アヒョン(BABYMONSTER)の歌い方|重みのある声と柔らかな裏声を、曲の表情に変える

2025年のsmart取材に登場したアヒョン アヒョン(BABYMONSTER)
2025年のsmart取材に登場したアヒョン

アヒョンの歌を考えるとき、強い高音は分かりやすい入口です。
けれども「Dangerously」で行き来する声の質感や、「CLIK CLAK」で選ぶラップにも目を向けると、曲に合わせた使い分けが見えてきます。
何を強く響かせ、どこで柔らかく歌い、ほかの声とどう重なるのか。
具体的な曲と制作時の選択から、その歌い方をたどります。

「Dangerously」の地声と裏声が作る起伏

2023年の「Dangerously」のカバーには、重みを感じさせる地声と、柔らかな裏声の対照があります。
しっかりとした響きで押し出す声から、軽さを持つ声へ移り、さらに高音で大きな山を作る。
一曲の中で声の質感を変えられることが、劇的な表情につながっています。

この曲では、高い音に届く力が、声色の対比と結びついています。
強さと柔らかさの間を動くことが、感情の起伏にもなるのです。

2023年の「Dangerously」を歌うアヒョン
2023年の「Dangerously」を歌うアヒョン。
画像出典:画像掲載元

2024年のデビュー時、本人は自分の持ち味として、中低音から高音までを扱えることと、歌やラップなど複数の役割を担えることを挙げていました。
七人それぞれの声が異なり、その声が集まったときの力もグループの強みだと話しています。
本人の捉え方からも、音域と声色の両方を手札としていることがうかがえます。

「DRIP」では高音を連ねて、見せ場を作る

「DRIP」の録音では、ヤン・ヒョンソクの提案で高音のパートが三段へと組み替えられました。
地声の力感を保ちながら、一息で音を上げていくパートです。
一音を強く鳴らして終えるのではなく、次の高さへつなぐことで、曲の中に段階的な盛り上がりを作っています。

高音には、音の高さに加え、どんな質感でそこへ達するかという違いがあります。
「Dangerously」では地声と裏声の質感の差が表情を作り、「DRIP」のこの部分では強い声を連ねることが見せ場になる。
同じ歌手の高音でも、柔らかな側へ移る選択と、力感を保つ選択が使い分けられています。

本人は、それまでの練習を見せようという気持ちで録音に臨んでいました。
積み重ねてきたものを、その場の提案に応じて使った場面でもあります。

ライブでの別の例が、2025年のMAMAでパリタ、ローラと歌った「Golden」です。
三人は原曲のキーで挑み、アヒョンは終わりに高音のアドリブも加えました。
曲にある高い旋律を歌いきることに加えて、最後の印象をもう一段押し上げる声も担っています。
「DRIP」の録音で作られた見せ場と、このカバーの終盤を並べると、高音をどこに置くかという違いにも注目できます。

「CLIK CLAK」のラップに置く、飾りすぎない声

同じアルバムで対照になるのが、七人全員がラップをする「CLIK CLAK」です。
アヒョンはこの曲について、余分なものをそぎ落とした雰囲気や、七人が自分たちのやり方で話をする面白さを挙げています。
高音で注目を集める曲と並べて、声の役割を変えているのです。

旋律を大きく伸ばす場面と、言葉をリズムに乗せる場面では、聴き手に届くものも変わります。
「DRIP」の見せ場をそのまま別の曲に持ち込まず、こちらでは曲が求める簡潔な表現へ向かう。

2024年11月の「DRIP」発売取材に掲載されたアヒョン(YG提供)
2024年11月の「DRIP」発売取材に掲載されたアヒョン(YG提供)。
画像出典:画像掲載元

小さく始める歌で、強弱の幅が伝わる

2024年11月の「リムジンサービス」では、「Love, Maybe」を柔らかな声で歌い、徐々に雰囲気を高めていきました。
「vampire」「HATE LOVE」でも、ピアノに寄り添う静かな歌唱から、後半の強い高音へと起伏を作っています。
共演したイ・ムジンが評価したのも、声の強さとともに、その強弱の扱いでした。

大きな声が出る歌手が、静かな部分でどう歌うか。
この出演は、アヒョンの声を考えるうえでよい手がかりになります。
最初からすべてを強くするのでなく、曲の進み方に合わせて使う強さを変えることで、歌の山がはっきりするのです。

合唱では、主役になる声と重なる声を使う

「Scars To Your Beautiful」のカバーでは、ブリッジで七人が声を重ね、そのあとをアヒョンの高音が締めくくります。
ハラム、のちのラミが歌の中心を支え、メンバーのハーモニーが応じる流れの中で、アヒョンが終盤の役割を引き受けました。
独唱の高音とは違い、ほかの声が作った流れを受けて前へ出る構成です。

準備段階では、アヒョンはメンバーへ細かく助言する側でもありました。
慣れない合唱に取り組むチキータを支えたことも伝えられています。
自分が目立つ場所を歌うことと、全員の声が合うように働きかけることが、同じ課題の中にありました。
高音を担当する人として見るだけでは、この役割は捉えきれません。

イ・ムジンとの「Flower Road」のデュエットにも、相手と合わせる歌の面白さがあります。
目を合わせてハーモニーを作り、ラップと歌を自然につないだ共演でした。
一人で声を大きく広げる場面と、相手のいる流れへ入っていく場面の両方に、アヒョンの選択肢があります。

舞台で集中するための音と、客席から受け取る力

舞台で歌うときの感覚について、アヒョンはイヤモニを着けると周りの音を遮れ、余計なことが気にならなくなると話しています。
客席の応援を感じることで自信も増すというのです。
2025年の取材で語ったこの感覚は、発声の技術に加え、集中できる状態と人前で歌う気持ちも、歌声に関わることを教えてくれます。

2026年の「CHOOM」の活動では、曲ごとの雰囲気を表すため、生の歌声とパフォーマンスが自然につながるよう練習したとも説明しています。
表情や細かな動きまで、曲の違いを伝えるための要素です。
声だけを切り離して最大限に出すのではなく、歌う曲とその場の見せ方を一緒に整えていると受け取れます。

重みのある地声と柔らかな裏声、連続する高音、簡潔なラップ、相手に重ねる声。
アヒョンの歌い方を追うなら、それぞれが置かれる場所にも耳を向けたいところです。
選曲や録音、舞台との向き合い方が変わってきた経緯は、アヒョン(BABYMONSTER)の歌唱変遷でたどっています。

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