ソラの歌声の変遷|MAMAMOOの力強さから、舞台と中国語曲で広げた表現へ

2024年『COLOURS』のソラ(写真提供:RBW) シンガー
2024年『COLOURS』のソラ(写真提供:RBW)

MAMAMOOのソラには、堂々とした力強い歌声の印象があります。
けれど、その歩みをたどると、大きな声を磨き続けてきたという説明だけでは足りません。
静かなカバー曲、軽やかな裏声、役として歌うミュージカル、母語とは異なる言葉の歌まで、声を使う場面を広げてきた歌手です。

活動の場所が増えるにつれて、歌うときに向き合う課題も変わっています。
曲の雰囲気に声を合わせることから、客席へ言葉と感情を届けること、さらに別の言語で気持ちを伝えることへ。
その変化を、具体的な作品と本人の経験からたどってみましょう。

グループのハーモニーと、静かな歌を聴かせる場所

2014年にデビューしたMAMAMOOでは、メンバーの声を重ねることが大切にされていました。
初期の「Piano Man」の頃にも、フィインはグループとして和音やハーモニーに力を入れていると説明しています。
一人ずつの存在感を見せながら、声を合わせて音楽を作ることが、ソラの出発点の一つでした。

翌2015年には、過去の名曲を歌い直す「Solar Gamsung」が始まります。
12月の「Only Longing Grows(그리움만 쌓이네)」では、アコースティックギターを中心に、落ち着いた歌を聴かせました。
グループの華やかなステージとは別に、懐かしさや寂しさを一人の声で伝える場所ができたのです。

企画の最初の曲「Lived Like a Fool」では、ピアノとストリングスを背景に、心の内を打ち明けるような歌を置いています。
後半にはジャズを思わせる歌い回しへ進み、リズムの表情も加わります。
初期から、強い声だけに頼らない個人の歌を探っていました。

「Only Longing Grows」の元の歌い手であるヨジンは、ソラの歌に温かな感情と新しい魅力があると喜びを伝えています。
ソラ自身には、長く愛されてきた名曲を歌うことへの心配もありました。
歌唱力を示すだけでなく、もとの曲が持つ感情を、自分の声でどう受け渡すかという取り組みでもありました。

2015年「Solar Gamsung」発表時のソラ
2015年「Solar Gamsung」発表時のソラ。
画像出典:画像掲載元

2018年には、この企画で「涙そうそう」を韓国語で歌っています。
既存の韓国曲を歌い直すところから、日本の歌を韓国語の言葉で届けるところへ、選曲の幅も広がりました。
後年の中国語歌唱より前から、言葉の異なる歌を自分の表現として引き受ける経験を重ねていたことになります。

2020年、自分の言葉を前に出すソロへ

2020年の新たなソロ活動に向けては、不安もあったようです。
制作を担うキム・ドフンは、ソラが一人での活動を心配していたことや、先にケイシーとのデュエットを提案した経緯を語っています。
その曲が、1月に発表された「A Song from the Past」でした。
カバー企画の経験があっても、自分の新曲でソロを始めることは、別の挑戦でした。

4月の「Spit It Out」では、ソラ自身がキム・ドフンと制作に参加しました。
ラテン風のギターとシンセサイザーを使った曲に、自分の情熱や、人の基準に縛られずに表現したいという思いを重ねています。
名曲の感情を受け取って歌う活動に、自分の姿勢を新曲として打ち出す活動が加わったのです。

「HONEY」で、得意な強さとは違う声を選ぶ

2022年の「HONEY」では、力強い声を好むソラが、高音に裏声を使う歌い方に取り組みました。
本人は、この曲で求められる軽やかで愛らしい表現が難しかったと話しています。
得意な歌い方をそのまま押し出すのではなく、曲の性格に合わせて声の出し方を選び直した作品です。

同作を含む『容:FACE』で見せたかったのは、明るくよく笑う、自分の一面でした。
ジャズの「Big Booty」や、恋と食べることを重ねた遊び心のある「chap chap」も収められています。
強い女性像だけに自分を絞らず、楽しさやユーモアも歌にできるという広がりがありました。

