SZAは、録音で自分の声とどう向き合ってきたのか。
趣味として歌っていた頃から『Ctrl』、そして『SOS』へ、本人と制作側の言葉をたどりたい。
SZA「Supermodel」(2017年)の公式MV。
2013年、歌への不安と、制作の自由を語る
2013年のInterview Magazineで、SZAは、歌うことはもともと趣味に近く、人からどう思われるかを強く恐れていたと振り返っている。
周囲からよい反応が返ってきたことが、続ける理由になったという。
最初から歌手としての自信がそろっていたわけではなかった。
一方、その時点で制作していたEP『Z』については、急かされず、怖がらず、歌を自由に作れたとも話している。
新しいプロデューサーたちとの制作を通じて、自分を知っていく感覚があった。
不安だけが続いていたのではなく、初期にも歌を試す自由を感じる場面があったことは、押さえておきたい。
この両方を知ると、後の『Ctrl』で声を前に出す決断を、ある日すべての迷いが消えた話にせずに捉えられる。
作品を作り、その音を聴き直す中で、自分との付き合い方を探していたのだ。
SZA「Babylon」(2014年公開、導入に「U R」を含む公式MV)。
2017年、『Ctrl』で声を前に出す
SZAには、以前の曲「Babylon」を人前で再生したとき、自分の声が小さく、ライブで感じていた力が伝わっていないと思った経験がある。
2017年のRolling Stoneの取材で明かした話だ。
『Ctrl』を発表した同年のPitchforkでは、自分の声を怖がっていたとも振り返っている。
以前の録音はリバーブが多すぎたと感じ、鼻にかかって聞こえるとしても構わないと考え、もっと合うマイクを探すようになったという。
この変化には、音の聞こえ方と、歌う言葉の変化が重なっている。
NYLONの2017年の取材記事は、以前のSZAが、幾重にも重ねたハーモニーや強いビートの後ろに身を隠していたと捉えている。
音楽の作り方を学んでいる途中でもあったという背景が、そこで示されている。
同誌は『Ctrl』について、複雑なたとえよりも、簡潔で直接的な言葉を選ぶようになったと説明している。
声を聴き取りやすくすることと、その声が何を語るかは、ここでは切り離せない。
声の質感に加え、言葉の率直さも前へ出てきた作品として見られる。

写真:Yoshiyuki Matsumura
画像出典:NYLON
発表後も、次に学びたいことがあった
『Ctrl』を出した後の2017年7月、Cosmopolitanの取材でSZAが挙げたのは、次の作品に向けた課題だった。
曲の構成、考えの明確さ、同じことを繰り返さないことに加え、まだ受けたことがなかったボーカルコーチの指導も望んでいた。
自分を表に出す手応えと、さらに学びたいという気持ちは同時にあった。
『Ctrl』は、自分の声について考える終点ではなかったのだ。

画像出典:画像掲載元
2022年、「Kill Bill」に残ったその晩の歌
『SOS』の「Kill Bill」には、その場で生まれた歌を生かした録音の話がある。
共同制作したロブ・バイセルは、2023年のVarietyの取材で、SZAが一度聴いたビートをもう一度かけるよう頼んだ夜を振り返っている。
SZAはしばらく静かにしてからアイデアを伝え、歌詞とメロディーは1時間もかからずに形になったという。
完成版の歌声も、ほぼその晩に録った1~2テイクのものだと説明している。
SZA「Kill Bill」(2022年)の公式音源。
声の聞かせ方に向き合うことと、その場の歌を作品に生かすこと。
二つのアルバムには、録音からSZAの声を知る手がかりがある。
会話のような声の運びと声質は、SZAの歌い方でも見ていきたい。







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