声を褒められることが、本人の自信にそのままつながるとは限りません。
SHINeeのオンユは、誰かの歌をまねても自分の声になってしまうことを、かつては好きになれなかったと話しています。
その個性を受け入れてからも、「自分には何が似合うのか」という問いは終わりませんでした。
バラード、ダンスポップ、日本語の歌、ラップに近い表現を選んできた歩みをたどってみましょう。
「VOICE」で、一人の声をじっくり届けた
2008年にSHINeeとしてデビューしたオンユが、最初のソロミニアルバム「VOICE」を発表したのは2018年12月です。
グループでの歌に加え、ドラマの楽曲や他の歌手との共演も重ねてきた彼にとって、自分の声で一つの作品を通す機会になりました。
中心曲「Blue」は、ピアノに昔のポップスやジャズを思わせる色を持たせたR&Bです。
孤独な気持ちを描く、独白のような歌詞を歌う作品でした。
「VOICE」では、弦楽器と声を合わせた「Your Scent」や、ギターとボーカルだけの「Shine On You」など、声の表情を前に出す曲が並びます。
SHINeeの一員として曲の中を受け持つことから、一人で長い感情の流れを届けることへ。
このソロの入口には、聴き手が知っていた声の温かさを、近くで受け止められる作りがありました。
2022年、「DICE」で変えたかった期待
次のミニアルバム「DICE」で、オンユは違う顔を見せようとします。
2022年、本人は再び深い感情の曲を求められるだろうと分かったうえで、そこから踏み出したかったと説明しました。
前作を暗めの青、今作を明るい青にたとえた本人の言葉にも、その方向の違いが表れています。
声の持ち味を捨てるのではなく、同じ声で明るい曲を引き受ける選択でした。
制作も、用意された歌を歌うだけではありませんでした。
本人が振り返ったのは、曲の解釈をスタッフとすり合わせたことや、当初の表題曲が変わり、別の曲を探した過程です。
そこで出会った「DICE」の短いデモに、表題曲としての手応えを感じたといいます。
歌手として何を届けるかを、曲選びや録音のやり取りでも考えていたことが分かります。
日本語カバーと、一人で立つコンサート
2022年の日本作品「Life goes on」では、録音と発売の時期にも注意が必要です。
本人によれば、日本語カバーは発表の4〜5年前、入隊前に録った歌でした。
発売記念イベントでは、選曲の基準に自分の声を表せることを挙げています。
「やさしいキスをして」と「鱗」はプロデューサーの土屋望の提案、「キラキラ」は好きだった小田和正の声を思い浮かべながら、本人が選んだ曲でした。
人の曲を借りる中にも、どの曲なら自分が歌いたいと思えるのかという判断があります。
そうして用意した歌が、日本で初めてのソロツアーにつながっていきました。
後年、オンユは2022年の日本公演で生バンドと歌った経験が、その後のソロ公演の基礎になったと振り返っています。
演奏者と呼吸を合わせ、その場で生まれる音楽を楽しむことも、ソロの軸になりました。
2023年、「O (Circle)」を録り直した理由

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2023年の「Circle」では、自分が思う仕上がりと、実際の録音の間をさらに詰めています。
「O (Circle)」は「DICE」より前から温めていた曲でした。
最初の録音では体調が良くなく、思っていた感触と違ったため、録ったものをやり直したと話しています。
自分の意図を伝えるとともに、ディレクションする側が求めるものも理解しようとした制作でした。
この時期には、声への考え方にも変化がありました。
以前は声を褒められるより、歌が上手いと言われたかった。
できないことばかりに目が向いていた本人は、ファンに声のどこが好きなのか尋ね、自分だから好きなのだという返事を受け取ります。
2023年には、自分の声を受け入れる方向へ考えが変わったことを明かしました。
2024年、楽しんで試した「beat drum」のラップ
活動を休んだ時期を経て、2024年に発表したのが「FLOW」です。
ソロ活動の所属先がGRIFFIN Entertainmentに変わった後の作品で、みんなで楽しめる明るい歌を目指しました。
「beat drum」のラップも、最初から絶対に入れると決めていたものではなかったといいます。
歌の旋律へ置き換える案もありましたが、試してみると予想以上に良く、その形が残りました。
この制作を振り返る本人の言葉には、うまくいかないときは別の方法を探し、完璧でなければという重荷を少し手放す姿勢があります。
納得がいくまで録り直すことと、試した結果を面白がること。
両方を持てるようになったところに、ソロで経験を積んできた意味が表れているように思います。
2025年、得意なことと新しいことの間で
2025年の「PERCENT」発表時にも、オンユは声の個性を強みとして話しています。
どんなジャンルへ挑戦しても、自分の歌になるという考えです。
その言葉は、声を変えなければ新しい曲を歌えないという考えから距離を取るものでした。
周囲の支えやSHINeeの仲間が、活動を続ける力になっていることも挙げています。
ただ、新しいジャンルを選ぶだけで、表現も新しくなったと評価されるわけではありません。
同作には、歌唱の巧みさを認めても、多くの曲の表現は以前の延長に留まるという受け止め方もあります。
一方で「Percent (%)」のリズムや「Confidence」の声の動きに注目すると、一曲の中での変化を見いだせます。
歌える曲の種類と、一曲の中で声をどう動かすかは、別々に問われるのです。
日本の「SAKU」でも、新しい試みは続きます。
オンユは、軽く聴ける印象の「Lily」に苦労し、何度も録音したと話しました。
もっと速い曲を歌った経験があっても、この曲で表現ができているかという手応えはつかみにくかったそうです。
キャリアを重ねるほど、どの曲も簡単になるわけではありません。
曲に合う歌を探す作業は、その都度残っています。
2026年、自分の声への思い込みも見直す

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2026年3月の「TOUGH LOVE」では、作詞に加え、表題曲などの作曲にも参加します。
海外の制作陣と直接会い、共同で曲を形にしたと発表されました。
どのように歌うかを考える人が、歌う曲そのものを作る側にも踏み込んでいく。
ソロで担う仕事の広がりとして捉えたい変化です。
「TOUGH LOVE」の表題曲では、叙情的な歌い出しと、サビで大きく展開するサウンドが組み合わされています。
繊細な気持ちを歌う持ち味を残しながら、音楽が一気に動き出す場面へつなぐ。
曲の作りに踏み込んだことが、声をどんな場面で生かすかという選択にも結び付いていると考えられます。
「VOICE」で一人の声を近くに置いた頃から、歌と周囲の音の関係を自分で考える範囲が広がってきました。
同年10月の「Illusion(錯覚)」では、意外にも、自分には遅いバラードが似合うと思ってきたことを見直しています。
得意な曲を挙げると、いつもダンス曲が入っていた。
その気付きから、表題曲をダンス曲にしたと本人は説明しました。
以前から踊る曲を歌っていたからこそ、改めて自分の得意を見つめ直せたのかもしれません。
オンユの歩みは、バラードから離れて一直線に別の歌手になった歴史ではありません。
自分の声を受け入れ、その声でできることを試し、似合うと思っていたものも選び直してきた過程です。
声の個性が変わらず残っているからこそ、曲選びや録音の判断の変化が興味深くなります。
一曲の中での声とリズムの選び方は、オンユ(ONEW)の歌い方で詳しく見ていきます。

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