M!LKの曽野舜太は、明るいキャラクターとともに、歌の中でも目を引く存在です。
その歩みをたどると、ステージをこなすことで精一杯だった時期から、歌の意味を考え、自分で声の表情を選ぶようになる過程が見えてきます。
そしてソロ曲では、数分間を一人で引き受ける経験もしました。
グループの中の持ち味が、どのように自分の表現へ育っていったのでしょうか。
加入直後は、客席を見る余裕も少なかった
曽野はBATTLE BOYSの全国選抜メンバーを経て、2018年8月にM!LKへ加入しました。
すでに活動していたグループへ加わる、十代での出発です。
最初からM!LKの歴史をすべて体験していたわけではありません。
2019年には、いきなり大きなステージへ立ち、評価も批判も受けた一年だったと振り返っています。
支えてくれたメンバーへの感謝と、時間が急速に過ぎた実感が一緒に語られていました。
加入したばかりの歌を考えるときは、完成したグループの一員として、覚えることや応えることに追われていた背景も欠かせません。
同年のホールツアーを経ると、本人の言葉に変化が現れます。
以前はパフォーマンスだけで精一杯だったのが、少しずつ客席の雰囲気を感じ取れるようになったのです。
「かすかに、君だった。」も、自分のことを歌っている感覚が強い曲でした。
歌を自分の気持ちに重ねながら、届ける先を見る余裕が生まれ始めていました。

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「energy」で、ラップや声の加工にも出会う
2021年の「energy」では、さなりとの制作で、オートチューンを用いた録音にも取り組みました。
曽野は以前からラップを聴いており、自分で挑戦できることを喜んでいます。
その後のラップへつながる経験も、この時期にありました。
「Ribbon」「夢路」で、歌う立場から言葉を提案する立場へ
2021年、M!LKは「Ribbon」でメジャーデビューします。
曽野はこの歌の後半に、ペンライトがともる客席を重ねていました。
応援してくれる人がいるからこそ、ステージから見える世界に色が生まれる。
恋愛の歌としても受け取れる言葉を、自分たちとファンの関係として引き受けていたのです。
同じシングルの「夢路」では、全員で作詞に取り組みました。
曽野が提案したのは、最後を、夢をかなえてドームに立った自分たちの視点で歌うことでした。
いまの気持ちを言葉にするだけでなく、未来の立ち位置まで想像する。
歌を受け取って表現する経験に、歌の中の人物や視点を作る経験が加わった時期です。
「STARS」で、難しい曲を任される意味を考える
2022年の「STARS」は、シングル表題曲として初めてのバラードでした。
曽野は、以前なら歌えなかったような曲を渡されたことを、今のM!LKならできるという信頼の表れではないかと受け止めています。
制作側からそう説明されたという話ではなく、本人が感じ取った手応えです。
難しい歌を課題として受け取り、その期待に応えようとする姿が見えます。
この頃のバラードへの向き合い方も具体的です。
「最愛」について話した際、曽野は恋人への感情に限定せず、家族やメンバーを大切に思う気持ちから考えたと説明しました。
歌詞の人物と自分の経験がそのまま重ならなくても、理解できる感情を探して歌へつなげる。
大人の曲を背伸びした雰囲気だけで歌わないための、ひとつの入り口でした。
声を届けるだけでなく、一緒に声を出す曲を作る
2023年のアルバム『Jewel』に入る「ジブンエール」では、5人で選曲、作詞、仮録音まで手がけています。
曽野が大切にしていたのは、ファンと声を合わせて盛り上がれることでした。
コンサートでの声出しが戻る時期に、歌う側から客席へ一方的に届けるだけでなく、そこにいる人の声が加わる場面を考えていたのです。
加入初期に客席を見る余裕を得たことが、ここでは曲を作る発想にまで広がっています。
「Kiss Plan」で、自分から声の表情を選ぶ
2024年の「Kiss Plan」では、曽野自身が、仮歌をそのままなぞるより自分の色を出そうとしたと語っています。
恋の駆け引きを歌う曲に合わせ、少し含みを持たせる声にも挑戦しました。
曲の人物に合う声を、自分から試していました。
その一方、ラップでは準備した方向を調整する経験もしました。
エミネムらを聴いて臨んだところ、求められたのは、この曲に合うきれいでまっすぐな届け方だったのです。
「ブルーシャワー」で見えた、歌の技術と届け方の変化
同年の「ブルーシャワー」の頃、佐野勇斗は、曽野が最近身につけた細かく速いビブラートを評価していました。
一緒に歌うメンバーが、具体的な歌い方の変化として気づいていた点です。
本人がこの曲で意識したのは、癖を強くつけず、言葉をまっすぐ届けることでした。
青春のただ中にいる自分を歌うだけでなく、少し大人の位置から、聴く人を励ますメッセージを渡す。
「Kiss Plan」で含みを持たせた声と、ここで選ぶ率直な声には、曲の目的に応じた違いがあります。

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ソロ曲で、一人の声で支える時間が生まれる
2024年11月には、ソロ曲「さあ今日も一歩ずつ前へ」が発表されました。
メンバー全員のソロ曲を集めた『BIG LOVE SONGS』の一曲で、曽野はセルフプロデュースと作詞にも参加しています。
自分の受験経験ともつながる応援の歌を、一人の名義と声で届ける機会でした。
誰かを励ます姿勢が、グループで担う一部分から、一曲全体の主題になったのです。
翌年、曽野はソロ曲を通じて、自分たちの持ち味や方向性を見直せたと話しています。
大きな会場で一人で何分も歌うために、以前にも増して練習した経験も、糧になったと振り返りました。
歌割りを受け持つことと、一曲を通して客席に向き合うことでは、準備の意味も変わります。
その経験を、再びグループのアルバム『M!X』へ持ち帰っていました。
「真・運命」で、二人だから作れる人物像へ
2026年6月には、山中柔太朗とのユニット曲「真・運命」が登場します。
読み方は「マジ・デスティニー」。
抗えず引かれ合う恋を、対照的な二人の関係と、劇的なネオクラシカルの響きで描く曲です。
一人で励ますソロ曲から、相手がいることで成り立つ濃い世界へ、表現の舞台が変わりました。
塩﨑太智は、この曲の二人について、セリフのような歌い回しが多く、いつものM!LKとは違う一面が出ていると語っています。
同年の「Don't let me down!」では、佐野が曽野の落ちサビを好きな箇所に挙げました。
役を演じるような声と、グループの歩みを背負う声。
近年は、曲の見せ場をどう担うかという点でも存在感を増しています。
歌う場所が変わるたび、自分の役割を広げてきた
加入直後のステージ、感情を探ったバラード、声色を選ぶダンス曲、一人で歌うソロ、二人で作るユニット。
曽野舜太の変化は、それぞれの場で何を届けるかを引き受けてきた歩みとして捉えられます。
明るさという持ち味を残したまま、声に持たせる意味が増えてきました。
ビブラートや声の表情を、曲に合わせてどう使うのかは、曽野舜太の歌い方で掘り下げています。

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