仲川瑠夏(FRUITS ZIPPER)の歌声はどう変わった?「Chill out」からソロデビューへ広がった表現

仲川瑠夏(2026年のソロデビュー取材掲載画像) シンガー
仲川瑠夏(2026年のソロデビュー取材掲載画像)

2026年にソロデビューした仲川瑠夏には、それ以前から一人で歌う曲があった。
2023年の公演ですでに歌っていた「Chill out」だ。
グループの作品の中で好きな歌い方を前面に出し、個人名義のデビュー曲「朝にならないで」では、息の使い方にも新しい選択をしている。

FRUITS ZIPPERで歌を強みにしたいと考えていた頃から、ソロでも聴かせるようになるまで。
その歌唱で、何を表現しようとしてきたのだろうか。

朝にならないで — THE FIRST TAKE(2026年)

2022年、グループの中で歌を強みにしたかった

仲川瑠夏(2022年のFRUITS ZIPPER始動時の取材掲載写真/撮影:河邉有実莉)。
仲川瑠夏(2022年のFRUITS ZIPPER始動時の取材掲載写真/撮影:河邉有実莉)。
画像出典:Pop’n’Roll

FRUITS ZIPPERの活動が始まる2022年、仲川は、グループの中で歌が強いと言われたいと話していた。
加入する前にもアイドル活動の経験があり、FRUITS ZIPPERに入るまで、特に歌を頑張っていたという。

以前の活動を終えたのは2021年7月。
再びアイドルを選んだ理由を、新しい場所でさらに頑張り、ステップアップしたかったからだと説明している。
歌は、再出発のために自分で磨いてきたものでもあった。

プロデューサーの木村ミサも、当時から仲川の歌を高く評価していた。
木村は歌とダンスの実力を大事にしたいと考え、仲川がいることでグループがさらに上へ行けたら、と期待を寄せている。
歌は、最初から本人が引き受けたかった役割だった。

その時点で仲川が挙げていた目標は、まだ出たことのない夏フェスへ出演し、グループのファンを増やすことだった。
大きな舞台や世界へ進む夢も口にしながら、まずは目の前のステージを考えていたのである。
自分の歌を強みにすることは、7人で次の場所へ行くこととつながっていた。

一方、2022年の別の取材では、洋楽の歌い方には難しさを感じていると明かしていた。
声を転がすような歌い方がうまくできず、トレーニング以外の時間にも毎日練習していたという。
歌を武器にしたいという気持ちと、好きな歌手のようにはまだ歌えない感覚が、同じ時期にあった。

「わたしの一番かわいいところ」が広まっていくグループの中で、仲川も歌の力を磨いていたのだ。

わたしの一番かわいいところ — MV(2022年)

2023年には歌っていた「Chill out」、好きな歌い方をそのまま出せる曲

仲川瑠夏(2024年のsweet取材掲載写真)
仲川瑠夏(2024年のsweet取材掲載写真)。
画像出典:画像掲載元

「Chill out」の歌は、2023年7月3日のSpotify O-WEST公演の公式映像にも残っている。
2024年には、シングル「NEW KAWAII / フルーツバスケット」の仲川瑠夏盤に収録された。
個人名義でのデビューに先立ち、グループのメンバーとして、自分だけの曲を持っていたのだ。

Chill out — 2023年7月3日・Spotify O-WEST公演

この曲を作る際、仲川は、自分のルーツであるR&Bやヒップホップに、今のシティポップらしさも加えてほしいと希望した。
グループに入る前はアイドルの曲をほとんど聴いてこなかった、と本人は話している。
FRUITS ZIPPERとして届ける音楽と、自分が聴いて育った音楽には、もともと違いがあったのだ。

出来上がった曲は自分の声質にも合い、気持ちよく歌えたという。
さらに当時の取材では、好きな歌い方をそのまま出しているので、自分の好きな曲がこういうものだと知ってほしい、とも語っていた。

夜に聴くような、大人っぽいグルーヴのある曲も、仲川の歌になる。
明るく速いグループ曲で知られていた歌手が、自分の好みを声ごと差し出す場所ができた。
「Chill out」は、後のソロデビューに先立って、その一面を見せていた曲だった。

Chill Out — 2024年発売・権利者提供音源

2023年の思いを、グループの曲へ託す

ソロの好みが表れた一方、グループの曲にも、自分たちの気持ちを直接入れる経験があった。
2023年8月に発表された「ぴゅあいんざわーるど」だ。
仲川は後年、この曲ではメンバーの思いを玉屋2060%へ伝え、それを汲み取って作ってもらったため、特に気持ちが入ると振り返っている。

同じ2023年を振り返り、当時は自分の個性やグループ内の立ち位置に、それぞれ悩んでいた時期だったとも話した。
グループの「NEW KAWAII」という考えを、今ほど深く理解していたわけではなかったという。
個性を見せることと、グループの一員として歌うことを、実際の活動の中で結びつけてきたのだ。

「ぴゅあいんざわーるど」公式ミュージックビデオ(2023年)。

2025年「かがみ」、自分も励まされた言葉を歌う

2025年の「かがみ」では、歌う曲から仲川自身が受け取るものもあった。
SNSで多くの情報に触れ、他人をうらやましく感じることもあったが、この曲の前向きな言葉によって、前向きな自分を好きだと思えるようになったと話している。

同世代の女性にも聴かれるグループだからこそ、聴く人が自分自身を一番好きでいてほしい。
仲川は、この曲を通じて改めてそう感じたという。
得意な声を披露することに加え、自分も支えられた言葉を誰かへ届けることが、歌う気持ちを形づくっていた。

「Chill out」で好きな音楽を知ってもらうことと、「かがみ」で誰かの背中を押そうとすること。
歌う場所が増える中で、何を相手に渡したいかにも、いくつもの答えが生まれている。

「かがみ」公式ミュージックビデオ(2025年)。

2026年「朝にならないで」、一人で歌う場で見つけた表情

2026年6月の取材では、グループで大舞台へ出るときの気持ちを、無理に気合いを入れるより、各自が好きに楽しむことだと説明していた。
ステージに立つと自然に7人がまとまり、楽しむことが力になるという。
歌を強みにしたいと願って加わったグループは、仲川にとって、その力を一緒に発揮できる場所になっていた。

2026年9月、仲川は「朝にならないで」でソロデビューした。
この曲では、深夜2時の気だるさを表すため、FRUITS ZIPPERではしないような息の使い方を意識したと話している。

初披露の「THE FIRST TAKE」は、十分練習した自信があっても、一人になると怖さを感じる場だった。
メンバーと一緒にいる安心感に気づきながら、途中からは歌を楽しめ、自分では最も感情を乗せられたと振り返っている。

グループの一員として、歌を強みにしたいと考えた出発点。
自分の好みを聴かせる曲や、仲間と気持ちを込める曲を経て、一人で歌を届ける場へ進んだ。
仲川の変遷には、歌う力を、何のために、誰と、どんな表情で使うのかを選んできた歩みがある。

曲や場面ごとの声色や息づかいの工夫は、仲川瑠夏(FRUITS ZIPPER)の歌い方で掘り下げている。

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