タケヤキ翔(騎士X)の歌唱変遷|高音を武器に、歌の選び方を広げてきた歩み

2024年の取材に掲載されたタケヤキ翔 シンガー
2024年の取材に掲載されたタケヤキ翔

タケヤキ翔の歌には、強い演奏の中でも存在を示すハイトーンがあります。
ラトゥラトゥでその声を前へ出し、ソロでは歌い方を見直し、騎士Xではほかの声と組み合わせる。
活動の場が広がるにつれ、持っている声の使い道も増えてきました。
その歩みを追うと、高音の華やかさの奥にある、歌を選び直す過程が見えてきます。

憧れの歌手に似ることから、自分の歌を探す

タケヤキ翔が強く惹かれた歌手の一人が、B'zの稲葉浩志です。
2019年には、尊敬が深すぎて、歌詞や歌い方が似ていると指摘された経験を話していました。
好きな歌手の魅力を知っているからこそ、そこから距離を取って自分の歌を作ろうとしていたのです。

同年に始まったラトゥラトゥは、ボーカルのタケヤキ翔と、ドラムや制作を担うマイキのユニットでした。
「神様の言うとおりに」では、強いロックの演奏へ和の趣を持つ旋律を組み合わせています。
本人は、音楽性を早くから固定せず、作りたいものを試したいと話していました。

この頃の音楽を支えたマイキは、ギターやベースも自分で弾き、低く下げたチューニングを使うことを話しています。
ラトゥラトゥの重さは、歌の勢いだけで作られたものではありません。
低い楽器の響きと、その上で存在を示す歌が組み合わさる。
タケヤキ翔の高音を考えるときにも、この演奏との関係は見逃せないところです。

2019年12月の初ワンマンでは、「絶命ロック」の高音に艶があり、一方の「赤い信号機」では切ない歌を静かに届けていました。
初期から、強い声と落ち着いた声の両方を持っていました。
その幅を、違う曲や制作相手の中でどう広げたかが、見どころになります。

2019年のB’zについての取材に掲載されたタケヤキ翔
2019年のB’zについての取材に掲載されたタケヤキ翔。
画像出典:画像掲載元

2022年、自分で作る歌と、人から学ぶ歌

この時期の広がりを考えるうえで、その前年の共演も大切です。
2021年の「1/30000日の人生」では、生田鷹司とともにSla/shersバンドの歌を担いました。
四つ打ちのロックに二人の力強い声を置く、番組のために作られたバンドです。
ラトゥラトゥの外で、別のボーカリストや制作陣と一つの曲を歌う機会になりました。

2022年のミニアルバム『#Short Films』には、作詞に加えて作曲も自ら担った「Hello Hello」が収録されました。
言葉だけでなく、旋律も自分の手で形にした作品です。
歌い手としての選択に、曲を作る側の視点が加わっていきます。

同時期の本人は、ラウドロック、和の情緒、ボカロの要素という三つを、ラトゥラトゥらしさとして挙げていました。
複数の音楽を組み合わせる面白さを持ちながら、作品の輪郭もはっきりしてきた時期です。
そこから名義を変え、別の曲に取り組むことが、歌の選択肢を広げるきっかけになります。

「未来のヒーローたちへ」は、その転機でした。
普段は自分で歌い方を決めていた彼が、ここではANCHORの指導を受けました。
高音が続く曲の中で、ファルセットを使う面白さに気づいたといいます。
外からの提案が、高い声を選び直す学びになりました。

同じシングルには、「1/30000日の人生」のソロ版も入りました。
2021年の生田鷹司との歌唱と、2022年のタケヤキ翔一人の歌唱。
共演で生まれた曲を、自分の名義へ引き寄せる機会にもなっています。

歌い方を学び直しても、ロックの強さが薄れたわけではありません。
2022年8月の「my HERO Festival」では、力強いシャウトを見せ、最後を「未来のヒーローたちへ」で締めました。
録音で声の選択肢を増やした曲が、大勢を前に熱を伝える歌にもなっている。
柔らかい声を知ることと、強く歌うことは、彼の中で両立していたのです。

ラップとアコースティックが、歌の輪郭を広げる

2023年2月のワンマンでは、「パラダイスロスト」で攻撃的なラップと迫力のある声を披露しました。
平出悟がプロデュースした曲で、メロディを歌い上げる以外の鋭さも見せています。
一方、「僕らの言うとおりに」はアコースティックで歌いました。
言葉を刻む歌と静かな歌を、同じステージで選び分けていました。

パラダイスロスト(2023年・MV)

声と曲の組み合わせを考える視点は、自分の歌の外側にも広がっていました。
2023年のTikTok曲メドレーでは、参加者の良さを出すために、本人が選曲や歌の割り振りまで監修しています。
誰が歌うと、その曲の魅力が伝わるのか。
歌い手ごとの個性を見て構成する仕事も、彼の音楽活動の一部になっていたのです。

2024年2月には、「クリスマスガール」をライブで初披露しています。
全国のショッピングモールを回る中で、子どもから大人まで落ち着いて楽しめる曲が欲しくなり、生まれたバラードでした。
ピアノとアコースティックギターに甘い声を重ねる場面には、届ける相手を思い描いた選択があります。
ここでは、静かな歌を必要とする理由が、観客との出会いから生まれています。

クリスマスガール(2023年・MV)

この頃の本人は、動画で興味を持った人が、ライブで目を合わせ、音楽を聴いて、さらに好きになってくれたらうれしいと話していました。
画面の中で親しんだ人へ、会場では歌を直接届ける。
歌の力を示したいという思いと、観客との距離を近づけたいという思いが、一つのステージに共存しています。

騎士Xで、一人の声を四人の音楽へ持ち込む

騎士Xへの参加にも、その前に共演の段階がありました。
2025年4月の東京ドームでは、Knight A – 騎士A -と「BOOGIE DOWN」「刀光剣影」を披露しています。
フェスを意識して作られた二曲で、すでに別々の活動をしてきた声が同じステージに立っていました。
その後の加入は、歌を交わした関係が、継続的なグループ活動へ進んだ出来事でもあります。

BOOGIE DOWN(2025年・MV)

2025年5月、タケヤキ翔は騎士Xに加わりました。
しゆん、ばぁう、てるとくんとともに、四人で活動する体制です。
これまで主に自分の歌を中心に組み立ててきた音楽へ、ほかのボーカルと並ぶ場が加わります。

同年8月の日本武道館では、ばぁうとの「吉原ラメント」で、二人の声と仕草に愁いを重ねました。
また、新曲「名も無き夢の中」では、観客の声が入って完成する曲だと呼びかけています。
隣の歌い手や客席の声まで含めて、場面を作るステージになっています。

2026年7月の取材に掲載された騎士Xの4人
2026年7月の取材に掲載された騎士Xの4人。
画像出典:画像掲載元

加入から一年を経た本人は、四人になっても不自由を感じたわけではなく、一緒に一つのものを作る過程で成長できたと振り返りました。
自分の個性を引っ込めることが、グループで歌う条件ではなかったのです。
それぞれが持つものを合わせることに、ソロとは違う可能性を見いだしていました。

2026年の「RESIST」では、タケヤキ翔自身がグループ曲のプロデュースを担当しています。
選んだのは、メンバーのシャウトも盛り込むロックでした。
自分が得意としてきた音楽を、四人の声で形にする。
磨いてきた個性が、仲間の声を生かす選択にもつながっています。

その一方で、同年のソロ曲「Buff」は、高音の強さを前へ出した作品です。
騎士Xでの活動が広がっても、自分の声で押し出すロックは続いています。
グループとソロの片方を選ぶのではなく、それぞれで歌の置き方を変えられることが、現在の幅になっています。

憧れの歌手から自分の歌を探し、外からの提案を受け入れ、観客や仲間に合わせて声の使い道を増やす。
タケヤキ翔の変化は、ハイトーンという武器を手放さず、その武器だけでは語れない歌を育ててきた歩みです。
曲の中で声をどう選んでいるかは、タケヤキ翔(騎士X)の歌い方で詳しく見ていきます。

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