宮野静(CANDY TUNE)の歌い方・発声|澄んだ声に、がなりとしゃくりで熱を加える

宮野静(2025年公開のインタビューより/写真:篠田理恵) シンガー
宮野静(2025年公開のインタビューより/写真:篠田理恵)

宮野静の歌い方には、透き通った声の印象と、言葉に荒さや粘りを加える表現がある。
声そのものの美しさに注目する紹介もあれば、がなりやしゃくりの使い方に魅力を見いだす分析もある。

どちらか一方だけで宮野の歌を説明しようとすると、表情の変化を見落としやすい。
「ナナイロプロローグ」の歌い出しを軸に、声の質感と音への入り方を分けて考えてみたい。

「ナナイロプロローグ」のグループ公演で宮野静を追った公式推しカメラ映像(2023年6月11日、渋谷VIDENT)。

本人が語る「低めの声」と、透明感のある響き

合同取材でほかのグループの歌手について尋ねられた際、宮野は自分の声を、どちらかといえば低めの声を出す、と説明している。
FRUITS ZIPPERの仲川瑠夏の高音や、SWEET STEADYの塩川莉世の爽やかな歌声にも触れ、グループごとに違う声があることを魅力として挙げていた。
それぞれの音色の違いを意識している発言だ。

ここでいう低めの声は、本人が自分の持ち味を伝えるための表現である。
出せる音の上限や下限を示すものではない。
また、低い声と透明感は両立する。
音の高さと、濁りの少なさを感じさせる声色を分けると、宮野についての紹介をより具体的に理解できる。

がなりとしゃくりは、声の違う要素を動かす

作曲の仕事も手がける大槻奏斗は、個人の記事で、宮野のがなりやしゃくりに、表現としての意味を感じると書いている。
技巧を目立たせることより、その場面でその歌い方を選ぶ理由が聴き手に伝わる点を評価した見方だ。

がなりは、声にざらついた質感を加える歌唱表現を指す。
しゃくりは、目標の音より低いところから音程をずり上げる歌い方だ。
前者は声色、後者は音の高さの動きに関わり、同じ「力強い」という感想でも、注目している声の要素が違う。

たとえば、ざらつきは声の荒さに、しゃくりは言葉の入りの粘りに注目すると捉えやすい。
宮野についての大槻の分析も、これらをただ派手な技として数えるのではなく、歌の中で感情を伝える選択として見ている。
大槻が注目しているのは、歌を誰に向けて歌うのかを具体的にすることだった。
声の荒さや音の入り方を、言葉の気持ちと結び付けて評価している。

音声ファイルで行う、本番前の声出し

宮野は『smart』のインタビューで、ライブやイベント前には、ボイストレーニングの先生が作った声出し用の音声ファイルに合わせて練習すると話している。
始めると、ほかのメンバーも参加してくるという。
ステージで聴かせる力強い歌の背景には、指導者の用意した音声を使い、歌う前に声を出す具体的な準備がある。

同じ取材で、ステージ上の注目点として挙げたのも歌だった。
ライブでの歌には厳しい姿勢で向き合っているという本人の言葉からは、歌唱を自分の見せ場として大事にする意識が伝わる。
がなりやしゃくりといった目立つ表現だけでなく、その前にある声出しも、宮野の歌への取り組みの一部なのだ。

さらに、2026年のイベントでは、自分の歌を録ったボイスメモが約500件あり、幼い頃のものから残していると明かしている。
昔の録音を聴くと、声が幼く新鮮に感じるという。
どの録音をどんな練習に使っているかまでは語られていないが、自分の歌声が長く手元に残っているという、歌との身近な関係が分かる話だ。

宮野静(2025年公開のインタビューより/写真:篠田理恵)
宮野静(2025年公開のインタビューより/写真:篠田理恵)。
画像出典:画像掲載元

バンドと歌うため、ドラムだけの音にも向き合う

2025年5月のデビュー2周年ツアー最終公演では、CANDY TUNEのメンバーが、生バンドを背に歌う準備について語っている。
半年前から、ドラムの音だけで歌う練習やボイストレーニングを重ねてきたという内容だった。
宮野も参加するグループとして、伴奏の聴き方まで含めて本番に備えていたことになる。

ドラムだけになれば、和音や旋律の助けが少ない中で、リズムを聴きながら歌うことになる。
音程だけを取り出して練習する場合とは、向き合う条件が違う。
この発言はグループの準備についてのものだが、宮野の歌を考える際にも、声の高さや質感に加えて、バンドの拍の中へ言葉をどう乗せるかという視点を与えてくれる。

「ナナイロプロローグ」は、歌い出しと間奏明けに注目する

この曲についての個人の楽曲解説では、イントロと間奏明けで宮野が歌い始める箇所が、魅力として挙げられている。
同じ曲の中に、宮野の声が前へ出る場面が二度ある、という聴き方だ。

歌の始まりでは、声が出る瞬間に注目できる。
最初から目標の音へ入るのか、低いところから近づくのかで、言葉の表情は変わる。
途中で一人の声が目立つ場面に戻れば、その前までの歌との印象の違いも捉えやすい。

大槻の評価は、がなりやしゃくりを含む宮野の表現全体についてのものだ。
この曲の特定の一音を、その分析だけでがなりと決めることはできない。
「誰の声が目立つか」と「どんな歌い回しを選んでいるか」を順に確かめると、曲の見方が具体的になる。

この曲で宮野が歌う場所には、もう一つ違う役割もある。
本人がデビュー前に苦労したと話しているのは、最後のハモリだ。
冒頭で一人の声を印象づける場面と、終盤で別の旋律に声を重ねる場面を区別すれば、同じ歌手が一曲の中で担う仕事の広さが見えてくる。
ハモリでは、主旋律と違う音を担当する声が、重なったときにどんな響きを作るかにも耳を向けたい。

2024年のツアーで別の新曲に取り組んだ際には、ファンからの励ましで気が楽になり、歌えるようになった経験も語っている。
高い音がうまく出ない場面で、本人が強く意識していたのは失敗を見られる怖さだった。
声の難所に向き合うことと、聴き手の前で力を発揮することが、宮野の実感の中ではつながっている。

柔らかな声と、かっこいい歌声のギャップ

2025年秋のツアーに参加したファンの記録には、開演前の宮野の可愛いアナウンスと、普段のかっこいい歌声との違いに驚いた、という感想がある。
その来場者は「ナナイロプロローグ」の長めのソロも印象的な場面として挙げていた。

一方、2026年公開の人物紹介は、宮野の歌声を、繊細さ、力強さ、透明感という言葉で紹介している。
声の美しさと、強い表現に惹かれる聴き手がいることが分かる。
荒さを加える歌い方が評価されていても、宮野の声をいつもざらついた声、と一色にまとめる必要はない。

宮野の発声や歌い回しを追うなら、澄んだ声の質感、荒さを加える表現、音程をずり上げる入り方を分けて捉えたい。
それぞれが言葉にどんな表情を与えるか、という問いが、高音の高さだけでは見えない歌の個性につながる。

歌への不安と本番での成功、仲間の反応を時期に沿って知るには、宮野静の歌唱変遷もあわせて読んでほしい。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました