チョ・ユリの歌声の変遷|自分らしい声を示すソロから、曲に合わせて変わる歌へ

チョ・ユリ(2025年7月更新の公式プロフィール写真) シンガー
チョ・ユリ(2025年7月更新の公式プロフィール写真)

チョ・ユリの歩みには、自分らしさを見つけたところで終わらない面白さがあります。
名前が分かるほど個性的な声を持ちながら、作品を重ねると、その声の見せ方を変えていく。
IZ*ONEから独り立ちした「GLASSY」、歌唱の方針を見直した『LOVE ALL』、バンドへ踏み出した『Episode 25』を通して、歌手としての選択をたどります。

2021年|一曲を、自分一人の力で満たす難しさ

IZ*ONEでメインボーカルを担っていたユリは、2021年10月に「GLASSY」でソロデビューしました。
グループで歌う経験を積んでいても、独り立ちには別の難しさがありました。
一曲を最初から最後まで自分のエネルギーで満たすことです。
本人がソロの準備で最も難しかったと挙げたのは、まさにその点でした。
歌う部分を受け持つ立場から、曲全体を引き受ける立場へ。
デビューは、その役割を学び直す機会でもあったのです。

しかも、「GLASSY」を初めて聴いたときから、迷いなく自分に合うと思えたわけではありません。
本人は、自分が考えていたイメージと少し違い、うまくできるだろうかという負担を感じたと明かしています。
曲に合うと受け止められる声の裏側に、歌い手自身の戸惑いがありました。
完成した姿だけを見れば自然に思える組み合わせも、最初から用意されていた答えではなかったのでしょう。

ユリが目指したのは、最初に曲から感じた、おとぎ話のような雰囲気でした。
歌と振付の両方で、その世界を生かそうとしたのです。
「ユリらしい」という言葉を掲げつつ、一つのジャンルやイメージに自分を閉じ込めない。
そこに、ソロの出発点がありました。

2021年10月、「GLASSY」発表時のチョ・ユリ/写真提供:WAKEONE
2021年10月、「GLASSY」発表時のチョ・ユリ/写真提供:WAKEONE。
画像出典:画像掲載元

2022年|強さのほかに、温かさと親しみやすさを広げる

翌年の『Op.22 Y-Waltz : in Major』では、「Love Shhh!」の力強い歌を前面に出しました。
この時期のユリが表したかったのは、色でいえば赤のような強さです。
失恋を、戻ってきてほしいと願う歌にする代わりに、涼しい顔で先へ進む歌として届けようとしました。
「GLASSY」で曲のおとぎ話らしさを生かそうとした段階から、自分の強い面を見せる選択へ。
歌の印象を自分で考え、作品の方向と結びつける姿が見えてきます。

一方、同じ作品の「This Time」には温かな声を生かすバラードがあり、自ら作詞・作曲に加わった「Opening」では、オーケストラを伴うワルツに取り組んでいます。
強さを選んだ時期にも、別の表情を歌える余地を残していました。

同年秋の「Loveable」は、他人との恋愛から、自分を大切にする気持ちへ視線を移した歌です。
ユリ自身、欠点まで愛おしいと言ってもらえたことに救われ、その感覚を誰かへ返したいと考えていました。

その歌をどう届けたいかは、翌年の本人の説明にも表れています。
「Loveable」の終盤では、聴いている人にも声を重ねてほしい。
ライブで一緒に楽しめる曲として、大事にしていたのです。
一人で歌い切る力をつけながら、今度は聴き手が加われる場所を作っていくのです。

2023年|自分の声を押し出すより、曲に合う声を選ぶ

『LOVE ALL』の発表時、ユリは歌唱について、はっきりと方針の変化を語りました。
それまでは、どの曲でも自分らしい歌声を示そうとしていた。
今回は、収録曲の性格に応じて歌い方を調整したというのです。
固有の声があることと、その声を毎回同じ形で使うことは別の話です。
誰の声かが伝わる強みを手放さず、曲の側が求める表情へ近づくようになりました。

