ウィンター(aespa)の歌声の変遷|力強さを作った声から、細部を自分で選ぶ歌へ

ウィンター。GQ Koreaのインタビュー掲載写真(2024年11月) ウィンター(aespa)
ウィンター。GQ Koreaのインタビュー掲載写真(2024年11月)

aespaのウィンターには、強い音の中から突き抜けてくる声のイメージがあります。
一方で、デュエットやソロ曲では、柔らかさを前に出す場面もあります。
その幅は、年々声が強くなったという説明だけでは捉えきれません。
デビュー曲に声を合わせた時期から、録音の手応えを自分で確かめ、ソロの方向まで選ぶようになる過程をたどると、変わったものが見えてきます。

出発点には、柔らかな声を強い曲に合わせる仕事があった

2020年のデビュー曲「Black Mamba」は、ウィンターの声を考える最初の手掛かりです。

2021年、ジゼルはウィンターの本来の声を柔らかなものと説明しました。
そして、力強い「Black Mamba」に合うよう、ウィンターが歌い方を変えるために努力したことを挙げています。
これは本人による発声方法の解説ではなく、一緒に制作したメンバーの証言です。
それでも、柔らかさと鋭い表現が最初から無関係だったわけではないと分かります。

曲が求める強さを、自分の声でどう成立させるか。
デビュー期には、まずその課題がありました。
aespaの世界観に合う声を作ることと、ウィンター個人の持ち味を知ることは、同時に進んでいたと考えられます。
後の穏やかな歌唱も、この時期にはなかった声を突然手に入れた、と見る必要はありません。

2022〜2023年、はっきりした言葉と柔らかなソロが同じ人の中に並ぶ

歌やラップの言葉が明瞭なウィンターですが、発音だけを特別に意識しているわけではありません。
2022年に明かした歌い方の軸は、言葉の感情にありました。
先に重視するのは、その部分の感覚や感情だと説明しています。
デビュー後に担当するようになったラップも、ディレクターと意見を交わし、修正しながら作っていました。

言葉をどういう表情で届けるかは、初期から大事にしていたことでした。
この姿勢は、後年の録音への向き合い方にも残っています。

2023年の初単独コンサートでは、ソロ曲「Lips」がもう一つの姿を示しました。
ギターを演奏する姿も披露したこの公演で、バラードの「Lips」では甘く柔らかな歌声を届けています。
強いグループ曲を歌う人が、一人でどんな歌を届けるのか。
ソロの時間ができたことで、グループの曲調だけでは見えにくかった声の選択も、表に出るようになりました。

ウィンター。Allure Koreaのインタビュー掲載写真(2022年4月)
ウィンター。Allure Koreaのインタビュー掲載写真(2022年4月)。
画像出典:画像掲載元

2024年、「歌えた」だけで終わらせない録音と「Spark」

2024年は、誰かの曲を受け取ることと、自分から表現を提案することの両方が具体的になる年です。
4月にはバン・イェダムとの「Officially Cool」を発表しました。
KENZIEが制作したこの曲は、別れた二人が平気なふりをする気持ちを扱う、リズムのあるポップスです。
バラードで声量を競う形とも、aespaの強い曲調とも違う場所で、相手の声と関係を作る仕事が加わりました。

2024年の「Whiplash」の録音では、周囲に褒められても本人が納得できないことがありました。
偶然うまくいっただけでは、必要なときに再現できない。
自分で理由を理解してこそ、身についた力と考えていました。

曲に合う歌唱を、自分でも理解して使えるようになる。

さらに、ツアーで披露され、10月に配信されたソロ曲「Spark」では、初めて作詞・作曲に加わりました。
着想にしたのは、客席のペンライトです。
応援してくれる人の存在が、自分を自由に表現する力になるという経験を歌にしました。

声に合う曲を渡されるだけでなく、自分がステージで受け取ったものを曲に戻す。
「Lips」からEDMの「Spark」への広がりは、ジャンルの変化とともに、歌う内容を決める側へ一歩踏み出した変化でもありました。

