ソヒャン(Sohyang)の歌い方を考えるうえで、手がかりになるのは、本人が語る声のコントロールです。
高音を使えることに加え、声をどこまで出すか、どのような声色で歌うかを選んでいます。
本人の発言と番組側の記録から、声量の調節、カバー曲での声色、本番前に声を温める習慣を見ていきます。
「그대는 어디에(Where Are You)」公式番組映像(『私は歌手だ2』2012年11月25日放送)。
「7割」の声で歌う――声量の中にも、表情を作る余地を残す
ソヒャンは2021年の取材で、「明日に架ける橋(Bridge Over Troubled Water)」を歌った際、声を「7割」ほどに抑えたと話しています。
声をコントロールし、その中でもさらに調節しながら歌ったという説明です。
「7割」は本人の感覚を表す言葉ですが、声をどこまで使うかを選んでいたことが伝わります。
高い音を使う曲でも、すべてを同じ強さで歌う必要はありません。
声の大きさを調節し、その範囲の中で表情を付けることも、歌を作る工夫なのです。
「Lean on Me」の華やかさを、フレーズごとに準備する
同じ取材で、ソヒャンは「Lean on Me」を歌ったときの準備も明かしています。
一節ずつ区切って、どこを上げ下げするか、装飾が同じ形に偏らないようにするにはどうするかを考え、コーラスも含めて構成を決めてから覚えたそうです。
マイケル・ボルトンを前に歌う舞台だったため、繰り返し練習したと振り返っています。
自由に歌を膨らませるような表現にも、あらかじめ組み立てた流れがあります。
高音の一瞬だけを取り出すと、その音へ向かう準備や、前のフレーズとの差が見えなくなります。
どこで上へ動き、どこで違う形を選ぶかを追うと、ソヒャンが一曲を作る細かな判断にも注目できます。
憧れの歌から、声色と装飾の選択肢を学ぶ
ソヒャンは、マライア・キャリーの「Butterfly」で、予想しなかった装飾や、さまざまな声の使い分けに感銘を受け、研究したとも話しています。
高い音への驚きから始まっても、学ぶ対象は音の高さだけにはとどまりませんでした。
一つの歌の中で、声の質感をどう切り替えるかにも関心を向けていたのです。
原曲の荒い声色を変え、自分の響きで歌う
声色の選択が具体的に伝わる例が、2012年の『私は歌手だ2』で歌った「그대는 어디에(Where Are You)」です。
イム・ジェボムの原曲に対し、番組側は、ソヒャンが荒々しさを取り去って優雅な声に変えたと評しています。
カバー曲を歌うとき、原曲の声のざらつきや強さも、その曲の印象と結び付いています。
ソヒャンの例では、その声色をそのまま再現する方法とは違う道を選んでいました。
旋律を受け取りながら、自分に合う声の響きへ置き換えることも、カバーを自分の歌にする方法なのです。
この舞台では、後から15人の合唱隊が加わったことも、番組側の記事に記されています。
ソヒャンの声に別の声が重なり、舞台全体の響きが広がる構成でした。
壮大さを感じる場面には、本人の一声に加え、人数や声の重なりも関わっています。
声色を選ぶことと、合唱の中で声を聴かせること。
この二つを一緒に見ると、ソヒャンの表現を、声量だけで説明しきれない理由がさらにわかります。
共演する歌では、聴く人に何を届けるかを考える
2020年のコリア・ヘラルドの取材では、完璧な歌へのこだわりを見つめ直し、聴く人を慰めることを大切にしたいと話しています。
アコースティックの演奏を中心とする『Begin Again Korea』では、ほかの歌手と歌う経験も大きかったそうです。
特に心に残った場面として、出演者たちで歌ったgodの「길(Road)」を挙げています。
そこで彼女が振り返ったのは、難しい音を成功させたという話ではなく、共に歌いながら感情を分かち合った時間でした。
一人で声を聴かせる場面と、誰かの歌を受け取って次へつなぐ場面では、聴きどころも変わります。
ソヒャンの歌に触れるときも、最高音だけでなく、共演者の声の後でどう言葉を届けるかに耳を向けると、歌全体を捉えやすくなります。

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本番前は、低音から高音へ動く歌で声を温める
2024年の取材では、本番の30分ほど前に、マライア・キャリーやトリー・ケリーの曲を歌って声を温めると説明しています。
選ぶ理由として挙げたのは、低い音から中音、高音へと動く歌であることでした。
そうして準備することで、柔らかい状態で歌えると話しています。
本人の説明で注目したいのは、高音だけを取り出して準備するのではなく、低音や中音も通る歌を使っていることです。
高音に注目が集まる歌手でも、本番へ向かう過程では、さまざまな高さを行き来する声を整えていました。
「BLESSING」では、声を置く音楽から作る
声の使い方を選ぶ作業は、曲の土台を作る段階にも広がっています。
2024年の「BLESSING」について、本人は、制作ソフトで作ったトラックを仲間と発展させたと説明しました。
最初からヒップホップへの挑戦を目的にしたのではなく、伝えたい話に合う音楽であればジャンルを問わないという考えです。
この曲にはYDGのラップが加わっています。
本人によると、YDGがビートに合わせて作った言葉を気に入り、制作チームを呼んで録音へ進みました。
自分の旋律だけで曲を埋めるのではなく、別の声のリズムも受け入れながら完成させていったのです。
ソヒャンの歌を聴くうえでは、伴奏やラップの動きと、自分の声が入る場所との関係も手がかりになります。
声量をどう調節するかという一節の選択と、どんな音の中に声を置くかという制作の選択は、同じ曲の中で重なっています。
主旋律に加え、重ねる声も自分で組み立てる
2026年10月の「운다」では、ソヒャンはバックコーラスの編曲と歌唱も担当しています。
ホン・イサクらと作った曲で、作品紹介では、本人が抱えてきた感情を表し、聴く人の悲しみに寄り添うバラードと説明されています。
歌詞と旋律を作ることに加え、それを支える声を重ねる役割も持っているのです。
主旋律の一音がどれほど強いかと、複数の声で歌全体がどう広がるかは、別々に聴ける要素です。
コーラスに注目するなら、中心の歌が続いている間に後ろの声がどう支えるか、言葉の終わりで響きがどう残るかを追うとよいでしょう。
ソヒャンの仕事には、前へ出る声を歌う面と、その声を包む響きを作る面があります。
本番前には声を温め、曲の中では声量を調節し、カバーでは声色を選び直す。
ソヒャンの発声を本人の言葉から考えると、声の力に加え、その力をどのような状態で、どこまで使うかという工夫が見えてきます。
こうした選択が活動の中で広がってきた過程は、ソヒャンの歌唱変遷でたどれます。

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