その違いは、活動曲の「TAXI」とバラードの「Bruise(멍)」を並べると、理解しやすくなります。
前者は好きな人へ急いで向かうダンス・ポップ。
後者では、発表会でも落ち着いた歌唱を披露しています。
同じ作品に入っていても、恋が始まる勢いと、傷ついた心を扱う歌とでは、声の役目が変わるのです。

とりわけ「Bruise」は、本人が初めて聴いた瞬間から惹かれた曲でした。
歌えるかどうかを心配するよりも、きちんと美しく歌いこなしたいという思いが先に来たといいます。
パフォーマンスを中心とする作品が多かった中で、歌い手としての自分を示せる一曲になりました。

2023年8月9日、『LOVE ALL』の発表会/写真提供:WAKEONE
2023年8月9日、『LOVE ALL』の発表会/写真提供:WAKEONE。
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2024年|昔から歌われる曲にも、自分の声で向き合う

翌年には、ドラマ『ジョンニョン:スター誕生』のために「Spring Days Pass(봄날은 간다)」を歌いました。
ペク・ソルヒが歌った往年の楽曲を、現代的に編曲したものです。
繊細なピアノと厚みのある弦に、ユリの深く叙情的な音色を合わせる。
新しい自分を示すためのオリジナル曲から、すでに長い歴史を持つ歌へと、声を置く場所が広がりました。
古い曲を昔風に歌うというだけでなく、今の歌い手の声と編曲で、過去と現在を結ぶ試みになっています。

2025年春|バンドで、これまでの歌を舞台へ持ち出す

2025年4月の初めてのファンコンサート『Episode 25』では、既存曲をバンドのライブ用に編曲して届けました。
「GLASSY」や「Love Shhh!」に加えて、普段の音楽番組では見せる機会の少ない収録曲も並びます。
新しい曲を増やすだけでなく、自分の持ち歌を、別の演奏環境で聴いてもらう公演でした。
後の作品につながる「Growls and Purrs」も、この時点で披露されています。

さらに、アデルの「When We Were Young」をカバーしました。
練習生時代に慰められ、いつか舞台で歌いたかったという曲です。
好きな歌に支えられていた側から、その歌を観客へ渡す側へ。
バンドを伴う新しい舞台は、ユリ自身が歌う理由を確かめる場所にもなっていました。

2025年4月のファンコンサートでの歌唱。

2025年夏|『Episode 25』で、新しい音色を探す

7月に発売したミニアルバム『Episode 25』では、ダンスのパフォーマンスを中心とする従来の作品から、バンドを土台にしたライブ志向の音楽へ比重を移しました。
ユリが以前から取り組みたかった方向です。

本人も、バンド音楽への挑戦に合わせて、ボーカル面を変える努力をしたと話しています。
求めていた反応は、こんな音色も持っていたのか、と思ってもらうこと。
かつての自分をさらに強く押し出すのではなく、まだ知られていない声を見せようとしていました。
「Farewell for now!(이제 안녕!)」では、夏に似合う、すっと抜けるような爽やかな歌声を目指したと説明しています。

この時期は俳優としての活動も注目を集めましたが、本人は『イカゲーム』が新作へ直接影響したとは説明していません。
撮影を終えてから準備した作品であり、演技で得た経験や感情表現が少し溶け込んでいるかもしれない、という捉え方です。
歌の変化を、俳優としての成功だけで説明してしまわないことも大切でしょう。

ユリの歌声の変遷は、個性のある声を獲得した後の歩みでもあります。
自分一人で歌を満たし、聴き手が参加できる歌を選び、曲のために声を変え、バンドと新しい表情を作る。
変わらない声を証明することから、変われる声を見せることへ。
曲ごとの具体的な使い分けは、チョ・ユリの歌い方で詳しく取り上げています。

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