同年のドラマ曲「Dun Dun Dun」では、また別の準備が必要でした。
ソラは、自信のある登場人物に合う歌にするため、自分がいちばんだと思うくらいの気持ちで録音したと説明しています。
歌うときの心構えや、物語の中での役割を考えることも、歌声の表情につながっていました。

2024年、静かなカバーとロックが並ぶ

2024年1月には、約5年9か月ぶりに「Solar Gamsung」が再開しました。
取り上げたのは、キム・グァンソクの「Love Has Gone(사랑했지만)」です。
静かな始まりから、サビで力を広げる曲の流れには、感情を抑えて置くことと、大きく解き放つことの両方がありました。

4月の『COLOURS』では、異なるジャンルを並べること自体が作品の考え方になります。
ソラは以前、一つの分野を自分の強みと呼べないことに悩んでいましたが、多様な音楽に取り組めることを長所として捉え直しました。
「But I」ではR&Bの導入からロックへ進み、バンドを背にした歌を前に出しています。

ここで起きていたのは、静かな歌から激しい歌への一方通行の変化ではありません。
同じ年にカバー企画へ戻りながら、別の作品ではロックを選んでいます。
一つの声に自分を固定せず、作品ごとに違う面を出すという方針が、よりはっきりした時期でした。

ミュージカルで変わった、声の届け方

2022年に初めて参加した『マタ・ハリ』も、大きな転機です。
当初は音や台詞、動きを正しくこなすことで精いっぱいでしたが、2024〜2025年の再演では、役の感情や音楽を楽しむ余裕が生まれたと振り返っています。
ソラとして上手に歌うことから、舞台の人物として歌うことへ、意識を深めていきました。

2024〜2025年公演『マタ・ハリ』のソラ(左/写真提供:EMK Musical Company)
2024〜2025年公演『マタ・ハリ』のソラ(左/写真提供:EMK Musical Company)。
画像出典:画像掲載元

舞台での経験は、ソロコンサートの中にも入ってきます。
2024年6月のマニラ公演では、静かなカバー曲やジャズの曲に加え、『マタ・ハリ』の楽曲も披露しました。
「C’est la Vie」などの舞台曲が、ソロ作品と同じ公演で歌われています。
アイドル、ソロ歌手、ミュージカル俳優としての歌が、一つの公演の中で並ぶようになったのです。

新しい活動を始めるたび、それまでの歌い方を捨ててきたわけではありません。
別の場所で経験した歌を、ソロのステージに持ち帰っています。
声の使い道が増えたことが、そのまま一人で見せられる公演の幅にもつながっています。

中国語曲では、発音の先にある感情へ

2025年6月には、9m88と共演した「Floating Free」で、初の中国語シングルを発表しました。
韓国語のカバーとして海外の歌を届けた頃とは異なり、今度は自分が中国語で歌う側に立っています。

ソラは、9m88の歌声やスタイルに惹かれ、自分から共演を持ちかけました。
中国語で歌うことには、遠くから応援してくれるファンに、より自然に近づきたいという思いもありました。
新しい言語は技術上の課題であると同時に、歌を届ける相手との距離を縮める方法でもあったのです。

2026年の「總有一顆屬於你的星球」では、告五人との協働を通じ、さらに中国語の表現を探りました。
本人は、前の作品に比べて、感情の出し方が良くなったと感じています。
発音や中国語の曲らしい感覚に難しさを覚えながら、言葉を正しく歌うことの先へ進もうとしていました。

力強さを保ちながら、歌う相手と場所を広げる

ソラの変遷を貫くのは、声の強さだけではありません。
カバーでは曲の感情を受け取り、ソロでは自分の姿勢を示し、舞台では役の人生を歌い、別の言語では新しい相手へ近づいています。
それぞれの場面で、何を届けるためにその声を使うのかが変わってきました。

力強い歌声は、今もソラを支える大切な魅力です。
その一方で、強さをどこで出し、どこでは違う表情を選ぶかという判断が、活動の広がりとともに豊かになっています。
曲の中での裏声や、言葉と感情の扱いについては、歌い方の記事でも詳しく見ていきます。

ソラの歌い方

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