金城碧海(JO1)の歌唱変遷|褒められた声を、自分で選ぶ表現へ育てるまで

2024年「恋におちたら」のソロカバーを歌う金城碧海 シンガー
2024年「恋におちたら」のソロカバーを歌う金城碧海

金城碧海の歌の変化は、自信のある言葉だけを並べても見えてきません。
与えられたパートに苦しんだ時期も、自分から歌いたい曲を提案した時期もありました。
その歩みをたどると、声の個性を褒められることと、その声を自分で使いこなすことの間にあった距離が見えてきます。

デビュー前〜2020年、好きな声と自分の声を結び直す

幼い頃の金城は、家で流れる安室奈美恵やJUJUなど、女性の歌声に親しんでいました。
ところが変声期を迎えると、それまで好きだった曲が歌えなくなり、カラオケからも遠ざかります。
再び歌へ向かうきっかけになったのはEXILEでした。
男性の声にもこうした魅力があると知り、自分も歌いたいと思えたのです。

2019年の『PRODUCE 101 JAPAN』を経てデビューした直後も、本人は歌が得意だとは言っていません。
2020年には、メンバーに声を褒められることと、曲の雰囲気に合わせられることを、自分の持ち味として挙げています。
技術全体への自信に先立って、声の質感を認められていた時期でした。

同年11月には、JO1で活動する中で歌とダンスが上達したという実感を話す一方、これからの課題に音域の拡大を挙げています。
好きな歌を歌える喜びの先に、まだ自分が扱えない高さへの課題があったのです。

2021年、録音の壁と、韓国語でのソロ歌唱

すでに2020年末、金城は先輩歌手のKAZUKIに、録音中は何を考えているのかを尋ねていました。
ダンスの練習に取り組む一方、レコーディングにはまだ慣れないという率直な相談です。
完成した歌を聴かせる以前に、ブースの中で自分の声とどう向き合うかも、身につける必要がありました。

『CHALLENGER』の録音では、担当するパートが思うように歌えず、順番を最後に変えてもらったことがありました。
待つ間も練習を続け、喉が厳しくなっていく中で、時間にも追われたといいます。
一人でブースに立つ重圧は、声を褒められるだけでは解消できないものでした。
ここに、初期の成長を簡単な成功談にできない理由があります。

本人が特に苦戦したと挙げた曲は「Speed of Light」です。
高い声が出ない難しさを、後に振り返っています。
その一方、「ATELIER」での「GO」韓国語版は、自らスタッフへ提案して実現したソロ歌唱でした。
用意されたパートを仕上げる苦労と、自分から挑戦を選ぶ意欲が、同じ時期に並んでいたのです。

「GO」の企画は、リモート会議で挑戦したいと伝え、その場で歌ってみせたことから動きました。
韓国の聴き手からも反応があり、本人はやってよかったと振り返っています。
結果だけでなく、歌う機会を自分から作った点も、初期の一歩として見逃せません。

2021年3月に公開されたこの「GO」では、柔らかい歌い方と、低い声の色気が前に出ています。
グループの曲を一人で担うことで、金城の声をひとまとまりの表現として示す機会になりました。
高音が出るかどうかだけでは捉えきれない持ち味です。

2020年の與那城奨、河野純喜、金城碧海(左から)
2020年の與那城奨、河野純喜、金城碧海(左から)。
画像出典:画像掲載元

2022〜2023年、声の役割が増え、自信の言葉も変わる

2022年の『KIZUNA』では、歌のメロディを担う顔に加えて、ラップで存在感を示す場面が増えました。
「With Us」や「Walk It Like I Talk It」では、鋭さのある声でラップを担当しています。
柔らかく聴かせる声だけが、グループ内の役割ではなくなっていきました。

同年のツアーでは、「ICARUS」のユニット歌唱で、いつもと違うパートも担当しました。
他のメンバーが普段こなしている難しさを体験し、尊敬が強まったといいます。
録音で決まった役割を超えて歌うことも、声の使い道を知る経験になっていました。

2023年の本人の言葉は、デビュー直後とはかなり違います。
多方面で活動する中で、最も自信があるのは歌だと話し、短い一節でも再び聴きたいと思ってもらうことを追求していました。
ボーカルトレーニングを受けて知識が増すほど、憧れのMISIAのすごさがわかるとも語っています。
自信と学ぶ姿勢が、同時に育っていたのです。

一節を印象に残したいという目標は、本人によればオーディションの頃からあったものです。
目標が突然生まれたのではなく、同じ願いを持ち続けながら、歌への自信を言葉にできるようになってきたのでしょう。

2024年末、自分の好きな歌を、自分の声で届ける

2024年12月、個人企画「PLANJ」で公開したのが、Crystal Kayの「恋におちたら」でした。
母の影響で親しんだ曲を、自分の声でファンへ届けたいという選曲です。
アコースティックな伴奏に合わせ、語りかけるように歌うカバーです。
普段のJO1とは違う印象になったと、本人も話していました。

幼い頃に好きだった女性の歌を、今の自分の作品として差し出す。
この選択は、変声期に歌から離れた経験と並べると、いっそう意味を持ちます。
原曲の歌手と同じ声になることを目指すのではなく、自分の声で届け直す場所へ来たのです。

2025年、一人の舞台から、相手の声を考えた共演へ

2025年1月のソロ公演では、「恋におちたら」をバンドと披露し、宇多田ヒカルの「Automatic」にも挑みました。
前者の優しく切ない歌から、後者の艶のある表情へ。
最後は「GLAMOROUS SKY」で盛り上げ、一つの声の印象だけに頼らず、公演を組み立てています。
複数の曲を通して、自分の歌の幅を見せる段階です。

2025年1月のソロ公演「Love in the sky」で歌う金城碧海
2025年1月のソロ公演「Love in the sky」で歌う金城碧海。
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同年のユニット曲「Hottie with the Hot Tea」では、川西拓実、木全翔也とラップを交わしました。
三人それぞれの声を生かすこの曲を通して、金城は自分の声の良さを改めて実感したと話しています。
一人になることだけでなく、異なる声と並ぶことも、自分の個性を知る機会になっていました。

7月にはCrystal Kayとの共演が実現します。
提案した「Lied to you」は、JO1でも自分が参加していないユニット曲でした。
二人の声に合う雰囲気を考えて選んだ点に、歌い手としての視点が表れています。
相手との組み合わせから歌を考えています。

9月のTAEYEON「To. X」のカバーでは、韓国語の力を伸ばすことも目的に含めていました。
2021年の韓国語歌唱は、一度だけの挑戦で終わっていません。
好きな曲を紹介しながら、自分の課題にも取り組んでいます。

2026年、借りた歌を解釈する先で、自分の内面を歌う

2026年9月には、初のオリジナルソロ曲「孤独な僕は」の映像が公開されました。
本人が作詞し、作曲にも参加したR&Bです。
孤独や葛藤を題材に、自分の内面から歌を作る段階へ進みました。

金城の変化は、弱かった声が強くなったという一本の線ではありません。
歌う難しさを知り、ソロで声を示し、ラップや共演を通して使い道を増やしてきました。
褒められた声を、自分で選ぶ表現へ育ててきた過程です。
曲によって柔らかさや鋭さをどう生かしているのかは、金城碧海(JO1)の歌い方で見ていきます。

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