シャオジュンの歌声には、曲の景色を一気に広げる高音と、そばで語りかけるような柔らかさがあります。
WayVの壮大な曲で知った人と、バラードのカバーで知った人では、印象も違うかもしれません。
その歩みをたどると、得意な歌を手放して別の歌手になったのではなく、持っていた声を使う場所と、そこに込める意図を広げてきたことがわかります。
2019〜2020年、バラードの声を違う音楽へ持ち込む
デビュー初期から、仲間はシャオジュンの声に穏やかさを感じていました。
ヤンヤンは、バラードを歌って育った声だからこそ、ヒップホップへ入ったときにも独特の組み合わせが生まれると捉えています。
2019年の企画「Rainbow V」では、クンと「紅豆/Red Bean」をカバーしました。
「Regular」でのデビューに続いて、二人で歌声をじっくり聴かせる機会になりました。
2020年には、本人も歌う対象の変化を話しています。
デビュー前は好きなバラードが中心でしたが、R&Bなど、ほかのジャンルにも取り組むようになりました。
もともと好きだった歌を足場に、声を別のリズムや雰囲気へ合わせる経験を増やしていたのです。
「Nectar」の録音では、メンバーとともに、少し悪い男のような色気を意識していました。
悲しみを丁寧に届けるバラードと、挑発的な空気を作る曲では、歌に必要な人物像が違います。
声の美しさだけでなく、その声で誰を演じるのかも、表現の選択に加わっていました。
2021年、二人の声で一曲を引き受ける
2021年の「Back To You」では、クンとのデュエットが正式なユニット作品になりました。
柔らかな歌から力強い終盤へ進む中で、高音も見せ場を担います。
相手の声とつながりながら、一曲の感情を運ぶ場ができたのです。
この年を振り返った本人は、最も関心を向けていたのが歌唱力だったと話しています。
翌年も歌い手としての力を伸ばしたいという言葉からは、すでに高音で注目されていても、それを完成形とは考えていなかったことが伝わります。

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後にヤンヤンは、こうした少人数の活動が、グループでは試しにくい音楽を経験する機会になったと説明しました。
それぞれの経験を持ち帰ることで、WayV全体の表現も広がる。
シャオジュンにとってのバラードは、グループから離れた余技ではなく、そこで歌う声を育てる場所でもありました。
2022〜2023年、曲に合わせて声の見せ方を変える
2022年の「リムジンサービス」では、「Make A Wish」を鍵盤中心のアレンジで歌っています。
ダンスを伴うグループ曲を、一人の歌声で別の形にする試みでした。
同じ回でセリーヌ・ディオンの「Ashes」やジョンヒョンの「End of a day」も取り上げ、曲ごとに違う感情を担っています。
2022年末の『Phantom』では、グループの歌唱にも新しい要求がありました。
テンは、高音、バラード的な歌、ラップなどを行き来する作品になったと説明しています。
一つの歌い方で全曲を通すより、曲の場面に応じて表情を変えることが、作品の大きな劇性を支えていました。
その一方で、シャオジュンが気に入っていたのは「Good Life」でした。
高音がそれほど多くなく、くつろいだ気分で歌えることを理由に挙げています。
高い音で圧倒する歌手、という外からの印象だけでは、本人が楽しんでいる歌の幅を捉えきれません。
2023年の欧州公演では、客席が何を喜ぶのかが少しずつわかってきたと話しています。
ファンを大切に思っていても、以前はどうすれば演奏を楽しんでもらえるのかわからなかった。
自分の中で歌を仕上げる段階から、目の前の反応を受けて歌を届ける段階へ、意識も動いていました。
2023〜2025年、壮大さに加わった親しみやすさと共演
2023年の「On My Youth」を選ぶとき、メンバーには従来の重厚なサウンドから変わりたいという思いがありました。
テンは、これまでに近い曲と別の候補を聴き比べ、バラード的な歌の部分と独特のサビが組み合わさった、この曲に惹かれたと話しています。
シャオジュンの得意な感情表現が、タイトル曲の新しい形にもつながっていきます。
同じアルバムの「Lighthouse」では、クン、テン、シャオジュンの繊細な歌声が、簡素なピアノを中心とする伴奏に重なります。
大きな展開を担う声と、少ない音の中で温度を伝える声。
この二つが同時にあることも、その時期の幅を示しています。
2024年の「Give Me That」では、本人が、それまでの強く暗い曲とは違う、明るく弾む方向を紹介しました。
新しい色を見せたいというグループの意向に、普段の陽気な個性を生かそうという制作側の考えも重なっています。
劇的な歌だけでなく、親しみやすさを前に出す選択も、主役になったのです。
同じ年の7月には、陳奕迅の「最佳損友」を広東語でカバーしました。
ギターと繊細な声を軸に始め、終盤で突き抜けるような声へ感情を集める録音です。
ダンス曲で明るい面を見せる一方、歌だけで一人分の物語を届ける活動も並行していました。
グループの曲調が変わることと、本人の得意な表現が消えることは同じではありません。
明るさを選べるようになっても、切ない歌を丁寧に運ぶ持ち味は残っています。
この時期を、悲しい歌から明るい歌へと一方通行で進んだ時期にはできないのです。
2025年には、中国の「天赐的声音」で黄子弘凡と「Baby, Don’t Cry」を共演しました。
制作側が重視したのは、和声の設計と、感情を包む雰囲気でした。
グループ内の仲間だけでなく、別の歌手の声と組み合わさって、一曲の感情を作る経験も広がっています。
2026年、自分の歌で誰に何を届けるか
2026年8月のニューヨーク公演では、「On My Youth」を一緒に歌う客席の声に心を動かされ、イヤーモニターを外して耳を傾けました。
以前は観客にどう届くかを探っていた歌が、今度は相手の声になって返ってくる。
本人が強く感動したこの場面は、歌い続ける意味を確かめる機会にもなっています。

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そして10月26日、初のソロEP『Hey, Somebody』を発表します。
本人は、格好よさや色気を見せること以上に、聴く人へ希望を届けることを選びました。
収録曲も自分で選び、グループで重ねた失敗や試行が、一人で作品を完成させる力になったと振り返っています。
タイトル曲では、明るく生き生きとした歌声が中心になります。
本人が大切にしたのは、何かを教え諭すように聞こえることではなく、隣で気持ちを分かち合うように届けることでした。
何を歌えるかに加え、その声をどんな距離で聴き手へ渡すかが、作品の方向を決めています。
ソロの発表時には、作詞や作曲にも関わったことで、自分をよく表す作品になったと話しています。
与えられた曲の中で声の持ち味を生かす経験が、作品全体の意味を自分で選ぶ活動へつながりました。
シャオジュンの変遷を、バラードからダンス曲へ、そしてソロへという順番だけで見ると、大切な部分が抜け落ちます。
柔らかな歌も力強い高音も残したまま、曲の人物像、共演者、客席、届けたい言葉へと、歌を考える視点を広げてきました。
その声は、どれか一つの得意技に収まるより、必要な表情を選べるところに魅力があります。
曲ごとの声の使い方は、シャオジュン(WayV)の歌い方で詳しく見ていきます。







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