XGのHINATAは、デビュー曲の短いささやきに、自分らしさを込める難しさを感じていました。
その後、柔らかな声を一曲で聴かせるソロカバー、CHISAとJURIAとの共演、全員がラップする「WOKE UP」へと、歌唱の役割を広げていきます。
そして、三人のオリジナル曲「4 SEASONS」へ。
声がどう変わったかを考えるとき、声質とともに注目したいのが、彼女の声で表せるものが増えていく過程です。
2022年|短いささやきにも、自分の感情を入れる
HINATAは、初めから人前に立つことに迷いのない子どもではありませんでした。
ポップスやR&Bが好きで、アーティストに憧れながらも、恥ずかしくて人に打ち明けられなかった。
15歳でXGALXの計画を知り、思い切ってオーディションへ進んだのです。
練習生として仲間と暮らすうちに、自分が生き残りたいという思いは、みんなで夢をかなえたいという思いへ変わっていきました。
2022年3月のデビュー曲「Tippy Toes」には、声を大きく張ることとは違う難しさがありました。
HINATAが振り返ったのは、サビのささやくフレーズです。
はっきりした旋律のない短い部分に、どう自分の個性や感情を込めるのか。
小さな声のパートだから簡単なのではなく、使える音が限られるからこそ、自分の表現にする工夫が必要でした。
同年の「MASCARA」では、表に出すエネルギーが変わります。
HINATA自身が、暗めで控えめな「Tippy Toes」に対し、「MASCARA」は力強く、楽しく、活力に満ちた曲だと説明しました。
歌やダンスだけでなく、どう見せるかまで以前以上に練習したといいます。
デビュー時の雰囲気を守ることより、次の曲にふさわしい姿を見せることへ向かったのです。

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2022年秋|「RIDE」で、一人の歌声が前に出る
10月14日には、ソロのボーカル映像「RIDE」が公開されました。
選ばれたのは、韓国のR&BシンガーSOLEがTHAMAを迎えた曲。
CHISA、JURIAのソロ企画に続き、HINATA自身の声を一曲の中で紹介する機会になりました。
グループ曲の中で受け持つ短い部分から、一人で曲を運ぶ歌へ。
聴き手が彼女の歌声に接する形も変わったのです。
このカバーで印象を残したのは、柔らかく澄んだ声でした。
「MASCARA」で示した力強いイメージとは違う、穏やかなR&Bの表情が前に出ます。
ここを急激に歌唱力が上がった瞬間と決めるより、グループ曲だけでは見えにくかった持ち味が、はっきり伝わるようになった場面と捉えるほうが自然です。
強い曲に参加することと、柔らかな歌を自分の声で成立させることが、彼女の中で並び始めました。
2023〜2024年|三人で歌う時間と、ラップへの挑戦
2023年5月、XGがニューヨークの「Head in the Clouds」に出演した際には、CHISA、HINATA、JURIAの三人で「Peaches」を歌いました。
七人の曲を披露するステージに、少人数で歌声を聴かせる場が加わったのです。
HINATAのソロを知った聴き手は、今度は二人の歌声と組み合わさったときの彼女を知ることになります。
CHISAは、HINATAが加わった「Peaches」に新鮮さが生まれたと話しています。
6月には「XGLEE CLUB」、翌2024年5月には「Losing you」と、三人で歌う公式企画も続きました。
単発のソロ紹介にとどまらず、ボーカルの組み合わせとして繰り返し作品を届けるようになったことが、この時期の変化です。
HINATAの声には、一人で曲を聴かせる役割に加え、CHISA、JURIAと一緒に一曲を作る役割が定着していきました。
「XGLEE CLUB」では、HINATAの「Bad」を含む三人それぞれの歌唱を紹介した後、TLCの「No Scrubs」を一緒に歌っています。
個別の歌声を知ったうえで、三人になったときの音楽を受け取る構成。
ソロとユニットが競い合うのではなく、互いの魅力を分かりやすくする組み合わせになりました。
その一方で、2024年5月の「WOKE UP」では、七人全員がラップに挑みます。
MAYAも、歌を担当するメンバーが今回ラップを披露することを、曲の大切な挑戦として挙げていました。
HINATAも、柔らかな旋律を歌う側に役割を固定されることなく、この全員参加のラップ曲を担っています。
声の魅力を知ってもらう道は、ボーカル曲を増やす方向だけではありませんでした。

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2025年|同じ曲にも、別の温度を見つける
2025年の「IS THIS LOVE」のピアノ版について、HINATAは、夢の中のような不思議な雰囲気と、感情のこもったR&Bの味わいを挙げています。
愛には温かさも冷たさもあり、簡単には分かり切れないという本人の捉え方も印象的です。
力強い自己表現だけでなく、ひとつの気持ちの中にある違う温度へ目を向ける。
曲をどう届けたいかという説明にも、その関心が表れています。
同じ頃、初のワールドツアーを振り返ったHINATAは、各地でファンに会い、自分たちの音楽がどこまで届いているのかを実感したと語りました。
長い準備を重ねてきた音楽に、目の前で応えてくれる人がいる。
歌い手としての経験は、録音の中で自分の声を作るところから、その声を受け取る相手と出会うところまで広がっていました。
2025年末から|カバーで育った三人が、自分たちの曲を歌う
2025年12月24日、CHISA、HINATA、JURIAによる「4 SEASONS」が発表されます。
穏やかなギターと広がりのある音の中で、そばにいても言えなかった気持ちや、離れていた時間に深まった感情を歌う曲です。
2026年1月のアルバム『THE CORE – 核』にも収められました。
CHISAは、この曲をボーカルユニット初のオリジナル曲と説明しています。
「Peaches」や「Losing you」で他の歌手の作品を三人の声へ置き換えてきた関係が、三人自身の楽曲を届ける形になった。
自分を紹介する一曲を問われたHINATAが選んだのも、「4 SEASONS」でした。
理由は、その中で感情が移り変わっていくところが好きだから。
声の強さを一方向に増していくより、気持ちの変化を一曲の中に残すことに、自分らしさを感じているのでしょう。
2026年のマニラ公演でも、この曲は三人の歌をじっくり聴かせる場になりました。
ラップユニットの「PS118」に対し、「4 SEASONS」では流れが落ち着き、それぞれの声とハーモニーが前に出る。
初期の曲から新作までを披露するライブの中に、三人の歌を受け止める時間が置かれていたのです。
ささやく短いフレーズに自分を込めようとした出発点から、一人で旋律を歌い、三人で感情を描くところまで。
HINATAの歩みには、柔らかな声を残しながら、その声が働く場所を増やしてきた変化があります。
曲ごとの声の選び方は、HINATA(XG)の歌い方で詳しく取り上げています。

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