ジス/JISOO(BLACKPINK)の歌唱変遷|自分の声を探す迷いから、曲ごとに声を選べる歌へ

2023年、初のソロ作品『ME』の告知写真に写るジス シンガー
2023年、初のソロ作品『ME』の告知写真に写るジス

大きな舞台で歌っていても、自分一人の歌では何を聴かせたいのか、すぐには決められない。
BLACKPINKのジスにも、そんな時期がありました。
その後のソロ作品では、控えめな表情を持つ『FLOWER』から、温かみのある歌、相手に寄り添う低音へと、声の見せ方を広げています。
変化をたどる手掛かりは、声を別人のように変えることより、その声でできることを見つけていく過程にあります。

2022年|好きな音楽と、自分が歌う音楽の間で

ジスは2016年にBLACKPINKのメンバーとしてデビューしました。
グループでの活動と並行して俳優としても作品に出演し、後には個人レーベルのBLISSOOを通じてソロ活動を展開します。
ただ、その出発点からソロ歌手としての方向が固まっていたわけではありません。

2022年、ジスは、自分が聴く音楽、歌える音楽、挑戦したい音楽がそれぞれ違うと話しています。
楽器がたくさん鳴るバンドやロックが好きでも、それをそのまま自分のソロにすればよいのか。
人が自分に求めるものも気になり、答えは一つにまとまりませんでした。

一方、グループで曲を作る過程には楽しさを感じていました。
出来上がった曲を受け取るだけでなく、初期段階から雰囲気や言葉を変えていく作業にも関わっていたのです。
音楽を作る喜びはある。
そのうえで、一人になったときの声の置き場所を探していたと考えると、後のソロ作品への歩みが見えやすくなります。

2022年、ソロ活動への思いを語ったインタビューに掲載されたジス
2022年、ソロ活動への思いを語ったインタビューに掲載されたジス。
画像出典:画像掲載元

2023年|『ME』で、静かな強さを自分のものにする

2023年3月、初のソロ作品『ME』が発表されます。
収録曲は『FLOWER』と『All Eyes On Me』の二曲。
ジスは、元々の自分を失わずに、まだ見せていない面を表したいと考え、音楽や映像など制作全体に意見を出しました。
作る過程で、それまで知らなかった自分の魅力にも気づいたと振り返っています。

ジスは発表前、『FLOWER』を、歌声、パフォーマンス、見た目のどこから見ても自分をよく表す曲だと説明しました。
好きな音楽と、自分が歌う音楽の間にあった迷いに対し、まず一曲の形で答えを出したのです。
声の特徴だけを売りにするのでなく、歌う姿全体を自分の表現として選んだ出発点でした。

『FLOWER』は、特徴的な低音と音数を絞った伴奏を土台にした曲です。
歌声を大きな音で囲むより、声と旋律の個性を残す作りになっています。
対して『All Eyes On Me』では、ギター、ベース、弾むドラムが前へ進む力を作る。
最初の二曲から、同じ声を異なる伴奏の中で聴かせる構成でした。

『FLOWER』の主人公は、別れの痛みに沈み続けるのでなく、その先へ進もうとします。
この曲の歌には、感情を保ちながら取り乱さない品のよさがあると評されています。
ここで聴かせる強さは、激しい言葉を大声で押し切るような強さとは違う。
自分の姿勢を崩さずに歌うことが、別れを受け止める人物像につながっていました。

2025年|『AMORTAGE』で、声が担う感情を増やす

約二年後の『AMORTAGE』では、恋愛のさまざまな瞬間を四曲に託します。
最初に決まったのは『earthquake』でした。
ジスは、始まりから終わりまで予想外の変化があるところを気に入り、アルバム全体も恋の映画のように流れる作品にしたいと考えたそうです。
一曲で自分を紹介する段階から、複数の感情をつないで見せる段階へ進んでいます。

曲を選ぶ際には、音楽だけでなく、振り付けや衣装まで含めた全体の調和を考えていました。
単に自分の好きなジャンルを集めるのではなく、歌う自分の姿まで想像して選ぶ。
以前の迷いに対し、作品を具体的に形にするための判断が育っていたことが分かります。

『FLOWER』と『earthquake』を比べると、前者の空気を残した抑制的な作りから、後者では声の温かさや質感を引き立てる、厚みのある伴奏へ変わっています。
その中で歌も、より確信を持って感情を表すものになったと評価されました。
声の周囲の音が変わることで、歌の表情も伝わりやすくなったのです。

『ME』に比べ、『AMORTAGE』では楽器に任せていた盛り上がりを歌が受け持つ場面も増えたと評されています。
抑えた表情を持つ声に、前へ出る役割が加わりました。

2025年秋|『EYES CLOSED』では、低い声を選ぶ

ZAYNとの『EYES CLOSED』は、2025年4月にロサンゼルスで録音していた際、デュエットにしてはどうかという案から実現した共演でした。
最初は夢のような話と感じていたジスですが、彼が加わると、曲が完成したように思えたと振り返っています。
この曲では、以前より低く繊細な声を意識していました。

10月に発表された録音は、ジスの歌から始まり、ZAYNが応じ、二人の歌が大きなサビへ向かう構成です。
鍵盤やアコースティックギターの温かさの中で、声が受け渡される。
一人で場面を切り替えていたソロ作品とは、声を置く条件そのものが変わっています。

ジスは後に、ZAYNとの調和を考えて低めの声域を選んだと説明しました。
相手の声があることで、自分の低音を使う理由がはっきりしました。

2026年|低音と強い歌声を、別々の可能性として捉える

2026年には、本人が『EYES CLOSED』の柔らかな低音と、BLACKPINKの『GO』での爆発力のある歌い方を、自分の声の幅を示す例に挙げています。
片方を獲得したから、もう片方を捨てるという変化ではありません。
グループとソロを行き来しながら、曲に応じて違う面を取り出せるようになっているのです。

『FLOWER』の抑えた強さ、『AMORTAGE』での感情の広がり、デュエットで選んだ低音。
これらを並べると、ジスの変化は、一つの理想の声へ近づいていく一本道ではありません。
同じ歌手の中にある複数の表情を、作品ごとに確かめていく歩みに見えます。

2026年、『CLICK』のインタビューに掲載されたジス
2026年、『CLICK』のインタビューに掲載されたジス。
画像出典:画像掲載元

2026年の『CLICK』|完璧さより、感情を表すことへ

2026年9月には、初のフルアルバムへ向けた先行曲『CLICK』を発表しました。
ソロ作品を重ねたうえで、さらに新しい面を提示する曲です。

ジスは、この時期には完璧に仕上げようと自分へ圧力をかけすぎず、興味を持てることを試したかったと語っています。
演技では、人物がなぜそう行動するのか、その下にどんな感情があるのかを考える。
その経験が音楽にもつながり、整った表現を目指すことより、気持ちを表すことに集中しやすくなったそうです。

『CLICK』では、短くまとめたフレーズから、サビ前に声が上がっていく展開が聴きどころとして捉えられています。
細かく言葉を運ぶ部分と、その先へ気持ちが向かう部分。
一曲の中で歌の形を変えることが、迷いながらも相手に惹かれる物語に結びついています。

ソロで何を歌いたいのか迷っていたジスは、作品を重ねながら、声の選択に自分なりの理由を持つようになりました。
『FLOWER』から『EYES CLOSED』、そして『CLICK』へと聴き進めると、強さの出し方も、相手との距離も違います。
その違いを生む低音や裏声、言葉の運びは、ジス/JISOO(BLACKPINK)の歌い方で曲ごとに掘り下げています。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました