ソンジンのざらついた声には、強い感情を一気に押し出す印象があります。
しかし、DAY6を支えるその声は、本人がロックの中で自分の色を探して選んできたものでした。
澄んだ声にも持ち味を感じていた歌手が、バンドで存在感を磨き、ソロでは柔らかさや細かな起伏まで見せていく。
その歩みをたどると、荒々しい声という一つの印象の奥に、表現を選び続ける姿が見えてきます。
2015年の出発と、ロックのために育てた声
ソンジンは2015年9月、DAY6のメンバーとしてデビューしました。
ボーカルとギターを担い、バンドの中心で歌う立場から歩みを始めています。
ソンジンは2020年に、もともとざらついた声だったわけではなく、自分の色を加えるために練習したと説明しています。
澄んだ音色の曲にこそ自分の声を感じていた一方、ロックには強い声が必要だと考えていたのです。
ここには、自分らしいと感じる声と、バンドの中で求める声を行き来する出発点があります。
生まれ持った一つの音色を、そのまま大きく鳴らしただけではありません。
曲の勢いに合う声を選ぶことが、やがて歌手としての特徴になっていった。
この経緯を知ると、後年の柔らかな歌も、別人のような変身ではなく、以前からあった可能性の広がりとして捉えられます。
もともとの音楽の好みも、一種類ではありませんでした。
ソンジンはモダンロックやブリットポップを好み、レディオヘッド、コールドプレイ、エド・シーランらを挙げています。
強い音色の持ち主でありながら、楽曲を思い描く背景には、異なる手触りの音楽があったのです。
2017年、多くの曲を作り、初期曲も歌い直す
2017年は、毎月作品を発表し、公演も重ねるEvery DAY6の年でした。
ソンジンはこの頃、挑戦を続けることで表現の幅が広がると話しています。
新しい曲を作るたびに舞台で届ける経験があり、作品と公演が切り離されずに積み重なる時期でした。
一方で、慣れない公演を重ねることには負担もありました。
ソンジンは、その時間を通じてライブの力が育ったとも振り返っています。
新曲を増やす速さの陰には、実際の舞台でそれを成立させる練習と経験がありました。
その途中で発表したアルバム『SUNRISE』では、以前の曲も録音し直され、歌のパートも組み替えられました。
後年のソンジンは、アルバムとして完成度を高めるための作業だったと説明しています。
初期曲を入れ直すだけでなく、その時点のバンドでどう歌うかを考え直していたのです。
「Letting Go」には、2016年の原曲に加えて、翌年の『SUNRISE』に収められたReboot Ver.があります。
また、ソンジンが2017年の作品から気に入っている曲として挙げたのは「When You Love Someone」でした。
強い歌ばかりに向かうのではなく、違う温度の曲も大切にしていたことが分かります。
同じ曲の別録音があることと、本人の発声がいつ変わったかは、分けて考える必要があります。
ただ、この時期に以前の完成形を固定せず、歌い手の配置まで見直していたことは確かです。
一人の声の個性を強めながら、複数の歌い手がいるDAY6の中で、その個性をどう生かすかも探っていたのでしょう。

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2020年から2024年へ、自分の歌を一曲全体で聴かせる
ソンジンは後に、自分らしさを感じる曲として「I don't wanna lose」を挙げ、以前に公開した「Afraid」のガイド音源と近いものがあると話しています。
二つは同じ手触りではないものの、自分の声を十分に出した歌として結びついていました。
ガイド音源は、完成したバンド録音とは別の形で、歌い手の表情に触れられる機会です。
ソンジンが後のソロ曲と結びつけたことも、その声が一時的な試みで終わっていなかったことを示します。
バンドの一員として受け持つ場面から、一曲の始まりと終わりまで自分で引き受ける歌へ。
ここに、ソロ作品を考えるうえでの橋渡しがあります。
2024年のDAY6「Welcome to the Show」については、それまで多かった悲しみを帯びた曲に対し、明るく人々を迎える気持ちを出したかったと説明しています。
バンドの活動でも、感情の置き方は一つに固定されていませんでした。
悲しさを強く訴える声だけで、ソンジンのこの時期を捉えることはできません。
2024年『30』、強い声の内側にある繊細さへ
2024年11月に発表した初のソロアルバム『30』には、力強い声の奥にある、小さく繊細な姿を映すという方向がありました。
全10曲の制作に本人が携わり、一人の歌い手の表情をまとまって示す作品になっています。
入り口の「Covered in Love」は、温かなピアノを伴う穏やかなポップロックのバラードです。
一方、「I don't wanna do anything」は、夢を見るようなギターとシンセの響きから、間奏部で大きく広がる構成を持ちます。
同じ声を、異なる楽器の質感と曲の流れの中へ置いたアルバムでもあります。
終曲「Memories」では、ピアノに柔らかな歌声が重なります。
力強さを前面に出す場面とは違い、歌い手の近くで気持ちを受け取るような締めくくりです。
荒さの印象が強かった声の持ち主が、アルバムの最後にどのような余韻を残すかまで見えてきます。
また「EASY」には、明るい声の表情があります。
強く感情をぶつける曲だけを続けず、軽やかな色も並べていることが、『30』の幅を作っています。
ソロで起きた広がりは、ざらつきを消して滑らかな声になった、というものではありません。
以前からの強さを使う曲もありながら、その隣に柔らかさや明るさが置かれています。
一つの音色を看板にする段階から、その看板だけでは伝えきれない気持ちまで歌う段階へ。
曲ごとの違いを一人の声で示せるようになったことに、この作品の節目があります。

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同年11月の初ソロ公演では、自作曲に加え、IUやソン・シギョンの曲も選びました。
ソンジンは、容易ではない日々を送る人へ、助けになる言葉や温かな慰めを届けたいと選曲の理由を説明しています。
アルバムで開いた個人的な語り口を、聴き手へ届ける場にも進んだのです。
一人で舞台を担うときには、どの曲を並べるかも、歌い手の表現になります。
自分の強みを示す曲に加え、相手に手渡したい言葉のある曲を選ぶ。
その視点まで含めると、ソロ活動による広がりが、声色の数だけではないことも分かります。
2025年、バンドに戻っても広がりを止めない
2025年のDAY6『The DECADE』では、「Dream Bus」と「INSIDE OUT」を二つの表題曲にしました。
ソンジンは前者をDAY6の色を持つ曲、後者を新しい挑戦として捉え、両方を見せたかったと話しています。
10周年に、なじみのある表情と新しい表情を並べたのです。
同作の「My Way」は、本人がパンクロックと説明する曲です。
周囲の言葉に振り回されず、自分の道を進む姿勢を託しています。
ソロで穏やかな歌を見せた後にも、バンドでは勢いのある音楽を選べる幅が保たれていました。
ソンジンの変遷をつなぐのは、荒い声から柔らかな声へ、という一本道ではありません。
ロックのために強い声を育て、複数の声の中で役割を考え、一人で歌う作品では細かな感情の違いを引き受ける。
そうして増えた選択肢を持ちながら、バンドでも新しい曲へ進んでいます。
彼の歌をたどる面白さは、特徴的な音色の変化だけでなく、その声で何を伝えようとするかが広がっていくところにあります。
曲ごとの声の選び方は、ソンジンの歌い方で掘り下げています。

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