イ・スヒョンは、自分の歌い方を、話すときのように歌うものだと説明しています。
声色や歌い方を意図的に大きく作り込むより、自分の自然な声を生かす。
ソロのダンス曲「ALIEN」でも、その基本の中で少し変化を付けたといいます。
ただ、自然に聞こえることと、どんな曲でも同じように歌うことは別です。
踊るとき、高い旋律を任されるとき、似た声の歌手と並ぶとき。
スヒョンの歌には、自分の声を保ちながら、場面に合わせて働かせるための選択があります。
「ALIEN」は、別人の声を作るためのソロではなかった
「ALIEN」を兄に依頼したとき、スヒョンが望んだのは、親しみやすさと自分の声の魅力を両立できる曲でした。
兄なら、その声をよく知っている。
AKMUとは異なる姿を見せるソロでも、声の持ち味は選曲の中心にあります。
曲の中には、自信を失った子に、その人だけの特別さを伝える物語があります。
スヒョン自身も、聴いた人が自分の価値を思い出せるような、前向きな曲にしたいと話していました。
ここでいう「話すように」は、普段の会話と同じ音量や音域に限定するという意味ではありません。
曲が変わっても、自分の声だと分かる感触を残すという、本人の歌唱観です。
ダンス曲だから必ず声を太くする、という決め方をしていない点が、この曲を考える手がかりになります。
自然な声を保つには、踊る体に歌を慣らす必要があった
「ALIEN」では、一曲を通して踊ることにも初めて本格的に取り組みました。
スヒョンにとって新しかったのは、踊りながら歌うと、声が安定しにくくなること。
その条件で歌うために、練習を重ねていたと話しています。
立って歌うときにできることが、動いているときにもそのままできるとは限りません。
だからこそ、声だけを取り出して「もともと安定している人」と捉えると、この挑戦の中身が抜け落ちます。
完成した歌を自然に届けるために、体が動く条件でも歌えるようにしておく。
本人が語る練習は、そのためのものでした。

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「DINOSAUR」の高音は、周りの音が減ったときにも見えてくる
「DINOSAUR」は、高いスキャットが印象を作る曲です。
2024年の10周年公演では、チャンヒョクのギターとスヒョンの声だけで、この高いフレーズを披露する場面がありました。
電子的な音が重なる原曲とは、声を囲む条件が異なります。
原曲の勢いの中で聞く高音と、ギターの横に置かれた高音。
比べるときは、どちらが高く聞こえるかだけでなく、何が声を支え、何が声と重なっているかに注目するとよいでしょう。
伴奏が変わったことを、そのまま本人の声域が広がった証拠にはできません。
一方で、同じ曲の旋律が、少ない音の組み合わせでも演奏を担っていたことは、歌手としての役割を考える具体的な手がかりになります。
同じ公演の「RE-BYE」では、澄んだ音色に加え、表現の幅も歌唱の見どころとして評されています。
一つの声質を褒めるだけでは、曲の中で何をしているかまで説明できないのです。
2017年のMV
「NAKKA」で難しいのは、似た声をただ重ねることではない
IUと共演した「NAKKA」では、チャンヒョクは二人の声の色が大きく違わないと考えていました。
そこで課題になったのは、よく溶け合いながら、それぞれの違いも出すことです。
スヒョンは、兄の細かな指示を受けながら録音したと振り返っています。
声が似ているなら、何も考えずに混ざればよいわけではない。
逆に、違いを出すために一方が別人のような声になる必要もありません。
聴きどころは、誰の声へ受け渡され、重なったときに一つの曲としてどうつながるかです。
単独で目立つ声と、相手の横で生きる声では、求められる働きが変わります。

イ・スヒョンは右。
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「EVEREST」では、声と伴奏が一緒に登っていく
Sam Kimと歌う「EVEREST」は、共演の別の形です。
アコースティックな導入から始まり、伴奏と二人の歌声が、曲の頂点へ向けて勢いを増していく構成として評されています。
最初から最大の声を見せるより、曲が進むにつれて力が加わることに意味があります。
高いところを歌えるかという一点だけで聞くと、そこへ到達するまでの道筋を飛ばしてしまいます。
入り口の声と、盛り上がった後の声を、一曲の流れの中で捉えてみる。
曲名が示す山登りのように、前の場面があるから、後の場面の大きさが伝わります。
同じアルバムの「Stupid Love Song」では、Crushと、歌い手の痛みが聴衆の楽しむ歌になるという物語を、物悲しい調子で表しています。
共演するからといって、いつも二人で華やかに盛り上がるわけではありません。
声を誰と合わせるかに加え、二人でどんな感情の中にいるのかが違います。
自分で歌の意味をつかめることが、自然さにつながる
2023年の「Love Lee」について、スヒョンは、歌をどう捉えればよいかが分かり、楽に歌えたと話しています。
2026年にも、歌詞を理解したうえで自分が表現したいという姿勢を語っていました。
声に出せることと、何を言っているのか自分でつかんでいることを、別に考えているのです。
スヒョンの自然な歌声は、いつも小さく、軽く歌うという単一の型には収まりません。
「ALIEN」では動きながら声を保ち、「NAKKA」では似た色の声と並び、「EVEREST」では曲の上昇を担う。
その場面ごとに違う仕事をしながら、自分の声として言葉を届けようとするところに、一貫したものがあります。
こうした歌との向き合い方が変わった経緯は、イ・スヒョンの歌声の変遷でたどっています。







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