2025年、強さを知ったうえで、冷たさや弱さも置けるようになる

2025年の「Dirty Work」では、グループ全体の声の見せ方にも変化がありました。
それまでの力強いボーカルとは異なる、落ち着いたクールな声色を打ち出した曲です。
ジゼルも、伴奏を抑えた構成によって声に注意が向くことを説明しました。
音の大きさを重ねる以外にも、存在感の作り方がある作品です。

この変化を、ウィンターが強い声を捨てた証拠にすることはできません。
同年にも、本人は力強い声が得意だと認めつつ、経験やジャンルの幅を増やしたいと話しています。

ソロ曲「BLUE」では、表に出す感情も変わります。
本人は、自分の経験を基に、聴く人に届く励ましを伝えたいと説明しています。
「Spark」で客席から受け取った光を歌にしたのに対し、「BLUE」では自分の弱さを含む経験が表現の材料になりました。

ウィンター。Harper’s BAZAAR Koreaのインタビュー掲載写真(2025年9月)
ウィンター。Harper’s BAZAAR Koreaのインタビュー掲載写真(2025年9月)。
画像出典:画像掲載元

音楽の形も、EDMからポップロックへ移っています。
「BLUE」では、次第に高まるギターの音に、ウィンターの繊細なボーカルが組み合わされています。
録音にはドラム、ベース、アコースティックギターとエレキギターなどの演奏が入り、本人は作詞とバックボーカルに参加しました。
「Spark」での作曲参加を、そのままこの曲のクレジットに当てはめることはできません。

ここで変わったのは、声の強弱だけでなく、歌を受け止める音の動きです。
ギターが高まる曲で繊細な歌を置くという組み合わせは、強い伴奏には常に強い声を合わせる、という発想には収まりません。
別の編成の中で自分の声を使う経験が、ソロ曲の幅を作っています。

どちらもファンに向いた歌ですが、差し出すものは同じではありません。
いつも強い人物として励ます必要はなく、自分の揺れを含んだまま届ける道もある。
ソロで異なる題材を選べるようになったことが、ウィンターの歌を一つの印象に閉じ込めない理由です。

2026年、録音の難しさが細かな表現へ移っていく

2026年になると、本人が感じる録音の難しさにも、さらに変化が表れています。
初めは音程やリズム、歌詞、発音をこなすことが難しかった。
慣れて早く録れる時期を経たあと、今度は細かな表現が気になり、再び難しさを感じるようになったという話です。

これは、正確さを身につけたら完成する、という成長の仕方とは違います。
できることが増えるほど、自分で選びたいことも増えていく。
2024年に語った「偶然の成功では納得できない」という考えは、こうした録音への厳しさとつながって見えます。

同年、ウィンターは『LEMONADE』にある生の強さ、柔らかさ、その間の緊張を挙げ、感情の細かな違いへの関心を語っています。
一つの曲が自分を完成させたとも考えていません。
秋には、ソロの選曲で会社から最初に示された案とは別の曲を選んだことも明かしました。
声の出し方だけでなく、どんな場面でどんな自分を見せるかを選ぶ範囲が広がっています。

ただし、選択肢が増えたことを、そのまま不安がなくなったこととは捉えていません。
2026年8月にも、本人はステージに立つ幸福と、期待に応える難しさを一緒に語っています。
観客の期待だけでなく、自分自身の満足も関わるためです。
録音でも舞台でも、経験を積むほど自動的に楽になるというより、自分が求める結果を問い直すところに、現在のウィンターがいます。

ウィンターの変遷は、柔らかい声が力強くなり、それで完成したという物語ではありません。
求められる強さを作り、残っている柔らかさも使い、自分の経験や判断を録音に持ち込むようになった過程です。
その声の使い分けを曲ごとに考える話は、ウィンター(aespa)の歌い方で詳しく取り上げています。

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