森英寿は、BUDDiiSではMORRIE、弟の森愁斗と活動するときは「もーりー」として知られています。
その歌の歩みで面白いのは、声を前に出す役割が増えた後も、得意な場所だけにとどまっていないことです。
PRIZMAXの一員として英語曲に取り組んだ時期から、曲の入口を任される時期、さらに自分からラップへ手を挙げる時期へ。
録音時の言葉をたどると、声の個性を保ちながら、使う場所と表現を広げてきた過程が見えてきます。
2019年、声を重ねる役割と、言葉を歌にする難しさ
森は2018年のオーディションを経て、2019年にPRIZMAXへ加入しました。
同年4月のアルバム『FRNKSTN』は全曲英語詞です。
森崎ウィンが当時説明したのは、自身が主に歌うところへ、森とケビンの声が重なり、厚みや異なる色を作る構成でした。
森の出発点には、一人で歌を完結させることに加え、ほかの声との関係の中で役目を果たす経験があります。
その年の12月、「愛をクダサイ」について森が話した内容は、初期の課題を具体的に伝えています。
英語詞では発音に苦労したため、日本語なら取り組みやすいと感じたものの、いざ歌うと、言葉へ感情を込める難しさがあったそうです。
発音できることと、気持ちが伝わる歌になることは別の課題でした。
グループで声を合わせながら、一つひとつの言葉をどう届けるかも探していた時期です。
2021年、BUDDiiSの歌い出しと、兄弟で届ける歌
2020年に結成されたBUDDiiSは、翌年5月に「CLICK ME」「ALIEN BOY」を続けて発表します。
MORRIEは、両曲の歌い出しを担当し、歌う箇所も多いと話しています。
PRIZMAXで語られた声の重なりに対し、ここでは曲を最初に印象づける立場がはっきりしました。
本人にとっても、歌いたかったタイプの楽曲でした。
「CLICK ME」— 公式ライブ・リリックビデオ(2021年公開)
森は同じ頃、幼い頃は自分で歌うことを楽しみ、やがて誰かへ届けたいと思うようになったと振り返っています。
弟とは以前から歌を合わせており、仕事になってからも、歌については兄が助言し、ダンスでは弟に教わる関係がありました。
歌い出しを担う一方で、身近な相手と声を合わせ、互いの得意なものを持ち寄る土台も続いていたのです。
その関係が広く届いた作品が、もーりーしゅーとの「ずっともっと」です。
auのCMソングとなったこの曲について、森は、飾りすぎない言葉と兄弟の親しさが結び付くことを語っています。
グループの入口を歌う声に、二人の日常を感じさせる歌という場面も加わりました。
相手との関係によって、同じ声の伝わり方が変わるのです。

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2022〜2023年、自分の色を残し、ほかの声と並ぶ
2022年の「her+art」は、BUDDiiSにとって初めてのバラードでした。
森は、映画を思わせる曲調に心を動かされたと話しています。
明るい曲の勢いに乗るだけでなく、ゆったりした曲の世界へ入っていく作品が増えていきます。
ただし、ここで新しい発声を獲得したと決めるより、歌で表す感情の種類が増えたと捉える方が、本人の話に沿っています。
2023年の「Magic」では、メンバー全員が歌う構成が一つの節目になりました。
それまで主に歌を担ってきた森自身も、裏声や細かなニュアンスの難しさに触れています。
歌う人数が増えれば、担当する声だけでなく、前後の声との違いも曲の表情になります。
歌の経験がある側にとっても、新しい作り方へ向き合う作品でした。
UTAとの録音では、森自身の声の持ち味を生かしながら、音程やタイミングを細かく整えています。
歌い出しには、聴く人を引き寄せる意識もありました。
2021年に任された曲の入口を、今度は自分の声の色をどう生かすかという課題として掘り下げている。
担当する場所が同じでも、制作の中で考えることは深まっていました。
「Glow Gold」で、自分からラップのパートへ
2023年の「Glow Gold」では、歌い出しやサビを担うことが多かった森が、2番のメロディのあるラップへ自ら参加を希望しました。
普段と違う一面を見せたかった、というのが本人の思いでした。
慣れた歌のリズムとは違うため、関連する音楽を聴き、格好よく聞こえる形を考えて取り組んでいました。
任された旋律を仕上げることから、自分が挑戦したい表現を提案することへ。
言葉をリズムへ乗せる場所を自ら選んだことが、この時期の具体的な転機です。
同年のアルバム『BRiLLiANT』では、「Lack」で繊細な息遣いを意識したことも語っています。
ラップへ踏み出す挑戦と、バラードの小さな表情を扱う挑戦が、同じ時期に並んでいました。
表現の幅は、派手な声を増やす方向だけに広がっていたわけではありません。
2024〜2025年、曲に応じて変えるものと、残る声の個性
2024年の「Instinctive Love」では、森は曲の入口を気に入り、歌い出しを希望しています。
また、サビではMORRIEとKEVINが歌い、ほかのメンバーが踊る場面があると説明しました。
自分の声を置きたい場所を選ぶことが、曲の構成やグループの見せ方とも結び付いています。
全員が同じことを続けるのではなく、歌と動きがそれぞれ前へ出る場所を作る考え方です。
2025年の「Iris」について、KEVINは、森にはすでに自身の歌い方があり、声の個性がグループのバランスにもなっていると話しています。
一方の森は、ほかの人の曲を歌っても自分だと分かる声を目指したいと考えていました。
周囲にはすでに届いている個性を、本人はまだ確かめ、育てようとしている。
新しい曲に取り組むことと、自分の声を保つことが、ここでは両立する課題になっています。
実際、「Iris」の録音では、息遣いを重視した歌い方を新たに試しています。
森は、それまでにない難しさを感じたと語りました。
2023年の「Lack」で意識した繊細さも、別の曲で同じように使えば済むわけではない。
好みのバラードでも、作品が変わるたびに声の扱いを探していたことが分かります。
2026年、三人のユニットで声の関係を組み替える
メジャー1stアルバム『THIS IS BUDDiiS』では、MORRIE、KEVIN、SHOWによる「べり〜ぐんない」が生まれました。
この組み合わせでファンク調の曲を歌う企画は、スタッフからの提案でした。
歌の力を持つ三人に、遊び心のある曲を託す構成です。
グループの中の一節を担当する場合とは、声を組み合わせる単位も変わりました。

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録音だけで終わらず、6月6日の幕張公演でも、三人はマイクスタンドを前に、ハーモニーと速いラップを交えて歌いました。
同じ公演の「青炎」では、上段に立つ森の伸びやかなボーカルと、下段のダンスが組み合わされています。
声を伸ばして曲を支える役目と、少人数で言葉や声をやり取りする役目が、一つのステージに共存しています。
2026年1月末の時点では、森自身は大きく変わったという実感を語ってはいません。
それでも、落ち着いた「青炎」から「べり〜ぐんない」へ、録音で気持ちを切り替える話には、異なる曲を次々に演じ分ける経験が表れています。
本人の核が変わらないまま、曲ごとに取り出せる表情や、組み合わせる相手が増えたと見ることができます。
『THIS IS BUDDiiS』— 新曲サビティザー(2026年)
なお、森は休養と療養のため、2026年内の活動休止を続けることが9月15日に発表されています。
ここで扱った公演は休止前の記録です。
森英寿の変遷は、歌い出しを任されるようになったところで終わりません。
「Glow Gold」で自分から求めたラップ、「Lack」で選んだ繊細さ、三人で声を交わす「べり〜ぐんない」まで、同じ声を生かす方法を増やしてきました。
息や言葉の置き方を含む具体的な選択は、森英寿の歌い方で掘り下げています。







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