ジョンヨン(TWICE)の歌い方|力強さと温かさを、曲に合わせて届ける声

2024年の取材記事に掲載されたジョンヨン/撮影:Shin Sunhye(GQ KOREA) シンガー
2024年の取材記事に掲載されたジョンヨン/撮影:Shin Sunhye(GQ KOREA)

ジョンヨンの歌を、声の力強さから好きになった人もいるでしょう。
その一方で、ソロ曲には、落ち着いて聴ける歌の魅力もあります。
強く響く声と、気持ちに寄り添う歌は、どのようにつながっているのでしょうか。
グループ曲、映画曲、ソロ曲で、その声に求められる表情を分けて考えてみます。

声の深さと、歌を前へ運ぶ力

ジョンヨンの声には、低い響きの印象に惹かれる人もいます。
2023年の番組出演では、ケリー・クラークソンも、低く深みのある話し声を褒めました。
これは歌の音域を測った話ではありませんが、声そのものの魅力に、耳を向けるきっかけになる言葉です。

歌う場面では、その落ち着いた印象だけに注目すると、別の強みを見落とします。
2026年1月のイングルウッド公演では、ジョンヨンは、ジヒョやナヨンと並ぶ力強い歌声として評されました。
柔らかく息を感じさせるメンバーの声や、ラップのリズムと組み合わされることで、九人の歌に異なる表情が生まれています。
声の色だけでなく、歌の流れを力強く担う役割にも、注目したいところです。

本人の部分だけで完結させず、前後の声とどうつながるかを追うと、グループで歌う面白さが分かりやすくなります。

「What is Love?」で求められた、話すような歌

「What is Love?」の制作時、ジョンヨンは、パク・ジニョンが全員に一曲を通して歌わせ、各部分に合う人を決めると説明しています。
最初から与えられた短い担当部分だけを完成させる、という作り方ではありません。
同じ曲を複数の声で試すことが、声とフレーズの相性を探す過程になっていました。

本人が難しさをこぼしたのは、感情を込めながら、話すように歌うという指示でした。
強く歌うだけでも、普段の話し声をそのまま出すだけでも、要求を満たしたことにはならない。
旋律の中で、言葉を自然に伝えることが課題だったのです。

「NEW NEW」の明るさは、声の幼さとは違う

「NEW NEW」について、ミナは、弾むような愛らしさを前面に出し、南国風のシンセの音で爽やかさを作った曲と説明しています。
ジョンヨンの声が入るのも、その明るい音楽の中です。
声だけを切り離して軽さを求めるより、伴奏と歌が一緒になって、曲の空気を作っていることに目を向けたいところです。

ジョンヨン自身は、初期を思わせる曲調を、成熟した現在の声で歌えることを、この曲の魅力として挙げました。
明るく歌うことと、声を幼く作ることは、同じではありません。
今の声が持つ表情を、そのまま快活な曲にも生かせる。
「NEW NEW」は、彼女の歌の強さを、重さだけで捉えないための一曲です。

2024年の取材記事に掲載されたジョンヨン/撮影:Shin Sunhye(GQ KOREA)
2024年の取材記事に掲載されたジョンヨン/撮影:Shin Sunhye(GQ KOREA)。
画像出典:画像掲載元

「Takedown」で求められた強い表現

「Takedown」のTWICE版を歌うのは、ジョンヨン、ジヒョ、チェヨンの三人です。
チェヨンは、初めて曲を聴いたとき、その激しさに自分たちが歌えるのかと感じた一方、録音では新しいスタイルを楽しめたと語っています。
九人で歌うときの印象を、そのまま小さくした曲ではありません。
三人で、その曲が求める強い表現を作る仕事でした。

ジョンヨンにとっては、力強い歌を歌っていた練習生時代を思い出す録音でもありました。
TWICEの爽やかな曲とは違う要求を、楽しく受け止めたといいます。

ただし、力強い曲だから、本人にも簡単だったというわけではありません。
ジョンヨンは、この録音の難しさにも言及しています。
好きな表現や慣れ親しんだ方向でも、実際の一曲を仕上げるときには課題がある。
出来上がった歌の勢いと、それを作る過程での苦労は、両方を含めて受け止めたいところです。

「FIX A DRINK」では、情感を届ける声になる

「FIX A DRINK」は、ジョンヨンのソウルフルな声とカントリーポップの相性が表れた曲です。
とりわけ、傷ついた気持ちを扱う歌に、その声がよく合うと評されました。
ここでの力は、激しさだけで聴き手を押すものではありません。
歌の中にある痛みを、声の情感として届ける方向に働いています。
「Takedown」と並べて考えると、同じ歌手の強さでも、曲が変われば、聴き手へ届く感情は大きく変わることが分かります。

この曲を収めた『TEN: The Story Goes On』では、メンバーごとに異なるジャンルのソロ曲が並びます。
ジョンヨンは、その中でカントリーを受け持ちました。
一曲を一人の声で聴く時間があることで、短い担当部分だけでは見えにくかった、曲と声の相性にも目を向けられます。
華やかなグループ曲で声を聴き分ける楽しさとは、少し違う入口です。

2023年の取材記事に掲載されたジョンヨン/撮影:Kang Hye-won(GQ KOREA)
2023年の取材記事に掲載されたジョンヨン/撮影:Kang Hye-won(GQ KOREA)。
画像出典:画像掲載元

「O Christmas Tree」に込めた温かさ

「O Christmas Tree」では、家族や友人との思い出が、歌う理由になっています。
ジョンヨンは、この曲を聴くと暖かく居心地のよい時間を思い出すと語り、聴き手にも大切な人との記憶を届けたいと考えていました。

この曲を選んだ背景を知ると、声の力を示すことだけが、ソロ歌唱の目的ではないと分かります。
大勢が一緒に盛り上がる場面もあれば、一人で聴いて、身近な誰かを思い出す時間もある。
彼女が一人の歌い手として届けるものには、そうした温かさも含まれています。

声とパートの相性を、録音後にも考える

『With YOU-th』では、録音を終えた後にも、パートを三、四回変えるほど、メンバー全員が準備に力を入れたとジョンヨンは説明しています。
長く一緒に歌ってきた相手でも、新しい曲の配分が一度で決まるわけではありません。
歌ってみた結果を踏まえ、どの声をどこへ置くかを考え直す。
グループの歌は、そうした作業も経て形になっています。

いつもの得意な役割を受け持つことと、新しい一曲に合う役割を探すこと。
九人で歌う仕事には、その両方があります。
完成した作品の短い担当部分にも、他の声との関係を試した時間が含まれているのです。

曲ごとの難しさに向き合う

『THIS IS FOR』の録音について、ジョンヨンは、多様なジャンルやスタイルを歌う難しさを率直に語りました。
それでも、挑戦をやり切れた自分を誇らしく感じていました。
一つの得意な響きですべてを歌うのではなく、曲が変われば、歌い手の取り組む課題も変わります。
強い歌声を持っていることと、どんな曲でも苦労なく歌えることは、別の話なのです。

ジョンヨンの歌には、グループの明るさを支える力も、激しい曲に向き合う力も、気持ちに寄り添う温かさもあります。
どれか一つを「本当の声」として選ぶより、その曲で何を伝える声になっているかを聴く。
そうすると、声の存在感と表現の幅を、同時に楽しめる歌手ではないでしょうか。

初期からの変化は、ジョンヨンの歌声の変遷でたどっています。

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