チェウォンの歌を「透明感がある」と表すだけでは、低いパートの力強さや、言葉を強調する歌い方がこぼれてしまいます。
本人が説明した録音の工夫や、共演者の言葉を手がかりにすると、魅力は一種類の声を守ることより、曲に似合う声を選ぶところにあります。
低音、高音、声の強弱、歌詞の気持ちが、どのようにつながっているのでしょうか。
「First Love」— 2022年公開のソロカバー
高い声にも、柔らかさと強さを一緒に持たせる
宇多田ヒカルの「First Love」は、チェウォンの高音を考える入口になる曲です。
2024年の『FNS歌謡祭 夏』で共演したアイナ・ジ・エンドは、チェウォン版のキーが原曲より高いことに触れ、その高音の美しさや儚さを評価しました。
共演後にも、柔らかさと強さが同居する声だったと感想を伝えています。
この受け止め方は、「高い音が出る」という説明から一歩進んでいます。
同じ高さの音でも、勢いを前へ押し出すか、柔らかな印象を保つかで、歌の人物像は変わります。
「First Love」で注目したいのは、届いた音の高さと、その音が運ぶ感情の両方です。
共演者が高音の柔らかさまで挙げていることが、この曲を単なる音域の見本にしない理由になります。
チェウォン自身は、練習生時代に日本語を学ぶ中でこの曲に出会ったと説明しています。
再び歌いたくなったきっかけも、当時の練習の記憶でした。
よく知る歌の旋律と言葉に、自分の声を重ねる。
このカバーには、得意な音を披露するだけでは説明できない、曲との個人的な関係があります。
「FEARLESS」の低音は、別の表情を作るための声
「FEARLESS」の低い音域は、本人にとって不慣れでした。
その声が自分に似合うのかという迷いもあり、低音を自分の表現として受け入れることから始めたといいます。
低い音が出ているかに加え、その高さでどう存在感を作るかも、この曲を聴くポイントになります。
高音を張り上げるときとは異なる声の選択です。

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対して「ANTIFRAGILE」では、本人が歌詞に合わせた強いポイントづけと、高音のアドリブの録音に言及しています。
ここでは、言葉のどこを目立たせるかという工夫が中心にあります。
一曲を同じ強さで押し通すと、強調したい場所との違いがつきにくくなります。
短い言葉のアクセントと高音の見せ場を分けて捉えると、曲の勢いを作る方法が見えてきます。
「EASY」では、頑張りをすべて表に出さない
「EASY」についてチェウォンは、歌もパフォーマンスも簡単ではないのに、余裕があるように見せる難しさを語っています。
好きなR&Bのスタイルに近い曲だからこそ、フィーリングをどう表すかにも向き合いました。
聴き手に届けたい雰囲気と、準備に必要な努力は、同じ大きさで表に出るものではないのです。
フレーズ全体がどのような態度に聞こえるかにも注目したくなります。
声を出す技術を、曲の雰囲気へつなぐところにも、彼女の工夫があるのです。
「ジュエリー (Prod. imase)」も、声の表情を考えやすい一曲です。
チェウォンは、この曲の明るく心地よい雰囲気を紹介しています。
SAKURAは、声自体にきらめきを持たせる感覚で録音したと説明しました。
メンバーが語る共通の曲づくりと、チェウォン自身が感じた魅力を重ねると、声の明るさも作品に合わせて選ぶ要素だとわかります。
低い音で存在感を作る曲があり、明るい声を楽しむ曲がある。
彼女の歌を一つの発声の型にまとめるより、曲ごとに何を前に出すのかを追うほうが、その違いを味わえます。
音域の広さと同じくらい、音色の選び方にも耳を向けたい歌い手です。
「ジュエリー (Prod. imase)」— 公式ライブクリップ(2023年)
高音を比べるときは、勢いと声の質感を分けて聴く
2025年の『HOT』に収めた「Ash」について、チェウォンはメンバーの歌声が光る曲だと紹介しています。
また、SAKURAは息づかい、カズハは高音、ウンチェはファルセットの魅力を挙げました。
一つの曲に対しても、声を見る角度はそれぞれ異なるのです。

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この言葉はグループ全体についての説明ですが、チェウォンを聴く際にも役立ちます。
高音に上がる場面を追うだけでなく、力強さを感じる音と、軽さや息の気配を感じる音を、質感の違いとして受け取ってみる。
そのうえで、誰から誰へ歌が渡ると印象が変わるのかも確かめると、一人の声とグループの響きの関係が見えてきます。
高音という一語の中には、音の高さとは別に、曲の空気を変える選択が含まれています。
「Ash」— 『HOT』収録の公式音源(2025年)
強い高音の具体例には、東京ドーム公演の「Fire in the belly」があります。
高いパートとアドリブでも、力強さと余裕を感じさせる歌唱を披露しました。
同じ公演では「告白」を伴奏なしで短く歌ってもいます。
音源の録音と一回の実演を区別したうえで、この二つを見ると、高音で盛り上げる場面と、一人の声へ注意を集める場面の違いがわかります。
会場の大きさだけで、すべてを大きな声で歌うと決まるわけではありません。
気持ちを決めることが、声を選ぶ手がかりになる
発声の使い分けを支えるのは、歌詞をどんな気持ちで届けるかという判断です。
ファンソング「FEARNOT(Between you, me and the lamppost)」の録音では、チェウォンは仕事帰りに読んだ応援のメッセージと、そのときの感情を思い出して歌ったと話しています。
抽象的に感情を込めようとするのではなく、自分が経験した場面を手がかりにしていました。
呼びかけるのか、そっと伝えるのか。
声の大きさや音色を、歌詞の相手との関係から考える手がかりになる話です。
相手と実際に声を交わす例が、2026年の『WOULD YOU RECORD』でのカズハとのデュエットです。
二人は「Trust Exercise」に加え、IUとオ・ヒョクの「Can't Love You Anymore」も歌いました。
普段はふざけ合うことが多い二人が、今回は真剣に一緒に歌いたかったというチェウォン。
一人で歌い切る場合とは異なり、相手の声との組み合わせも表現の一部になる場を、自ら選んでいます。
ソロ主題歌「告白」では、本人は恋のときめきや勇気を届けたいと語り、出演したハン・ヒョジュは澄んだ歌声と作品の雰囲気の相性を評価しました。
力強い曲を歌える声が、恋の物語にも居場所を持つ。
柔らかさ、低音の存在感、強調する言葉を、曲が必要とする表情へ結びつけられることが、チェウォンの歌い方の魅力です。
こうした選択肢が増えた経緯は、キム・チェウォンの歌唱変遷でもたどっています。

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