佐藤優樹の歌い方・発声|キーと声質を探し、リズムと言葉を曲に合わせる

2024年11月公開の取材写真、佐藤優樹(撮影:是永日和) シンガー
2024年11月公開の取材写真、佐藤優樹(撮影:是永日和)

佐藤優樹は、自分の声をキンキンしていると表現することがあります。
その声をどう使うかに加えて、違う質感で歌うには何が必要かも、ソロ録音の中で探してきました。
キー、声質、リズム、言葉の伝わり方を一つずつ確かめるところに、本人が語る歌唱の工夫があります。

同じ曲を違う条件で録り、欲しい響きを探しながら、リズムと歌詞も同時に保とうとしています。
グループでは自分の歌割りに力を注いでいた佐藤が、ソロでは一曲全体の情景を聴き手に想像してもらうことを課題にしている。
声を変える試みには、その視点の違いも関わっています。

歌いやすいキーと、曲に合う声質を別々に試す

「嵐のナンバー」の録音について、佐藤は最初の一回をキーの確認に使ったと話しています。
複数の高さで一曲を通して歌い、半音ずつ下げることも試しました。
CanCam.jpの取材では、二回目から声質を試す段階へ進んだと説明しています。

「嵐のナンバー」では、マイリー・サイラスの「Flowers」の声も、目指す質感の例として挙がりました。
伴奏の音も複数の案を比較しており、低い声を単独で作るだけでなく、佐藤の声と曲全体の音が合うところを探す制作でした。
キーを下げれば求める表情まで自動的に決まるわけではないことが、この録音の段階を分けた説明からもわかります。

2024年11月公開の取材写真、佐藤優樹(撮影:是永日和)
2024年11月公開の取材写真、佐藤優樹(撮影:是永日和)。
画像出典:写真掲載元

ここでは、曲の高さを選ぶことと、声の質感を選ぶことが別の段階になっています。
実際に歌って高さを確かめた上で、さらに声の出し方を試していました。
部屋を暗くしたら声の出方が変わるか、という条件まで試したそうです。
決まった方法を当てはめるより、その曲の録音で使える声を探していたのです。

「花鳥風月 春夏秋冬」で求められたのは、古いエレキギターを思わせる声でした。
佐藤は、サビを地声にする練習もしたと語っています。
本人はこの曲で、低い音の響きや、ざらつきのある質感を試したと説明しています。
伴奏も打ち込みから生楽器へ変更しており、歌声の注文は、その音の中でどんな存在感を持たせるかという課題につながっていました。

16ビートを土台に、身体を曲のノリへ合わせる

この課題を考える手がかりになるのが、「とどめ」です。
QJWebの取材で佐藤は、ソロになってから常に16ビートを刻む必要はないと教わり、それを意識しすぎて、かえって以前の感覚を使いにくくなったと振り返っています。
ところが、この曲には細かな拍の流れが必要で、あらためて取り戻そうとしました。

身につけたリズムをすべての曲に当てはめるのでも、一度離れたから使わないのでもない。
「とどめ」は、曲に応じて必要な感覚を選び直す例です。
得意だったはずのことも、歌の中で使う条件が変われば、調整が必要になっていました。

2025年の関西プレスの取材では、音楽大学のボイストレーニングで、16ビートは基本でも、楽曲のノリに乗る必要があると教わったと話しています。
脇を締めた姿勢から、脇を開いて歌うよう指導されたことも挙げました。
声だけに意識を集めるのではなく、身体の動きも曲に合わせて考える経験です。

教師による自分の曲の歌唱にも、音色や身体のノリで印象が変わる面白さを感じていました。
細かい拍を感じることを土台に、曲全体の動きと歌う身体を結びつけようとしていたのです。

声のキャラクター、リズム、歌詞を同時に保つ

「Ding Dong」は、公式の作品紹介でも、ささやく表現を多く使った曲として説明されています。
ソロの佐藤の声を知るには、強く歌う場面だけでなく、こうした小さな声の表情も手がかりになります。
本人は、曲や音の良さを損なわず、自分の曲にしたいと思って歌っていると語りました。

一方、「Sorry!」では、かわいい声を出すことに意識が寄ると、歌詞や音程がおろそかになる難しさを感じていました。
かわいさを出しながら、リズムを保ち、言葉も伝えるにはどうしたらよいか。
佐藤は、このバランスを録音の課題として説明しています。

2025年10月公開の取材写真、佐藤優樹(撮影:安川結子)
2025年10月公開の取材写真、佐藤優樹(撮影:安川結子)。
画像出典:写真掲載元

得意な響きと違う声を選ぶときには、その声で歌詞とリズムを保てるかも確かめています。
かわいい声を出す試みは、一曲を通して言葉や音程を伝えられるかという課題にもつながっていました。

「Sorry!」と「とどめ」は、本人が選曲にも加わった楽曲です。
約40曲から5曲まで絞り、ワンコーラスずつ録音した上で、収録する2曲を選びました。
好きな曲調かどうかと、今の声で何に挑戦できるかを、録音を通して確かめていたのです。

また、2025年の「Error!」では、ラップを同期の石田亜佑美に依頼しています。
本人は関西プレスで、歌ってみたい曲にラップがあり、石田へ声をかけた経緯を話しました。
一人で表現の幅を広げる挑戦と、別の歌い手の得意な表現を迎える選択の両方が、ソロ作品を作る手段になっています。

歌詞を理解し、届けたい言葉をしっかり置く

グループ時代、佐藤は曲を理解するために、ノートへキーワードを書き出して分析していたと話しています。
曲が自分に何を伝えているのかを考えるための作業でした。

2025年の「TO BE CONTINUED!」については、特に自分に響いた歌詞の箇所を、しっかり言葉を置きながら歌っていると説明しました。
すべてを同じ強さで歌うのではなく、自分が受け止めた言葉に重みを持たせる姿勢がわかります。

歌詞と自分の気持ちが結びついた例として、本人が詳しく語っているのが「サウダージ」のカバーです。
2023年のバースデーイベントでは、恋愛の歌を、歌うことから離れそうになっていた自分へ向けて歌ったと説明しています。
カラオケで練習していた時点ではつかみきれなかったものが、ファンの前で歌うことでつかめたとも話しました。

この話では、同じ旋律を正確に繰り返すことに加えて、その日に誰へ何を伝えるかが歌を決めています。
歌詞の主人公の事情をそのまま演じる場合もあれば、自分の経験を重ねて言葉の意味を受け取る場合もある。
佐藤にとって歌詞の分析は、頭の中で理解して終わるものではなく、聴き手の前で声にするための準備でもあるのです。

キーを選ぶことも、地声の質感を探すことも、身体を曲のノリに合わせることも、最後には言葉をどう届けるかと結びつきます。
一つの得意な声を繰り返すだけでなく、歌詞とリズムを保ちながら、曲に必要な響きを確かめる。
そこに、佐藤優樹の歌い方と発声への向き合い方があります。

こうした課題がグループ時代からどう変わったかは、佐藤優樹の歌唱変遷でたどっています。

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