MAN WITH A MISSIONのTokyo Tanakaは、力強く感情を伝える歌声を担ってきました。
その声が、曲ごとにどんな役割を引き受けてきたのか。
初期のライブから2025年の作品まで、制作の背景や共演者の言葉を手掛かりにたどります。
初期からあった、力強さと旋律を聴かせる力
マンウィズは2010年に本格的な活動を始め、翌年に最初のフルアルバムを発表しました。
Tanakaがボーカルを、Jean-Ken Johnnyがギターに加えて歌とラップを担う編成です。
二人の声があることは、曲の途中で雰囲気を切り替えるための大きな持ち味になりました。
誰が前に出るかによって、同じバンドの中に異なる表情を作れるのです。
初期を激しい曲だけで捉えると、その後の変化を見誤ります。
最初のアルバムには、アコースティック・ギターを用いた「RAIN OF JULY」がありました。
この曲からも、穏やかな曲で歌を聴かせる強さが、早い時期からあったことがうかがえます。
後にバラードを歌えるようになった、という一直線の歩みではありません。
「RAIN OF JULY」—『MAN WITH A MISSION』収録音源(2011年)
2014年5月の幕張メッセ公演では、Tanakaの強さが大きな会場でも際立ちます。
Johnnyの挑発的なラップに対して、Tanakaは力強く、かつ澄んだ歌を届けました。
激しい伴奏の中でも旋律を前へ出す、その役割がすでにあったわけです。
物語を持つ『Tales of Purefly』の公演では、声の対照が作品世界を運ぶ一部にもなっていました。

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2017年、一曲を一人の声に託した「Find You」
2017年の両A面シングルでは、「My Hero」のサビを担う一方、「Find You」は最初から最後までTanakaが歌っています。
同じシングルで、二つの異なる役割を引き受けたのです。
「Find You」を書いたJohnnyが求めたのは、一人の人物として筋の通った歌でした。
女性が歌うような世界も思い描いていた曲を、最終的にTanakaの声へ託す。
ここで増えたのは、サビで強く登場する役割に加え、歌の中の人物を一曲通して支える役割です。
声を交代させないこと自体が、表現の選択になっています。
同年12月のさいたまスーパーアリーナ公演では、この曲が本編の最後に置かれました。
客席から光が送られ、Tanakaは胸に手を当てました。
合唱や跳躍を誘う曲を重ねた後、一人の歌として届ける曲で本編を閉じる。
録音で選んだ表現が、大きな会場の終幕を引き受ける曲としても機能したのです。
2018年、別の歌手が見いだした声の切なさ
2018年には、KYONOの「YOAKE」にゲストとして参加します。
Tanakaにとって、THE MAD CAPSULE MARKETSのKYONOと音を作ることは、以前から敬意を持っていた相手との共演でした。
迎えたKYONOが完成曲について挙げたのは、Tanakaの声によって増した切なさです。
ラウドな音楽を担う二人の共演でも、声に求められた価値は激しさだけではありませんでした。
この録音では、KYONOが低いハーモニーも高いハーモニーも歌っています。
ゲストの声質に応じて、声の大きさや左右の配置を調整したという説明もあります。
Tanakaの声をいつものバンドから取り出し、別の歌手の声で囲む。
その組み合わせによって、本人の持ち味のうち何が前に出るかが変わる例です。
「YOAKE feat. Tokyo Tanaka」— 2018年作品・公式フルMV(2020年公開)
2019年、歌を聴かせる道と共演の道が並ぶ
2019年の「Remember Me」は、鍵盤や弦を取り入れたミドルテンポの曲です。
歌と旋律を正面に置いた、マンウィズの強みが生きています。
「FLY AGAIN」の会場を踊らせる印象と、じっくり聴かせる曲の魅力が、同じバンドの中に並んでいる。
初期からあった歌の力が、ドラマ主題歌を通じて届く場面でも生きていたと考えられます。
同年には「Reiwa」でmiletを迎えます。
miletは、マンウィズ側の声がすでに入った録音に参加し、独特なハーモニーに苦戦しながら、バンドの仲間になったように歌えたと振り返っています。
これはmilet自身の録音経験ですが、Tanakaたちの声が、相手の歌い方を引き出す土台になったことも伝わります。
後の「絆ノ奇跡」へつながる共演は、この時点から始まっていました。
ライブが止まり、歌録りに向かった2021年
コロナ禍では、歌うための環境そのものが変わります。
2021年の『Break and Cross the Walls I』について、Tanakaは、ライブができないもどかしさを歌入れに込めたと話しています。
一方、ライブがないため喉の調子はよかったとも述べていました。
本人が語ったのは、気持ちの行き場と声のコンディションが、普段とは異なっていたということです。
ステージで発散できないものを録音へ向ける。
本人の言葉から見えるのは、歌に注ぐ力の行き先が変わったことです。
声域や発声法の変化とは分けて考えたい転機です。

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Tanakaは2022年、バンド全体を客観的に見る立場についても語っています。
作り手であるJohnnyやKamikaze Boyの曲に対して、どこまで自分を主張することがバンドのためになるかを考える。
その一方で、ライブになると自分の気持ちよさや格好よさを優先し、スイッチが入るとも話していました。
曲を受け取る冷静さと、ステージで感情を出す力の両方が、Tanakaの中にあるのです。
2023年以降、異なる声と並んで歌う
2023年の「絆ノ奇跡」では、miletとの声の組み合わせが作品の中心になります。
アニメ制作側から男女の声を組み合わせたいという提案があり、バンド側も制作の初めからmiletを想定していました。
既存曲に後からゲストを足す形とは、出発点が違います。
共に戦う人物たちを描く作品の中で、異なる声が並ぶことに意味を持たせた曲でした。
miletとTanakaの声は、片方が守り、片方が守られる構図より、共に戦う者同士として捉えると、その関係が見えてきます。
2017年の「Find You」が一人の人物を一つの声で支えた曲なら、こちらは声の違いを残して同じ方向へ進む曲です。
曲に応じて一人で担うか、相手と並ぶかを変える、その選択肢が広がってきました。
2025年の『XV e.p.』でも、二人の声の使い方は一通りではありません。
「whispers of the fake」では、アコースティック・ギターを背にTanakaが歌い出し、サビではJohnnyとのハーモニーへ進みます。
豊かな声の響きを曲の入口に置き、その後で二声を合わせる。
サビだけを受け持つ形とも、全編を一人で通す形とも違う配置です。
同年3月のKアリーナ横浜公演では、初期曲と新曲を含む演目の中で「Remember Me」が本編を締め、冒頭から大合唱が起こりました。
新たな歌い方の場面が増えても、聴き手の声を引き出す役割は残っています。
Tanakaの歩みを追う面白さは、強い声を持つ一人の歌手が、どの曲でどんな役割を担うかにあります。
曲ごとの声の使い方は、Tokyo Tanakaの歌い方で掘り下げています。

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