ソリュン(NMIXX)の歌唱変遷|苦手な声に取り組み、曲のために響きを選ぶまで

2023年5月号のインタビュー写真/ソリュン シンガー
2023年5月号のインタビュー写真/ソリュン

NMIXXのソリュンの歌をたどると、高音を出す力と、その声をどう使いたいかという考えが、別々に育ってきたことが見えてきます。
得意な声があっても、曲に必要な声まで自在に扱えるとは限らない。
苦手だった裏声に取り組み、自分では好きになれなかった響きも受け入れ、やがて聴く人に届く音を選ぶ。
その過程を、本人の課題と具体的な作品から見ていきます。

2022年、「STAY」で見せていたもう一つの顔

ソリュンは2022年2月、NMIXXの一員として「O.O」でデビューしました。
同年7月には、BLACKPINKの「STAY」を一人で歌うカバーを公開しています。
普段から好んで聴き、口ずさんできた曲を、自分の声でもファンへ届けたいという選曲でした。
当時から、グループの曲の一部分を担うだけでなく、自分の好きな歌を一曲として届ける場があったのです。

デビュー年から、ソリュンの声は甘さを持つものと評されていました。
強いパフォーマンスの中に、柔らかな個性もあった。
バラードで注目される以前からの持ち味です。

ここを出発点にすると、後の変化も見えやすくなります。
持ち味を一から取り替えてきたというより、すでに持っていた声を、難しい曲や異なる相手との歌へどう持ち込むか。
ソリュンの歩みには、その試行が重なっています。

2022年「STAY」のカバーを紹介したソリュンの写真/JYP提供
2022年「STAY」のカバーを紹介したソリュンの写真/JYP提供。
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2023年、得意な音域があっても裏声は課題だった

2023年2月の「The Moment」では、リリーとともにドラマ『その恋、断固お断りします』のOSTを担当しました。
二人の声を合わせ、恋のときめきをドラマティックに表す曲です。
NMIXXの一員としての歌に加え、少人数で物語を支える声も、早い時期から作品になっていました。

2023年の「Love Me Like This」では、裏声の部分に苦労し、練習を重ねたと話しています。
同じ頃、本人が気に入っていたのは、声色のよく出た「My Gosh」のサビでした。
好きな声を自覚しながら、得意でない出し方にも取り組んでいたのです。

7月の『リムジンサービス』では、パク・ジェジョンの「Let’s Say Goodbye」を原曲よりキーを上げて歌う挑戦が注目されます。
この歌唱が原唱者の印象に残り、後の共演へつながりました。

高く歌えることと、軽い響きを曲の中で使えることは、同じ課題ではありません。
2023年の出来事を並べると、その違いがよく分かります。
高音の挑戦に応えた人が、別の曲では裏声に苦労している。
どちらか一方だけで当時の実力を説明すると、本人が何を練習していたのかが見えなくなってしまいます。

共演と舞台を重ね、声の使い道が広がる

2024年6月の『ソングスティーラー』では、リリーと「Dream Girl」に挑戦しました。
SHINeeの曲を二人で担い、原唱グループのオンユの前で披露したステージです。
自身のグループの曲から離れ、別の歌手が築いた曲を二人の歌にする機会でした。

同じ番組では、サンドゥルとの「I Think I」も披露しています。
ピョルのソロ曲を男女のデュエットにした編曲は、原唱者本人が気に入るほどでした。
一人で歌い切る場だけでなく、相手の声と一緒に一曲の感情を作る経験が増えていきます。

「I Think I」/2024年6月16日放送『ソングスティーラー』、トークを含む番組編集版。

その年のロンドン、BST Hyde Parkでは、NMIXXとしてフェスティバルの舞台へ。
「TANK」「DASH」に加え、QueenやOasisの曲も歌いました。
自分たちの曲を知るファンだけを前提にできない客席へ、歌を届ける場が広がった時期でもあります。

これらの舞台に共通するのは、自分の声が担う役割を、曲と相手に合わせて考える必要があることです。
二人で元のグループ曲を担う時と、ソロ曲を男女で分け合う時では、声を置く条件が異なります。
高音の挑戦とは別の方向にも、ソリュンの歌の使い道が広がっていきました。

2025年春、頭声への思いを語った取材のソリュン
2025年春、頭声への思いを語った取材のソリュン。
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2025年、自分の頭声を見る目が変わった

2025年春には、頭声を幼く感じて好まなかったが、聴き手の反応から肯定的に受け止めるようになったと話しました。
自分の好きな声と、周囲が惹かれる声の違いに気づいたのです。

同じ頃、歌唱力を示す曲として挙げたのは、高音やアドリブの多い「Love Me Like This」でした。
期待への負担はありながら、褒められるほど、さらに良い歌を届けたいとも考えていました。
かつて課題を語った曲を、今度は自分たちの歌唱を代表する曲として捉えていた点が印象的です。

2025年の「High Horse」では、ヘウォンとソリュンが担う導入と終わりの同じフレーズについて、冷ややかさと美しさを感じさせる解釈が評価されました。
強く歌う声だけで押し進めず、フレーズの表情で曲に関わる役割も、作品の中で際立っています。

2023年に課題として語った「裏声」と、2025年に好みを語った「頭声」は、本人の説明の中でも文脈の違う言葉です。
二つを同じ技術の習得前後として結ぶことはできません。
一方、自分が好む声だけで歌を判断せず、聴き手に愛される響きも生かそうとする気持ちは、本人の言葉から確かめられます。

2026年、高い声をどんな音にするか

2026年2月には、パク・ジェジョンとの「지금 이대로만」を発表しました。
共演を提案したのは、以前のカバーに心を動かされたジェジョンです。
オーケストラを伴うバラードで、今度は本人と一緒に別れの感情を歌う。
一度の高音の挑戦が、二人で作品を作る機会へつながったのです。

5月の「Heavy Serenade」では、ソリュンは曲が切り替わる部分を歌いたいと考え、練習を重ねて担当をつかみました。
静かなヴァースから大きく開く構成も、最初から気に入っていたといいます。
用意された部分をこなすだけでなく、曲のどこを自分の声で担いたいかという希望も、具体的になっています。

10月の「Birthday Wish」では、高いサビを心地よく聴いてもらうため、普段とは声を出す位置を変える試みもしました。
高い音を出すことから、その音をどう届けるかへ。
本人が語る工夫の焦点が、聴き手の感じ方に置かれています。

「STAY」で好きな歌を届けた声は、苦手な部分への練習、共演、曲ごとの選択を通じて、使える場を広げてきました。
その中心にあるのは、高音の記録を更新することより、自分の声を曲の中でどう役立てるかという問いです。
好みの中低音も、他の人が愛する頭声も残しながら、必要な響きを探す。
ソリュンの変遷は、その選択が本人の言葉でも具体的になっていく過程として捉えられます。

曲ごとの声の選択は、ソリュン(NMIXX)の歌い方で掘り下げています。

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