ウギ/YUQIの歌声の変遷|低い声を好きになり、その使い道を広げるまで

2023年のウギ(撮影:Jawook Park) ウギ/YUQI
2023年のウギ(撮影:Jawook Park)

ウギの低くハスキーな声は、グループの中でも目を引く個性です。
けれど、本人にとっては、歌手になれるのかと迷う理由でもありました。
その声が、ロックの力強さにも、穏やかなポップにも、ヒップホップの存在感にもつながっていく。
i-dleでの活動とソロを行き来する歩みには、声を作り替えるのとは違う変化があります。

歌手になれるのかと迷った声

中国で過ごした頃のウギにとって、歌はまず好きなことでした。
幼い頃から専門の先生に習っていたわけではなく、カラオケで自信をつけていたといいます。
韓国の事務所に入ってから、自分の声に合うスタイルや技術を学びます。
一人で練習するところから、仲間と歌やラップを分担し、互いに支える環境へ移ったのです。

一方で、低い声をからかわれた経験は残っていました。
オーディションに合格しても、この声で歌手として舞台に立てるのかと迷ったほどです。
歌の訓練で魅力のある声だと言われ、本人も驚いたと振り返っています。
持っていた声の価値を、違う見方で受け取ったことが大きかったのでしょう。

2018年にグループでデビューした後も、その声を自分の音楽にどう生かすかという問いは続きます。
ウギは、2019年の「Queendom」への参加をきっかけに作曲を本格化させ、なりたい歌手像を考えるようになったと話しています。
2020年末には「覆面歌王」を、声で評価された大切な機会として挙げ、自分の声色を収めた音楽を作りたいと語っていました。

2018年5月2日、「LATATA」発表会のウギ(ニュースインスター)
2018年5月2日、「LATATA」発表会のウギ(ニュースインスター)。
画像出典:画像掲載元/CC BY 3.0
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2021年、低音から先まで見せた「A Page」

その後、2021年5月に発表したソロ作品が「A Page」です。
英語で歌う「Giant」と「Bonnie & Clyde」の2曲で、グループ内の個性だった声を、一曲全体の中心へ据えました。
「Giant」では作詞・作曲にも参加しています。
傷ついても立ち上がるという主題に、ロックの音を選んだ作品でした。

「Giant」は、沈んだ感情を含むハスキーな歌と、サビへ向かう力の増し方を結びつけた曲です。
当時は、その説得力を評価する一方、もっと大きな頂点を作れたのではという受け止め方もありました。
ソロで見えた可能性が、そのまま次への期待になったのです。

「Bonnie & Clyde」では、低めの歌い出しから勢いのあるサビへ進み、終盤へ向かう途中で高い声も使います。
同じ作品の中でも、ハスキーな響きを落ち着きのために置くのか、加速する曲の土台にするのかで役割が違う。
ウギを低音の人としてだけ捉えていた聴き手に、それより広い動きを示したソロでした。

強い歌だけで終わらなかった

2022年のグループ作品「I NEVER DIE」では、「Polaroid」を共同制作しました。
中国で一人で活動していた頃に、忙しさの中で仲間との時間を振り返りたくなって書いた歌です。
本人は、いつも急がなくてもいい、過ごしてきた瞬間を大切にしてほしいという思いを説明しています。
強さを前へ出すだけでなく、立ち止まるための歌も作るようになっていたことが分かります。

2024年4月のミニアルバム「YUQ1」は、7曲でその幅を見せました。
「FREAK」だけでなく、pH-1との「Drink It Up」、レクシー・リウとの「On Clap」、ミンニとの「Everytime」、先行曲「Could It Be」が並びます。
ソロ名義でありながら、声の相手も曲調も一つにそろえない構成です。

「Could It Be」は、2023年のツアーで披露していた曲を、2024年にスタジオ録音として届けたものです。
柔らかなポップの明るさを持ち、「Giant」で示した切実さとは違う景色を開きました。
同じ声が、張り詰めた場面から離れても、一曲を支えられる。
ソロの幅は、強い曲をさらに強くする方向だけに広がったのではありません。

ウギ自身も、このアルバムでは、グループでまだ見せていなかった面を自分のスタイルで表せたと話しています。
最初の低い声への不安を振り返りながら、作品を理解する深さが変わったとも述べています。

その経験は、グループを離れることと同じではありません。
「I SWAY」の録音では、ウギはサビを歌った際、声がその部分に合っているとソヨンに褒められ、うれしかったと話しています。
ソロで一曲を引き受けることと、仲間の曲の中で声の居場所を見つけること。
両方が続いていました。

2025年、声の低さをリズムの中心へ

「Radio (Dum-Dum)」は、「YUQ1」の発表後に書いた曲です。
2024年に映像で公開し、2025年3月に配信シングルになりました。
ウギは聴きどころを、自分のハスキーな中低音と、耳に残るメロディーだと説明しています。
新しい声を手に入れたというより、声の持ち味がよく分かる形を選び取った曲といえます。

同年9月の「Motivation」では、ヒップホップを正面に出した「M.O.」へ進みます。
本人は、明るい自分のイメージを見せた「YUQ1」に対し、今度は好きだったヒップホップとロックの面を示したかったと話しています。
低い声をロックの盛り上がりへ運ぶ歌から、言葉とビートの中で存在感を出す歌へ。
変わったのは、声の高さだけではなく、主役にする音楽の仕組みでした。

「二十七(27)」発表時のウギ、2026年10月(CUBE Entertainment)
「二十七(27)」発表時のウギ、2026年10月(CUBE Entertainment)。
画像出典:画像掲載元

母語で、今の自分を歌う

2026年10月の「二十七(27)」では、中国語を中心に、自分の年齢を作品の主題にしました。
「Stay」は、中国語と英語を行き来しながら、大切な人と前へ進む思いを歌います。
ウギは、27歳の自分の物語だからこそ、中国語のアルバムにしたことに特別な意味があると説明しています。

この時期に選んだのは、自分やファンが育ってきた頃のR&Bにつながる音でした。
年を重ねても心を動かす先輩たちの歌に触れ、自分の作品にも、感情と時間が残ることを願っていたのです。
強さを押し出すだけでなく、その時の気持ちを、いちばん近い言葉で残していく。
低い声を好きになった先に、低さだけでは説明できない歌手としての選択が増えています。

曲の中で中低音と高音、歌とラップをどう使い分けているかは、ウギ/YUQIの歌い方で掘り下げています。

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