エリザベス・ローズ・ブラッドフレイムの歌い方|迫力のある声と、ハーモニーを作る耳

2026年3月のhololive 7th fes.で歌うエリザベス・ローズ・ブラッドフレイム(© COVER) エリザベス・ローズ・ブラッドフレイム
2026年3月のhololive 7th fes.で歌うエリザベス・ローズ・ブラッドフレイム(© COVER)

エリザベス・ローズ・ブラッドフレイムの歌を、力強い声が出る人として聴くと、すぐに印象に残るものがあります。
けれど、柔らかな曲を選ぶ理由や、自分でハーモニーまで作る仕事を知ると、歌の見え方はもう少し具体的になります。
声をどれだけ前へ出すかに加え、その声を何のために使い、ほかの声とどう並べるかまで考える歌手なのです。

高音の強さは、仲間の声の中で生きる

2026年3月の「hololive 7th fes.」でJusticeが歌った「ABOVE BELOW」では、エリザベスのソウルフルな声を、ほかの3人のコーラスが支える場面がありました。
切れのある伴奏と、前へ出る歌、それを受ける声が組み合わさっています。

この舞台で印象を残したのが、彼女の高音とフェイクでした。
フェイクとは、旋律の音を動かしたり装飾したりして、歌に変化をつける表現です。
高さへ届くことに加え、旋律をどう動かすかが、歌の勢いに関わっています。

この場面は、エリザベスの声だけを切り離すと捉えにくいところがあります。
前に立つ声と、それを支える声があるから、一人の歌の迫力が、4人の曲として届く。
聴くときにも、高音の高さだけでなく、周りにどんな声があるかへ耳を向けると、歌の役割が分かりやすくなります。

「Blackbird」で欲しかったのは、温かさ

一方、「Blackbird」のカバーでは、本人が柔らかな方向を選んだと話しています。
強い歌で盛り上げる楽しさを知ったうえで、この曲には居心地のよい、記憶に残る雰囲気を求めていました。
曲に何を感じてほしいかが、歌うときの選択に結びついています。

この「Blackbird」はビートルズの曲をカバーした、2024年10月の作品です。
日本語の「オトナブルー」や、大人数で歌うJusticeの曲とは、作品の形からして異なります。
代表的な一曲だけで声の印象を決めると、こうした選択がこぼれてしまいます。

柔らかく歌うことを、単に大きな声を控えることと考えると、本人が望んだ温かさが見えにくくなります。
歌い手がどんな時間を作ろうとしているかを知ることで、声の強弱にも理由が見えてくる。
ここでは、迫力を求める曲と同じ基準で歌を比べる必要がないのです。

一つの声を出す前に、重ねる声まで考える

オリジナル曲「Salt Born」には、声への関わり方がよく表れています。
2025年に公開された「TV Sized」の版で、エリザベスは歌唱に加え、ボーカルアレンジ、ハーモニー、アドリブを担当しました。
Joe Newhouseが曲や詞、ギターを担う一方、彼女は歌の組み立てとミックスにも関わっています。

主旋律を歌う声と、そこへ重ねる声は、同じ役割ではありません。
彼女の仕事には、一番目立つ歌の線を歌うことと、その周りの声を作ることの両方が含まれます。
声の良さを一回の独唱で示すだけでは、説明しきれない部分です。

万象院ハッカとの「メフィスト」でも、本人がボーカルアレンジとデモ歌唱を担当しています。
一方、ミックスはShawn Christmas、伴奏はjonatankingが担当しました。
自分の歌を考えることと、周囲の制作者に仕事を託して曲を仕上げることが並んでいます。

声の迫力と、完成した録音の厚みを、すべて一つの発声の効果として説明することはできません。
誰が歌い、どんな声を重ね、どのように仕上げるかも、録音の聴こえ方を作るからです。
エリザベスの場合は、その歌の設計にも本人が参加しているところに面白さがあります。

二人の声が重なったときに生まれるもの

ネリッサ・レイヴンクロフトと歌った「輪舞-revolution」では、二人が歌唱を担当し、REDSHiFTがミックスを手がけています。
一人で複数の声を重ねる作品とも、同じユニットの4人で歌う曲とも違う、二人の組み合わせです。

2025年の「輪舞-revolution」カバー(赤い髪がエリザベス、青い髪がネリッサ/イラスト:DasDokter)
2025年の「輪舞-revolution」カバー(赤い髪がエリザベス、青い髪がネリッサ/イラスト:DasDokter)。
画像出典:画像掲載元

この共演を望んだネリッサは、二人の歌が初めて一緒にミックスされたものを聴き、うれしさで涙が出たと振り返っています。
エリザベスも、二人の関係を調和の取れたものとして語っています。
完成した歌への反応に、相手と声を合わせる喜びが表れています。

2026年7月の「Serendipity」で二人が歌った「残酷な天使のテーゼ」は、オペラを思わせる歌として評されています。
力強い声を扱いながら、舞台ではダンスも見せていました。
ここでは互いの力強さが、デュエットの華やかさにつながっています。

公演後、ネリッサは、エリザベスの情熱としなやかなパフォーマンスに驚かされると振り返りました。
難しさを感じさせず楽しそうに見せてくれるので、自分も一緒に楽しむことへ集中できるというのです。
隣で歌った人の言葉だからこそ、声の迫力とは別の舞台での魅力が伝わります。

楽々と歌っているように見えることと、実際に努力が要らないことは同じではありません。
ここで分かるのは、共演する相手にも楽しさが届く見せ方だったことです。
歌の強さが、相手を置き去りにする強さになっていなかったのでしょう。

声の種類を、曲全体の楽しさにつなげる

エリザベスは幼い頃から、好きなアニメーションの声をまねして遊んでいたと話しています。
また初配信の「世界の約束」では、長い間奏で視線が自分へ集まる時間に、声の芝居を入れました。
歌が戻るのを待つ時間も、自分らしい楽しさへ変えようとしたのです。

「Yona Yona Dance」では、本人を含む8人が歌っています。
定水寺シンリ、アルランディス、火威青、アステル・レダ、夏色まつり、クレイジー・オリー、オクタビオが加わり、エリザベスはボーカルアレンジとデモ歌唱、ディレクションなどを担当しました。

大人数の歌では、一人の声をどう聴かせるかと、全員の歌をどうまとめるかが同時に課題になります。
この作品でも、彼女は歌唱だけでなく、歌の形を考える側に立っています。
声の種類を増やすことが、共演者を含めた曲作りへつながっているのです。

エリザベスの歌をたどるなら、前へ出る高音、柔らかく届ける歌、重ねるハーモニーという、声の役割の違いが手掛かりになります。
そのどれもを、歌う本人が曲の中で考えている。
強い声を持つ人であると同時に、声を組み合わせて歌を作る人でもあるのです。
作品や舞台が増える中で、その役割がどう広がったかは、エリザベス・ローズ・ブラッドフレイムの歌唱変遷でたどれます。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました