曲を書く気持ちではなくなっていたと話しています。
新曲では、明るい人物像のエネルギーをスタジオで楽しみ、自分にも取り込むような感覚があったと説明しました。
「new trick」―2026年発表曲の公式MV
一曲を歌い切るための配分を知り、個人的な感情を歌にし、さらに別の人物像の勢いを試す。
ロゼのソロでの歩みは、声を出す力と、その声に何を託すかを、一緒に広げていく過程として捉えられます。
話すような声の質感、一曲の力の配分、共演者と発音を作る過程は、ロゼ/ROSÉの歌い方で取り上げています。







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