オンユの声を、温かく包み込むような声として覚えている人もいるでしょう。
本人も、人の心に届き、抱きしめるような温かさを持つ声を目指していると話しています。
その持ち味は、強く歌い上げることだけで生まれるものではありません。
軽く口ずさむ感覚、低い声と裏声、言葉を置くリズムから、曲ごとの選択を見ていきましょう。
「DICE」では、話す声や口ずさむ感覚も使う
「DICE」の制作時、オンユが説明したのは、話したり口ずさんだりする雰囲気の中に、いくつもの声を入れたいという考えでした。
大きな声で圧倒する場面ばかりを作るのではなく、聴く人が日常へ持ち帰れる明るさを考えています。
仕事で気分が落ち込んでいる人が、聴いた後で誰かに温かく接することができたら。
そうした本人の願いと、肩の力を抜いて聴ける歌の方向がつながっていました。

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低い声と、空気を含むような裏声
具体例として、同じ「DICE」に入った「Sunshine」があります。
この曲では、低い音域と軽やかなファルセットを行き来します。
ファルセットは、ここでは裏声のことです。
高い音へ向かうときにも、力強さを足す以外に、声の質感を軽くする選択があると分かります。
「Love Phobia」では、音数を抑えた伴奏が、歌の傷つきやすい表情を前に出しています。
声だけを切り離して特徴を探すより、周囲の音が多いか少ないか、その中でどんな気持ちを引き受けているかまで考えると、歌の役割が見えてきます。
低い声、軽い裏声、言葉の近さは、曲の気分に合わせて使える違う表情なのです。
低い声の魅力は、ライブでも生きています。
2022年9月11日の代々木公演では、「In the whale」の低い声も、歌唱の聴きどころになりました。
この追加公演にはバンドに加えて弦楽器も参加し、声質を生かす曲が中盤に続いています。
ソロの舞台では、音域の広さを一度に示すだけでなく、ある曲では低い声をじっくり味わう時間も作れるのです。
カバーでは、表現を足すより抑えることもある
「やさしいキスをして」では、あえて表現を抑え、余韻を残そうとしたと話しています。
声の力を見せ切ることより、歌い終えた後に何が残るかを選んだのです。
日本語のカバーでは、言葉を一つずつ大切にする歌い方にも注目できます。
強い感情を歌う曲でも、言葉の輪郭が届かなければ、物語を聴き手に渡せません。
原曲の歌手と同じ声になることより、その曲の言葉を自分がどう受け持つか。
オンユのカバーは、そうした聞き方をする入口にもなります。
「O (Circle)」は、なめらかに聴こえても拍を追いにくい
「O (Circle)」では、声の個性とリズムの関係が面白くなります。
オンユ自身はこの曲を、聴くと簡単そうでも同じように拍をなぞるのは難しい歌だと説明しました。
自身の独特な声を、より生かそうとした曲でもあります。
なめらかな印象が、そのまま単純な歌い方を意味するわけではないのです。
音程が合っているかだけでなく、言葉がいつ始まり、どのように次へ進むか。
その置き方も、一声で分かる個性を支えるものとして考えられます。
本人が語ったリズムの難しさに目を向けると、「いい声」という感想の先に、フレーズの動きを追う楽しさが生まれます。
2025年の「PERCENT」にも、リズムから歌を考えられる例があります。
「Percent (%)」では拍にゆったり乗る感覚に、「Confidence」では声の動きが作るリズムに、聴きどころがあります。
ジャンルを増やすことだけでなく、慣れた声をどう動かすかにも、曲を楽しむ手掛かりがあるのです。
声の色が似ていても、言葉の進み方まで同じとは限らないのでしょう。
「花のように」では、歌いやすさと届き方が一致しない
「花のように」を歌った際、オンユは速い曲より、こうした遅いバラードのほうが難しいと話しました。
声の良い部分を入れられた実感があっても、簡単な歌ではなかったそうです。
曲がゆっくりだから楽に歌える、と決められないところが興味深いですね。
本人も難しさをうまく説明できず、表現が合っているかは自分の感触で判断しているといいます。
だからこそ、聴く側の感想を知りたいと話していました。
歌に込める感情も、最初から決まっていたわけではありません。
当初は寂しさを表そうと考えたものの、美しさ、青春、清涼感へと狙いが変わりました。
歌詞の花束を誰に渡すのか想像し、物語の中に自分を置いていたそうです。
同じメロディーでも、誰に何を伝える場面かを考えることで、声に求める表情が変わっていきます。

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日常の声も試すが、録音では曲ごとの課題が残る
オンユは、日常の会話でも声を少し上げ、喉を緩め、呼吸を変えて試すと明かしました。
気楽に自分を表現する歌を目指す、その探り方にも注目したいですね。
一方、「SAKU」の「Lily」は、何度も録音した難しい曲でした。
それより速い歌の経験があっても、表現の手応えをつかみにくかったといいます。
2025年には、そのときのライブの曲目に入れなかったことも話していました。
録音で完成形を作れたことと、舞台で安心して歌えることを、一緒にしていないのです。
「Lily」の短い語りに近い部分については、本人自身が、ラップなのかナレーションなのかと考えるように話しています。
韓国語の曲で試した経験もあり、日本語でも似た感覚で取り組めたそうです。
歌と話す声の間を、厳密な名前だけで分けなくてもよい。
そうした柔軟さも、オンユの声の使い方を考える手掛かりになります。
相手と歌うことで、自分の方法も見えてくる
2026年の「Illusion」では、「Mind Games」でYUJUと、「Tic Tac Toe」でZICOと共演しています。
二人が細かく考えて歌っていることが印象的だった一方、自分は曲やその場の状況に合わせて歌うほうだと説明しました。
相手の方法が、自分にも必要なことがあると感じたそうです。
共演は、自分の声の使い方を考え直す機会にもなるのです。
温かい声を持っていることと、その声を曲の中で生かすことは、一続きの仕事です。
裏声で軽くする、言葉を抑えて残す、拍の置き方を選ぶ、共演者の方法に学ぶ。
オンユの歌は、柔らかな印象の中にある細かな判断まで追うと、さらに味わいが増してきます。
ソロ作品を通じた歩みは、オンユ(ONEW)の歌唱変遷でたどっています。

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