Minamiの歌い方|シャウトの荒さと音程、ラップのリズムをどう使い分けるか

2024年6月15日、SATANIC CARNIVALでのMinami(撮影:Nariaki Ueda) Minami(Fear, and Loathing in Las Vegas)
2024年6月15日、SATANIC CARNIVALでのMinami(撮影:Nariaki Ueda)

Minamiの声には、思わず身構えるような激しさがあります。
けれど、Fear, and Loathing in Las Vegasの曲をたどると、同じ強さで叫び続けているわけではありません。
ざらつきを抑えて音程を付ける声、低めのシャウト、ラップとして言葉を運ぶ声。
何を変えると、その場面に必要な声になるのでしょうか。
本人と制作に関わった人たちの言葉から、曲ごとの選択を見ていきます。

音程を出すために、荒さを抑える

「Meaning of Existence」のサビでは、Soの歌とMinamiのシャウトが掛け合います。
ここでMinamiは、シャウトにも音程を持たせています。
Sxunが説明したのは、そのために声のざらつく成分が抑えられ、Minamiの素の声に近くなったということでした。
荒い響きと音の高さを、曲の中でどう両立させるか。
この曲では、その配分を変えた声が使われています。

シャウトだけの曲でも、声を一色にしない

「Crossover」はクリーンな歌が入らない曲ですが、すべての声がMinamiというわけではありません。
Soもエフェクトを使ったシャウトで参加しています。
Minamiの多様なニュアンスと、Soの加工した声を組み合わせることで、荒い声の中にも対照ができる。
激しい声を一人へまとめずに聴くと、曲の仕組みが見えます。

「Gas Will Blow You Away as Only Brakes is Boring」でMinamiが試したのは、同じシャウトの中に違いを作ることでした。
本人は、低めの声で、出し方も少し違う表現を得られたと説明しています。
高さと声の質感の両方が、曲に新しい表情を与えたのです。

「Shake Your Body」では、叫ぶ声にも踊れる感触を

「Shake Your Body」では、Minamiのシャウトにも、耳に残って踊れる感じを求めていました。
Sxunが語ったこの狙いは、シャウトを曲の激しさだけで考えないための手掛かりです。
Soのメロディーと同じように、Minamiの声も曲のノリを作る。
歌と叫びを、旋律と雑音のように切り分けてしまうと、この役割が見えにくくなります。

「LLLD」のラップでは、声の質感とリズムの心地よさが課題になりました。
シャウトを弱めるだけで完成する表現ではなく、言葉をどう乗せて聴かせるかを探したのです。
声色を変えることと、フレーズのリズムを作ることが、一緒に問われています。

激しさを声へ集中させない選択もある

「Evolve Forward in Hazard」は、シャウトを主役にしないという条件のあるドラマ主題歌でした。
制作側は最初、シャウトなしで作り、後からMinamiの声を二か所に入れた案を示して了承を得ています。
その制約の中で、Minami自身はギターのリフで激しさを作ろうとしました。
声を増やせないなら、曲の別の場所に力を持たせる。
自分の声をどれだけ使うかまで含めて、歌の配置を考えているのです。

同曲の静かなピアノの間奏には、Minamiのラップを試した案もありましたが、採用されませんでした。
新しくできる表現が増えても、毎回入れることが目的にはならない。
曲全体の流れの中で、その声が必要かを選んでいます。

他の歌い手へ渡すと、声の個性がはっきりする

2025年のインタビューに掲載されたMinami
2025年のインタビューに掲載されたMinami。
画像出典:画像掲載元

RAISE A SUILENの紡木吏佐は、「Repaint」の録音で、Minamiのラップに影響を受けたと話しています。
ただ、自分が演じるチュチュならどう歌うのか、という感覚も残ったそうです。
次の提供曲では、ラップの格好よさとキャラクターの声が合っているかを、その都度確かめながら録音しました。

同じフレーズを受け取っても、声の人格まで同じになるわけではありません。
Minamiのラップが参考になりながらも、それを別の歌い手の声へ移すときには調整が必要になる。
提供先の試行錯誤からも、声色とリズムが結びついた表現であることが分かります。

「Drown Out the Noise and Push Through the Trash」のラスベガス版では、チュチュのラップに当たる部分をシャウトで表現しています。
Minami自身が、その置き換えによって別の特徴が生まれたと話しました。
提供時の仮歌では、Minamiがラップを入れていた曲です。
そのフレーズをどう発声するか、改めて選んでいるのです。
ラップとシャウトを行き来できるからこそ、同じ曲の別の姿を作れるのです。

一人で突出する声も、重なって支える声も

「Song of Steelers」のシンガロングには、Taiki、Tetsuya、Minamiの声が重なっています。
本人は、音源でも大人数が一緒に歌っているような感じになっていると説明しました。
目立つ一声を放つ場面とは違い、ここでは観客が加わりたくなる声のまとまりを支えています。

2025年の「イナズマロック フェス」では、その「Song of Steelers」の歌える部分や振り付けが、会場の一体感につながりました。
一方、西川貴教を迎えた「Be Affected」では、西川とSoの歌にMinamiのスクリームが加わり、曲をさらに押し出しています。
最後の「Luck Will Be There」では、幸福感のある曲の中でシャウトが映える。
荒い声が担う感情を、怒りや怖さだけに狭めることはできません。

2026年の「802 Jungle Attack Vol.8」でも、Minamiは「Until You Die Out」で重厚な音の中へ強い声を送り込み、「Just Awake」ではSoとの高低の対照で曲を動かしていました。
歌を聴かせる瞬間と、観客の身体が動く瞬間がつながる。
録音で選んだ声は、ライブでは相手の声や客席の反応を含む表現になります。

Minamiの歌い方を見ていくと、シャウトにも調整する要素が多いことが分かります。
音程のために荒さを抑える。
低い声で違う質感を加える。
ラップでは言葉を運ぶリズムを探り、曲によっては自分の声を減らす。
そうした選択があるから、激しさの中にも曲ごとの違いが生まれます。
声の選択肢が増えていった歩みは、Minami(Fear, and Loathing in Las Vegas)の歌唱変遷でたどっています。

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