林瑠奈の歌唱変遷|好きだった歌を、自分の表現に変えるまで

2026年、ミュージカル『民王』のインタビューに掲載された林瑠奈 シンガー
2026年、ミュージカル『民王』のインタビューに掲載された林瑠奈

大切な一曲を、二年後にもう一度歌う。
林瑠奈にとって「自分のこと」は、歌い手としての歩みを映す曲になりました。
乃木坂46に入る前に支えられた歌を、自分がステージで届けるようになる。
その間には、歌うことが好きだからこそ直面した、自分の声への戸惑いもありました。
ソロ歌唱、ラップ、ミュージカルへと表現を広げた道のりをたどります。

2020〜2021年|大切な曲を、一人で引き受ける

2020年12月、4期生ライブを振り返るブログに掲載された林瑠奈
2020年12月、4期生ライブを振り返るブログに掲載された林瑠奈。
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2020年の4期生ライブで、林は「自分のこと」を一人で歌いました。
乃木坂46に加入する前から好きで、自分を支えてくれた曲です。
ソロで何を歌うか考えたとき、最初に浮かんだのもこの歌だったといいます。
ところが本番は、緊張で記憶がはっきりしないほどでした。
思い入れの深さと、人前で一曲を担う難しさが重なっていたのです。

公演後には、もともとこの曲を歌った中元日芽香からも言葉をもらいました。
聴いていた側の林が、今度は曲を託される側に立つ。
この経験は、後に同じ曲を選び直すときの出発点になります。

最初の4期生ライブでは、振り付けの習得と学校のテストが重なり、配信のカメラ映りまで気にしていたそうです。
一つの歌に向き合う以前に、ステージで処理することが山ほどありました。
その後、乃木坂46全体のバースデーライブを経験し、二度目の4期生ライブでは以前より落ち着けたと振り返っています。
時間の使い方にも余裕が生まれ、少しずつ自信がついていきました。

2021〜2022年|好きな歌と、聴き返した自分の声の隔たり

『乃木坂スター誕生!』が始まったとき、歌うことが好きな林は大喜びしました。
ただ、自分の歌声や歌っている表情を客観的に見たときには、思い描いていた姿との違いに落ち込んだといいます。
番組は得意なことを披露する場であると同時に、自分の課題が見える場にもなりました。

シーズン2に入ると、歌との向き合い方がはっきりし、自分の歌唱を聴き返せるようになっていきます。
うまくいかなかった演歌も含め、異なるジャンルを経験したことに成長を感じていました。
2022年6月の番組ライブを振り返った文章の最後には、自己紹介の特技として歌を挙げています。
歌が好きだという気持ちに、自分で確かめた手応えが加わっていった時期です。

2021年の東京ドーム公演で歌った「きっかけ」のソロパートにも、周囲から好評が寄せられました。
本人は自分ではよく分からないとしつつ、大きな会場に立てたことへの感謝と、さらに努力したい気持ちを語っています。
歌い方を探す時期でもありました。

2022〜2023年|同じ歌の重みが変わり、ラップも作品につながる

2022年のアンダーライブ、大阪二日目に林が選んだのは、再び「自分のこと」でした。
衣装も二年前と同じものです。
本人が感じていた違いは、加入後の経験を重ねたことで、歌詞が以前より直接胸に届くようになったことでした。
二年間の成長を見てほしいという選曲でした。

同じアンダーライブでは、北川悠理と「無表情」のラップ版にも挑戦しました。
二人のラップを知るスタッフの提案による演出でした。
その経験は、年末のシングルに収録された「アトノマツリ」へとつながります。
既存の歌を担うだけでなく、自分たちの得意な表現が楽曲の個性になる段階へ進んだのです。

2023年には、曲に応じて表現を変えられることを、自分の武器として磨きたいと話しています。
ボイスレッスンを受けながら、もっと歌がうまくなりたいという思いも持ち続けていました。
仕事の中で何を頑張るべきか迷い、改めて確かめたのが歌への愛着でした。
目指すものは、ある一曲をうまく歌えることから、多様な曲に自分の声で応えることへ広がっています。

2025〜2026年|声を、ステージ全体の流れに生かす

2025年末には、人前に出るときの気持ちにも変化を感じていました。
前年のバラエティー番組『THEゴールデンコンビ』で大きな緊張を経験したことが、その後のライブでも支えになったそうです。
難しい場を乗り越えた実感から、楽しもうと思える余地が増えたと語っています。
声の技術とは別に、持っている表現を人前で出すための自信も育っていました。

2025年には、アンダーライブで歌とダンスの両方に手応えを得られた曲があったと話しています。
一つの得意分野から、ステージ全体へ目を向けるようになっていました。

2026年の『Coupling Collection 2022-2025』では、ラップが曲と曲をつなぐ役割も果たします。
「アトノマツリ」「あと7曲」「ってかさ」のメドレーで、林はオリジナルのラップを考えて披露しました。
共演した賀喜遥香は、「あと7曲」と「ってかさ」の最後に、次の曲へ振るためのラップが入っていたことを振り返っています。
歌の一部を担う経験が、ライブの流れを自分の言葉で作る挑戦へ伸びています。

北川との試みから始まったユニットは、後輩も加わる形へ広がっています。
賀喜が感心していたのは、林がやりたいことを形にし、新しいジャンルを開いていく姿でした。
ラップは一度だけの企画に終わらず、グループの中で続けて育てる表現になったのです。

2026年|歌を、役の感情から切り離さない

2026年8月28日、ミュージカル『民王』の稽古場会見に登場した林瑠奈(撮影:原田健)
2026年8月28日、ミュージカル『民王』の稽古場会見に登場した林瑠奈(撮影:原田健)。
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2026年には、ミュージカル『民王』で初舞台に立ちます。
演じた南真衣は、主人公・翔の同級生です。
稽古では、台本から人物の背景を想像し、相手の変化にどの程度気づくのかという細かな反応まで考えていたと話しています。
自分として歌う場から、ある人物として物語の中に生きる場へ進みました。

歌の多い作品で、林が新たに向き合ったのは、芝居から歌へ感情を自然につなぐ難しさでした。

全48公演を終えた後の文章でも、最初から最後まで自信に満ちていたとは書いていません。
毎公演、緊張や自分の力の足りなさに直面し、周囲に支えられたことを振り返っています。
それでも、経験を重ねた先に、自分を信じて今後を楽しみに思える感覚が残りました。
歌が好きなのに、自分の歌を聴くのがつらかった時期から、新しい課題を抱えながら舞台を完走するところまで来たのです。

林瑠奈の変化は、歌える曲が増えたことと、歌に込める役割が増えたことの両方にあります。
自分を支えてくれた曲を届け、仲間とラップを育て、役の感情を歌につなぐ。
その歩みを支えるのは、歌が好きだという気持ちと、自分の表現を確かめ直す姿勢です。
録音や一曲の中での具体的な声の選択は、林瑠奈の歌い方で掘り下げています。

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