與那城奨の歌い方|深い声はどう動く?「OUTSIDERS」と「366日」の歌唱から

2025年1月28日、ソロ公演「Day by day」で歌う與那城奨 シンガー
2025年1月28日、ソロ公演「Day by day」で歌う與那城奨

與那城奨の歌声を考えるとき、手掛かりになるのは、中低音の深みと、相手の声へつながるときの動き方です。
温かく包み込むような声という評判がありますが、歌う曲は穏やかなバラードばかりではありません。
リズムの強い「OUTSIDERS」や、仲宗根泉と歌う「366日」では、その深い声をどう生かしているのでしょうか。

声の響きに注目した記名評と、制作・共演者が説明した具体的な歌い方からたどります。

「OUTSIDERS」公式MV(2022年)。

「僕らの季節」では、高い音にも声の深みが残る

與那城の声は、音の高さと響きの印象を分けて考えると特徴をつかみやすくなります。
高い音を歌うことと、明るく鋭い音色になることは、同じ意味ではないからです。

高橋梓は2022年の歌唱評で、與那城の低音の響きの美しさに加え、高いキーでも深みが失われないところを挙げています。
具体例として扱われたのが、「僕らの季節」です。
歌い手が細かく入れ替わる曲の中でも、担当部分に来ると與那城の声だと分かるという評でした。

「僕らの季節」公式MV(2021年)。

この曲を聴くときには、何番目に高い音が出るかよりも、歌い手が替わった瞬間の声の質感へ耳を向けてみてください。
高橋が指摘した深みが、低いところだけの特徴なのか、高い旋律までつながる個性なのかを確かめると、声の輪郭をつかみやすくなります。

好きな歌い方を持ちながら、曲に合わせて使い分ける

與那城は、自分の声で何でも同じように歌おうとしているわけではありません。
德永英明の「ハナミズキ」のカバーにひかれ、さまざまなカバー歌手を探し、玉置浩二の歌い方も学んだと話しています。
知っている曲でも、歌う人が変わると別の魅力に出会えることが、歌への関心を広げる入口でした。

その一方で、JO1に入ってからは歌い方を変え、それまでの歌い方とも使い分けたいと2020年の取材で説明しています。
好きな歌手から受け取った表現と、グループの中で求められる表現を、両方持とうとしていたのです。
声の深さに注目する時にも、その特徴をどこで強く出し、どこで前後の声につなげるかという選択まで含めると、曲による違いを捉えやすくなります。

「OUTSIDERS」では、太めの声が細かな歌い分けに入る

声に厚みがあると聞くと、長い音をゆったり伸ばす姿を思い浮かべるかもしれません。
その印象を広げてくれるのが、河野純喜と二人で参加した「OUTSIDERS」です。
この曲を制作した澤野弘之は、與那城の声を少し太めと捉え、AメロやBメロで色気のあるアプローチをしてくれたと話しています。

一方、河野について澤野が挙げたのは、高いキーで突き抜けるような声です。
二人の違いを同じ制作現場から語った言葉なので、與那城の声の役割を考える手掛かりになります。
立ち上がる高音と、曲に含みを持たせる太めの声が、細かく交替する構成です。

歌い分けは澤野の指定ではなく、JO1側で考えたものでした。
澤野は、一つのパートの中でも声が入れ替わることで曲のスピード感が増し、最初から自然にリズムへ乗って歌っていたと説明しています。
太い声の存在感と、細かいリズムの流れが一緒に働いているところが、この曲の面白さです。

2024年のanan本人取材に掲載された與那城奨
2024年のanan本人取材に掲載された與那城奨。
画像出典:画像掲載元

二人を聴き分ける際には、声の高さだけでなく、一つの流れをどこで渡し、次の声がどう受け取るかも手掛かりになります。
與那城の担当部分だけを切り離して考えるより、前後を含めて聴くと、声の厚みが曲の勢いにどう組み込まれるかを追いやすくなります。

「366日」では、コーラスの入り方と冒頭のフェイクに個性が出る

HYの仲宗根泉と歌った「366日」では、與那城はパワーと気持ちを込めたとコメントしています。
その歌を受け取った仲宗根の感想は、声のきれいさや伸びに加え、コーラスの入り方と冒頭のフェイクにまで及んでいました。
フェイクは、旋律の一部を崩したり、音を足したりして歌う表現です。

HY「366日 feat. 與那城奨(JO1)」公式コラボ映像(2024年)。

注目したいのは、共演者が、声そのものと歌の入り方の両方を評価していることです。
旋律に自分なりの動きを加えること、相手が歌っているところへコーラスとして入ること。
一人で主旋律を歌うときとは別の場所にも、與那城らしさが表れています。

このコラボを聴くときは、仲宗根の声にもう一つの声が重なる場面を追ってみてください。
響きの深さだけでなく、いつ入るか、どんな旋律の動きを添えるかに注目すると、二人の歌の関係が見えてきます。

「ひらく」で聴かせる、言葉を受け取れる余裕

秦基博が手掛けた「ひらく」には、深い声を穏やかな曲の中で生かす例があります。
與那城は、いつもの速く高揚感のある曲とは違い、歌詞と音楽を聴かせられることを喜んでいました。
秦の色が濃く出たデモを聴き、JO1としてどう歌い、自分の色をどう出すかも考えたといいます。

完成した歌について秦が挙げたのは、與那城の表現にある余裕と、聴き手が余白を感じられる声でした。
これは音量の大小だけでは表せない評価です。
一つの言葉を強く押し出す時と、その言葉の意味を聴き手が受け取る時間を作る時とでは、歌の届け方も違います。
「ひらく」は、その余裕という視点から與那城の声を追える曲なのです。

さらに秦は、この曲では、一人だと息継ぎが必要になるところも、複数人で歌い分けられると説明しています。
声の交替によってフレーズをつなぐことが、グループで歌う曲の作り方にも関わっていました。
「OUTSIDERS」の素早い交替と比べれば、声を受け渡す仕組みが、曲の速さや雰囲気に応じて違う役割を持つことも分かります。

同じ相手と、重なり方を変えて歌う

河野との共演にも、短いパートを交替する歌以外の形があります。
2025年のソロ公演「Day by day」の公式レポートでは、二人が「366日」に加え、「Just Don’t Know It Yet」を歌ったことが伝えられています。
後者では河野の希望で一つのスタンドマイクを使い、コーラスが溶け合う歌になったと評されました。

同じ二人でも、「OUTSIDERS」では声の違いを細かくつなぎ、この公演では声を重ねる親密さを見せている。
與那城の厚みのある声を考える時には、単独で聞こえる部分と、相手の声に混ざる部分を分けて追うと、その役割が見えてきます。
誰と歌うかに加え、どんな距離感の曲を、どんな重なり方で届けるかも、歌声の印象を作っています。

「僕らの季節」で声を際立たせる深みが、「OUTSIDERS」では短い交替の中で働き、「366日」ではコーラスやフェイクへ広がる。
與那城の歌い方を知るには、その声が一曲の中でどう動き、相手とどうつながるかまで聴くことが、大きな手掛かりになります。

歌い方を変えたデビュー年からソロ曲までの歩みは、與那城奨の歌声の変遷でたどっています。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました