SOTA(BE:FIRST)の歌唱変遷|自分の声を探した日々から、強さと穏やかさを選ぶ歌へ

2025年のSOTA/撮影:Yusuke Miyazaki〈SEPT〉 SOTA(BE:FIRST)
2025年のSOTA/撮影:Yusuke Miyazaki〈SEPT〉

SOTAの声を、ラップの鋭さから覚えた人は多いでしょう。
ところが、メロディーを歌うと、同じ人の声が驚くほど爽やかに感じられることがあります。
その違いは、単にラップの担当者が歌も歌うようになった、という説明では収まりません。
自分の声でどう表現するかに迷った出発点から、曲の中で必要な声を選ぶまでの歩みがあります。

2021年、踊れることと、自分の声で歌えることは別だった

ダンスの世界大会で優勝を重ねていたSOTAにとっても、「THE FIRST」での曲作りは未知の経験でした。
歌詞の言葉が浮かんでも、どんな声で歌えば格好よくなるのかがわからなかったのです。
身体で音楽を表す経験が、そのまま自分の声への確信になったわけではありません。

2021年「THE FIRST」で、録音に取り組むSOTA/番組掲載画像
2021年「THE FIRST」で、録音に取り組むSOTA/番組掲載画像。
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審査曲「Be Free」でも、苦手意識のあった歌のパートと向き合っています。
佐藤涼子やSKY-HIから教わった内容を忘れないよう、iPadに録画して残していました。
初期の姿には、得意なダンスで押し切るより、声でできることを一つずつ増やそうとする過程が見えます。

同年のデビュー期には、SHUNTOが歌声のきれいさを、RYUHEIが声の心地よさを話しています。
RYOKIも、声を張って歌ったときの印象が、それまでと違ったことに驚いていました。
SOTA自身は、メンバーの前で歌う照れが、活動を続けるうちに薄れてきたと振り返っています。

後に知られるようになる穏やかな歌声の魅力は、すでに身近な仲間に届いていたのです。
声が別物に入れ替わったというより、持っている声を人前に出しやすくなっていった。
この出発点を押さえると、その後の幅の広がりも理解しやすくなります。

2021〜2022年、踊りながら声を届けるための準備

グループ結成後、本人が強化していたと話したのは、踊りながら歌う力でした。
身体を動かす能力と、その最中に歌を成立させる能力を、別の課題として捉えていたことがわかります。
ダンサーとしての経験を土台にしつつ、歌う人としての負荷へ対応していく時期でした。

2022年のアルバム『BE:1』を語った際には、「Shining One」の移動の多さを挙げています。
細かく歌い手が交代すると、それだけ立ち位置も変わる。
一人のパートが長くなれば、中央で歌う時間が増えるという説明でした。
声の出し方だけでなく、誰がどこで歌うかも、ステージで歌を届ける条件だったのです。

歌とダンスを一つの舞台で成立させるには、声を身体の動きから切り離して考えられません。
SOTAの歩みには、この両方を担う表現者としての準備が重なっています。

同じアルバムに入る「BF is…」では、先にあった伴奏とサビに対して、自分のパートの言葉を考えました。
初めて出演するロックフェスで、自分たちを知らない客にも届けるための曲です。
声を出すことへの迷いから、自分の言葉で相手へ切り込む経験へ進んでいました。

2023年、ラップの色と、メロディーの声が並び立つ

2023年には、MANATO、Aile The ShotaとのShowMinorSavageが初のEPを発表します。
「SUPER ICY」では、SOTAとMANATOが相談しながら歌詞を書き、相手の言葉に応える構成も作りました。
自分の言葉を作ることに加えて、声をどう受け渡すかを考える経験も重ねていました。

このユニットでは、音数を抑えたR&Bへの好みも共有していました。
「Thinkin’ bout you」では、それぞれのパートの違いを生かして、大人の恋愛を描いています。
グループの大きな一体感とは別に、一人分の言葉と声を聴かせる場所が育っていました。

同じ年のBE:FIRSTの作品でも、声の印象は一つではありません。
「Boom Boom Back」のラップには少しかすれた質感がありますが、「Smile Again」では癖を強く押し出さない、爽やかな歌声を聴かせます。
荒さを加えた声と、すっきりとした声の両方が、同時期の表現に含まれていました。

「Smile Again」について、SOTAは一曲の中でさまざまな恋愛の感情を表す難しさと魅力を話しています。
録音では、先に入ったメンバーの声があると、自分も歌いやすいと感じていました。
一人の声の個性を育てながら、曲全体の感情にも合わせていく段階です。

そして「Mainstream」では、冒頭から低く鋭いラップが曲の緊張感を作ります。
音数の少ない伴奏の上で、声の輪郭がよく見える曲です。
後半には息を多く感じさせる言い方もあり、強さを同じまま続けるのではなく、声の質感で流れを変えています。

2024〜2025年、伝える意志と、素の自分に近い歌

2024年のUVERworldとの対バンでは、「Mainstream」で芯のある力強さを見せています。
続く「Milli-Billi」では、RYOKIとのラップの掛け合いから曲を始めました。
相手の声を受け、客席へ向けて言葉を放つ。
録音で作った声の個性を、熱のある会場の中でも生かしていた時期です。

2024年、SOTAは音楽との向き合い方の変化を語っています。
以前の「踊ったら面白い音」という関心から、メッセージを乗せ、音楽全体を見る意識へ広がったというのです。
リズムへの鋭さを失ったのではなく、その音で何を伝えるかまで考えるようになっていました。

2025年のSOTA/撮影:Yusuke Miyazaki〈SEPT〉
2025年のSOTA/撮影:Yusuke Miyazaki〈SEPT〉。
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2025年のソロ曲「Chill with you」では、その選択が別の方向に現れます。
グループでラップや激しいダンスを担うときとは違う感覚で、自分がくつろぐときに親しんできた音楽を形にしたかった。
レゲエやサーフロックなどの好みがあり、聴く人の気持ちをほぐす曲を目指しました。

Sunny、LOARとともに作ったこの曲で前に出るのは、力を誇示するような声ではありません。
素直で穏やかな、清涼感のある歌声です。
ラップで印象づけてきた鋭さとは違う面が、ソロ曲の中心になりました。

ここでの変化は、強い声が出なくなったということではありません。
何を届けたいかによって、主役にする声を変えられるようになったことです。
初期に仲間が見つけていた歌声の魅力が、自分で選んだ曲の方向性と結びついています。

2026年、歌とラップを行き来することが表現になる

2026年のShowMinorSavageでは、R&Bを軸に踊るという方向が改めて話し合われます。
Aile The Shotaは、「Ocean」でのSOTAのはまり方も、その判断につながったと説明しています。
本人の声が合う音楽を見つけることが、ユニットの進路にも関わるようになりました。

一方、BE:FIRSTの「Rondo」では、冷静にリズムを刻むラップから、唸るような熱を帯びたメロディーへ移ります。
ラップを担当する時間と歌を担当する時間が、同じ一人の中で異なる表情を持ってつながる。
柔らかさへ進んだ後にも、強い声を使う選択は残っています。

SOTAの変遷は、歌の経験を積んで、声をきれいに整えてきたという一本の線では描けません。
人前で自分の声を出すことに慣れ、ラップの質感を増やし、穏やかな歌も自分の表現として選んできました。
その結果、強さも柔らかさも、曲のために使える選択肢になったのです。
曲や場面ごとの声の使い分けは、SOTA(BE:FIRST)の歌い方で詳しく見ていきます。

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