安田章大の歌い方|透き通る高音と、相手に合わせて変える声

2025年3月1日のギタージャンボリーで弾き語りをする安田章大 シンガー
2025年3月1日のギタージャンボリーで弾き語りをする安田章大

安田章大の歌には、力強い声と透き通る高音があります。
SUPER EIGHTで歌うときには、相手に合わせて声の質感を変える表現も評されています。
前に出る声と、ほかの声に寄り添う歌。
その両方を見ると、安田章大の声の使い分けがつかみやすくなります。

友よ 公式MV・YouTube版(楽曲2019年)

力強く歌う声と、透き通る高音

2025年の『ギタージャンボリー』で、安田はギターを弾きながら「ワッハッハー」を力強く歌い、観客も声を返していました。
同じステージのアデル「Hello」では、透き通る高音が評されています。
客席と一緒に歌う曲と、自分の高い声を聴かせるカバーを、一本のギターと声で行き来した公演でした。

また、この公演では未発表の自作曲「ざわめきは嘘」も歌っています。
観客に二つの曲名を示して選んでもらい、情感を込めて歌ったと主催者のレポートは伝えています。
よく知られたグループ曲や他の歌手のカバーとともに、まだ聴き慣れない自分の歌を届ける役割も担っていました。

ここで聴き分けたいのは、高音に届くかどうかだけではありません。
客席を巻き込む歌では声が呼びかけになり、カバーでは一人の歌い手として旋律の表情を担います。
同じ弾き語りの舞台でその両方を見せていることが、安田の声を一種類の印象に収めにくくしています。

明るい高音に、話し声のような太さを加える

その使い分けを、制作の過程から見られる曲が「キミトミタイセカイ」です。
2021年2月の『関ジャム 完全燃SHOW』では、この曲のレコーディングに密着しました。
放送を伝えたリアルサウンドの記事によると、安田には、高音が明るく聞こえるために歌詞の印象と合わなくなる、という課題がありました。

本人も以前から声が軽いと感じていたものの、どう直せばよいかわからなかったと話しています。
そこで細かな発声を調整し、話し声に近い太さを持つ歌声へ近づけていきました。
高い音を出す能力と、その音をどんな質感で聞かせるかは、別に取り組む必要があったのです。

この例は、透き通る高音が魅力であることと、曲によっては声の明るさを変える必要があることを、よく示しています。
澄んだ声を生かしたい曲と、言葉に重みを感じさせたい曲では、選ぶ声も変わる。
安田の歌を聴くときは、音の高さに加えて、声が軽やかに響く箇所と、話すような厚みを持つ箇所を比べると、曲への向き合い方が見えてきます。

2026年5月2日の『The ONE~一音一生~』で歌う安田章大
2026年5月2日の『The ONE~一音一生~』で歌う安田章大。
画像出典:写真掲載元

相手の声に合わせて、ハーモニーの中で変える

グループで歌うときには、相手に合わせる表現もあります。
2022年の音楽評では、メンバーとのハーモニーで、相手によって声質を意識的に変えていると評されました。
曲によっては一歩後ろに下がり、ほかのメンバーのパートを際立たせるようにも感じられたといいます。

「友よ」の歌い出しは、同じ音楽評で表現力の例に挙げられています。
最初の一声で曲の印象を示すときと、ほかのメンバーの歌に声を重ねるときでは、必要な存在感も異なります。
いつも自分の声を目立たせるのではなく、主旋律を支える場面も含めて聴くと、その役割の広さがわかります。

相手が具体的に見える例は、同じ『ギタージャンボリー』での和田唱との「Fever」です。
二人は向かい合ってイントロを弾き、交互に歌いながら声を重ねました。
そのハーモニーに客席の手拍子が続き、安田のギターソロも飛び出したと公演評は伝えています。

一人で曲全体を担う場面から、相手の歌を受けて次を歌う場面へ変わります。
ここでは、高音を聴かせることだけでなく、どちらが歌を進め、どこで二人の声を合わせるかという受け渡しが、歌の表情を作っています。

言葉がはっきり届くように、伴奏の響きも選ぶ

安田自身は、歌を、自分の声と言葉で物語を語るものと捉え、ギターをそこに寄り添う友達のような存在だと説明しています。
その考えから見ると、一人の弾き語りも、和田と交互に歌う「Fever」も、声と演奏で話を進める場です。

2025年の和田唱との対談では、安田が特注したアコースティックギターについても語っています。
求めたのは、音の立ち上がりがよく、明るく、癖が少ない響きでした。
その理由に、自分の言葉をはっきり伝えたいという考えを挙げています。

歌を明瞭に届けるための選択は、声の出し方だけに限りません。
一緒に鳴る楽器がどんな音を出すかまで含めて、言葉の聞こえ方を考えているのです。
声が楽器に勝とうとするのではなく、言葉を語る声と、それに寄り添う演奏の関係を整える。
弾き語りの安田を聴くうえで、伴奏との釣り合いは大切な視点です。

演歌を、人物の気持ちがあふれる歌として届ける

声にどんな気持ちを乗せるかは、舞台でも大きな課題になります。
2017年の『俺節』で安田が演じたのは、演歌歌手を目指す青年・コージでした。
開幕時の取材で、安田は、この作品では気持ちを届けることを重視していると説明しています。
歌詞そのものが物語を描いているので、それを舞台で見せることが面白い、という捉え方でした。

公開された場面では、打ちのめされたコージが立ち上がり、演歌を歌い始めます。
その歌を受けて、福士誠治演じる相棒がギターをかき鳴らし、二人の掛け合いになっていきました。
ここでの力強い歌は、単独で迫力を見せるためではなく、言葉では収まらない人物の思いを相手にぶつけるものです。

脚本・演出の福原充則は、初対面で安田に歌ってもらった段階で、漫画を読んで想像していたコージの歌に重なり、人間味を感じたと語っています。
役の歌として求められたのは、演歌の形をなぞることに加え、その人が生きていると感じられる声でした。
安田の声が持つ親しみや熱を、人物の歌として生かすという見方もできます。

高音の美しさを聴かせるカバーとは、歌の役目が違います。
なぜその人物がそこで歌うのかを受け止めると、安田の強い声も、物語を前へ進める表現として聞こえてきます。

伴奏がなくなっても、その場の言葉を歌にする

2026年5月の『The ONE~一音一生~』では、ギターの音が出ないトラブルが起きました。
安田はアカペラに切り替え、その日の感謝を即興の歌詞とメロディにして届けています。
続いて「喝采」も伴奏なしで歌い、公演評は、会場が静まって安田の声だけが響いたと伝えています。

予定していた音が鳴らなくても、いま伝えたいことを声にして、観客との時間を続ける。
この場面では、高音や声量に加え、言葉と旋律をその場で結び付ける力が支えになっていました。
澄んだ高音、話すような太い声、相手に重ねる声。
安田の歌の幅は、それぞれの声を、目の前の曲や相手のために使うところにあります。

舞台とグループで歌を重ねてきた歩みは、安田章大の歌唱変遷でたどっています。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました