アン・ユジン(IVE)の歌い方|突き抜ける高音と、本人が好きな低い声

2023年のアン・ユジン アン・ユジン
2023年のアン・ユジン

アン・ユジンは、IVEの大きなサビから、柔らかなソロ曲まで歌い分けます。
音の高さ、伴奏との組み合わせ、踊りながら歌う時の力。
曲と場面を手掛かりに、声を届ける選択を見ていきます。

「I AM」の高さには、残したかった効果がある

「I AM」では、キーを半音下げて練習する案も試されました。
しかしユジンは、高音が決まった時に届く爽快さが薄れたと話しています。
この曲では、高い音を正確に歌えた時の効果を大切にしたのです。

その声の強さをもう少し具体的に捉えるなら、「REBEL HEART」のアンコールが手掛かりになります。
2025年1月23日の歌唱について、取材したソン・ヨンインは、技巧を多く飾るより、一音ずつを確かに歌い進める声と評しました。
音程と声量を保ち、歌の要所を支えることへの評価です。

華やかな高音を一つ取り出すだけでなく、その前後の旋律がどれだけ明瞭につながるかにも注目すると、ユジンが曲の中で担う仕事を捉えやすくなります。
高音だけが突然現れるのではなく、歌い出しから終わりまでの流れの中で、声が曲を導いているのです。

自分が心地よく歌える声も、大切にしている

ユンナの「事件の地平線」をカバーした時、ユジンが求めたのは、低めの楽な音域で自分の声を自然に聴かせることでした。
「Issues」も、練習生時代から好きだった、気負わず歌える曲です。
「事件の地平線」では、効果や補正で巧く聴かせるより、素の声を届けたかったとも話しています。
高音を任されることと、本人の好きな声の高さは、必ずしも同じではありません。

「Dreaming」発表時(2024年)
「Dreaming」発表時(2024年)。
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「Dreaming」では、澄んだ声を物語へ向ける

2024年の「Dreaming」は、ウェブトゥーン「The Great」のための曲です。
穏やかなピアノとギターに、切なさを帯びたユジンの歌を合わせたポップ・バラードとして制作されました。
切ない歌声と静かな楽器の組み合わせが、曲の余韻を作っています。

原作を読んだユジンは、登場人物の現実的な状況に引き込まれたと話しています。
歌詞にも互いを思う気持ちが表れていると受け止めていました。
誰のどんな思いを歌うかが分かると、澄んだ声を聴かせることにも、物語の感情を運ぶ役割が生まれます。
作詞に参加した原作者のクァンジンは、主人公に残された手紙や日記、失った愛を思い出しながら生きる姿を曲へ込めました。
静かな伴奏の中で歌うユジンの声も、その個人的な思いを伝えるものとして置かれています。

同じソロ歌唱でも、2025年の「Sunny Day」では、明るく軽快な曲に声を合わせています。
ドラマ「いつかは賢いレジデント生活」の曲で、ギターやウクレレ、弾むビートを使った伴奏に、柔らかく温かな声を組み合わせた制作です。
録音では、最後の確認まで集中して取り組んでいました。

「Dreaming」の寂しさと、「Sunny Day」の励ますような明るさ。
どちらもソロ曲ですが、静かな曲だから弱く歌う、元気な曲だから強く歌う、という二択では捉えきれません。
軽快な伴奏の中に柔らかな声を置くことも、曲の親しみやすさにつながっています。

2026年のドラマ曲「슬픈 짠맛」(悲しい塩味)では、さらにシンセサイザーを交えたロックの編成に、清涼感と力強さのあるボーカルが組み合わされました。
つらい状況から立ち上がろうとする曲の意志を、声の勢いが支える作りです。
ソロになったら穏やかな歌だけを選ぶのではなく、物語が求める方向に応じて、力強さも持ち込んでいます。

「This Wish」の韓国語コラボレーション版では、希望を歌うミュージカルの曲に、澄んだ声と力強い歌唱を組み合わせています。
バラードかダンス曲かというジャンル名より、その場面の気持ちをどう届けるかから歌を捉えると、ユジンの異なる面がつながってきます。

踊りながら歌う時に出てくる力

ユジン自身は、自分の歌の長所が、踊りながらライブで歌う時に現れると考えています。
2026年には、息が上がるほど大変なコンサートで、それでも最後まで歌い切ろうとする時に力が出る、と説明しました。
これは苦しくなるほど良い声が出るという発声法ではなく、ステージで本人が感じる集中とエネルギーの話です。

2025年のロラパルーザ・パリでも、現地のライブ評は生バンドを伴ったユジンの力強い声を見どころに挙げています。
一方、公演全体には「You Wanna Cry」のように柔らかな曲もありました。
全てを同じ勢いで押し切る構成ではなく、強い歌が映える場面と、客席が落ち着いて聴く場面を持つライブです。
声の迫力も、その前後にどんな曲があるかで受け取り方が変わります。

ロラパルーザ・パリで歌うアン・ユジン(2025年)
ロラパルーザ・パリで歌うアン・ユジン(2025年)。
画像出典:画像掲載元

自分の歌い方を、その場で選べること

「All Night」では、アドリブや旋律を自分たちで考える機会もありました。
音を正確に出すことに加え、自分の表現を提案する録音だったのです。

また、「IVE SWITCH」でラップにも取り組んだことは、伸ばす声だけでなく、言葉のリズムを担う表現にも活動を広げた例です。
高い音を歌える人という見方だけでは、曲ごとに変わる役割を取りこぼしてしまいます。

ユジンの歌い方を聴き分けるなら、サビの高音に加え、ソロ曲で声をどう伴奏に合わせているか、ライブでどの場面を強く届けるかを追うと、印象が立体的になります。
高い音を任される確かさと、違う雰囲気を試せる柔軟さが、一人の歌手の中にあります。
そうした歌を引き受ける自信が育った過程は、アン・ユジンの歌唱変遷でたどっています。

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