スングァンの歌い方を知る手がかりは、声質と、録音で確かめている細部にある。
制作に関わった人の言葉から、声の表情や、複数の声を重ねる録音を見ていきたい。
SEVENTEEN「Same dream, same mind, same night」(2021年)の公式音源。
ハスキーさに重なる、感情のニュアンス
ライブ制作についてのWeverse Magazineの取材で、A&Rチームは、スングァンの声をハスキーな声質をベースに、感情的なニュアンスがあるものと説明している。
声の持ち味と、そこから伝わる表情を結びつけた見方だ。
スングァンの歌を聴くときは、そのハスキーさに、感情のニュアンスがどう重なるかにも注目したい。
同じ制作側の説明には、声をどう聴かせるかという具体例もある。
「Headliner」では、スングァンが感情を高めるパートで楽器の音を減らし、その表情が伝わりやすいようにしたという。
声を強くするだけでなく、周囲の音を引くことでも、一人の歌を前に出せるのだ。
こうした場面では、声の強さだけでなく、伴奏が減ったことで見えてくる感情の細部にも注目したい。
歌声を前に出す編曲が、その表情を支えている。
アドリブも、録音を重ねながら形にする
「Same dream, same mind, same night」については、ドギョムが制作を振り返っている。
2021年のWeverse Magazineの取材で、クラシックなR&Bらしい雰囲気を出す難しさを語り、スングァンとのアドリブ部分にもメロディーがあったが、録音を重ねながら修正していったと話した。
曲の雰囲気に合う歌声やトーンを考え、細部を作っていく収録だったことがうかがえる。
アドリブのメロディーがどう動くかも、この話を重ねて聴きたいところだ。
アドリブという言葉には即興の印象もあるが、この収録談では、曲に合う形へ繰り返し整えた過程が見えている。
声を自由に動かすことと、曲全体の雰囲気に収めることが同時に求められていた。
旋律の華やかさだけでなく、前後の歌と自然につながっているかにも注目したい。
3人の声を、ボーカルグループのように重ねる
ウジ、ドギョム、スングァンが歌う「Is It Still Beautiful」では、ハーモニーの作り方も手がかりになる。
編曲と歌唱ディレクションを担当したチョン・グヒョンは、2025年の韓国の媒体Hankookiの取材で、この録音を振り返っている。
3人がボーカルグループのように聞こえる編曲を目指し、ハーモニーを特に大切にしたという。
声を別々に録って重ねたため、その分だけ録音にも時間がかかったと話している。
スングァンの声を聴くときも、ほかの2人の声とどう重なり、歌全体を形にしているかに耳を向けたい。
SEVENTEEN「Is It Still Beautiful」(2021年)の公式MV。
主旋律だけを追う回と、その後ろや上下に重なる声を追う回では、曲の印象も違ってくる。
一人の声が目立つ部分から、複数の声が一つになる部分へ、聴く焦点を移してみたい。
歌の強さを一人の声量だけで考えず、声同士の組み合わせとして味わえる例である。
言葉の響きと意味を、両方確かめる
スングァンはWeverse Magazineの本人取材で、「Ready to love」の一部分を、発音に納得するまで何度も録り直したと話している。
音を出せることと、歌の中で言葉が思いどおりに響くことは、同じではない。
歌唱を細かく作る姿勢は、音程だけでなく言葉にも向いている。
言葉への関心は、日本語の歌との出会いにも見られる。
2018年の日本デビュー時、Kstyleの合同取材で、スングァンは徳永英明の「レイニーブルー」を練習生時代によく歌ったと話した。
東方神起との共演映像で知り、歌詞の意味を調べると、悲しさに強く心を動かされたという。
日本語の練習も兼ねて何度も歌ったという話には、音の響きをまねるだけでなく、その言葉が運ぶ感情へ近づく過程がある。
本人は取材の場でも一節を披露している。
別の言語の曲を選ぶ際にも、歌詞の意味が歌いたい気持ちにつながっていたことが分かる。
カバーを聴くときは、原曲と似ているかだけでなく、どんな言葉に気持ちを置いているかにも注目したい。
言葉をどう聞こえさせるかという録音の細部と、何を伝える歌なのかという理解は、つながっている。
その二つを行き来することで、スングァンの感情表現を具体的に捉えやすくなる。

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二人で歌うときは、感情の違いも生かす
ドギョムとのユニット作『Serenade』では、声に焦点を絞った表現に取り組んでいる。
L’Officiel Thailandの取材でスングァンは、グループでは歌とパフォーマンスの両方を考えるが、今回は歌声を中心に、歌詞や各曲の感情の細部まで話し合ったと説明した。
二人になることで、声で伝える内容を深く詰められる構成になっている。
同じ取材で「Blue」について説明したドギョムは、同じ状況に置かれた二人でも、感情が進む速度は違うと話している。
この曲では、ハーモニーをきれいに合わせることに加え、それぞれの人物の気持ちを描く視点もある。
二つの声がいつ近づき、どんな違いを残すかが聴きどころになる。
Weverse Magazineの作品評は、「Blue」の次第に広がるオーケストラの中でも、歌が感情を抑制して伝える点に目を向けている。
伴奏が大きくなるからといって、歌もすべてを押し出せばよいわけではない。
音楽の規模と、歌の中に残るためらいや静けさの関係を聴いてみたい。
声が重なる美しさに加え、一人ずつの気持ちを追う楽しみもある。
二人の歌だからこそ、それぞれの言葉を受け取る時間を大切にしたい。
ソロでは、温かな記憶に寄り添う
『Serenade』のソロ曲「Dream Serenade」には、別の距離感がある。
SBSが掲載した所属事務所経由のQ&Aで、スングァンは、過ぎたときには気づかなかった出来事が、振り返ると大切な慰めになることを語っている。
聴く人にも、それぞれの温かな記憶を思い出し、少し心を休めてほしいと考えて曲作りに参加したという。
ドギョムも同じQ&Aで、スングァンの歌には、聴く人の心を温め、つらい一日を乗り切る力をくれる良さがあると話している。
ハスキーという声質の説明とは別に、近くで一緒に歌う相手が感じているのは、声の持つ温かさなのだ。
この評価を重ねると、スングァンの歌を、張りのある高音だけで代表させずに聴きたくなる。
Weverse Magazineも「Dream Serenade」を、静かに慰めを届ける声として評している。
「Blue」の深い悲しみを受け止めたあと、このソロがどう響くかまで含めて聴くと、同じ歌い手の別の表情が見えてくる。
強く心を動かすことは、大きな声で感情を示すことだけではない。
アドリブを整える細やかさ、声を重ねる工夫、言葉を届ける意識。
それらが、ハスキーな声にさまざまな感情を乗せる表現を支えている。
一つの高音だけを切り取らず、その前後の言葉や、ほかの声との関係まで追ってみたい。
カバーでの気づきとソロへの歩みは、スングァン(SEVENTEEN)の歌唱変遷でたどっている。







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