TAEHYUN (TOMORROW X TOGETHER)の歌い方|澄んだ声と粗い声を、曲の中でどう選ぶのか

2023年秋の取材に掲載されたTAEHYUN TAEHYUN (TOMORROW X TOGETHER)
2023年秋の取材に掲載されたTAEHYUN

TAEHYUNの歌を、高音の強さだけで捉えると見えにくくなるものがあります。
明るく歌う声、少し粗さを加える声、サビへ向かう流れを支える声。
本人の録音時の言葉から見えてくるのは、同じ声をどの曲にも当てはめず、その場面に必要な表情を選ぶ歌い方です。

「Sugar Rush Ride」— MV(2023年)

きれいに整えるだけでは出ない、声の表情

「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. Seori」の冒頭では、ハスキーな声が重要な役割を担います。
TAEHYUNはデモをそのままなぞらず、自分のニュアンスを出し、制作側と調整しました。
音程を正確に取ることに加え、声の肌触りそのものが曲の切実さを担っていると考えると、この選択が分かりやすくなります。

ただし、粗さは常に強く付ければよいというものでもありません。
本人はきっちり歌うことを好む一方、「Sugar Rush Ride」では、少し粗く、部分によっては誇張する必要があったと話しています。
整った声を基準に持ちながら、曲のためにその整い方を変える。
粗い声だけを生まれつきの特徴として扱うと、こうした選択が見えなくなります。

二曲を比べるときは、どちらが強い高音かだけでなく、声の入口が曲にどんな表情を与えるかに注目したいところです。
荒々しさが必要な曲でも、すべての言葉を同じ調子で押せば、その中の変化は見えにくくなります。
本人が細部を録り直して選ぶのは、一つの音色だけで歌全体を決めていないからでしょう。

2020年の取材に掲載されたTAEHYUN
2020年の取材に掲載されたTAEHYUN。
画像出典:画像掲載元

「Blue Hour」では、笑顔も歌声の選択になる

反対に、「Blue Hour」で求められたのは、リズムを生かしながら少年らしい声で歌うことでした。
TAEHYUNは、この時期の録音でよく笑顔を作ったと話しています。
笑顔で歌うときとそうでないときには声の違いがあり、その表情を曲へ生かしたのです。

これは、明るい歌詞だから元気に歌う、という説明より一歩具体的です。
音の高さを変えなくても、どんな表情で言葉を発するかを選んでいるからです。
ただし、笑顔さえ作れば誰でも同じ声になる、という発声法ではありません。
TAEHYUNが、この作品で求める明るさを見つけるために選んだ方法として捉えるのが自然でしょう。

「Blue Hour」— MV(2020年)

強い曲ほど、言葉のどこに力を置くかを決める

「Good Boy Gone Bad」の録音では、TAEHYUNの声が最初は優しすぎるという課題がありました。
そこで、どの文字を強め、どの言葉で力を抜くかを考えています。
自分のパートだけを目立たせるより、YEONJUNが担うサビへ盛り上がりをつなぐ意識も語りました。

制作を担うSlow Rabbitも、この曲では最初の録音から表現を試し直したと話しています。
正確に発音するだけでなく、言葉の崩し方も探ったのです。
声量を増せば強い人物に聞こえる、という単純な作り方ではありません。
子音や母音をどう扱い、どこを際立たせるかまで含めて、歌の印象を変えています。

発音を引き締める別の例が、「Back for More (with Anitta)」です。
VMAsでの披露に向けて、TAEHYUNはマイケル・ジャクソンの歌を意識し、タイトな発音の中からエネルギーが出ることを重視しました。
声を長く伸ばす場面だけでなく、短い言葉をどう立ち上げるかにも、彼の表現の工夫があります。

前に出る声だけでなく、重ねる声でも曲を支える

「Good Boy Gone Bad」でのTAEHYUNについて、Slow Rabbitは、サビやその手前で声を重ね、細部を作る働きも説明しています。
また、感情を捉える力と、か細さを含んだ独特の声が、曲の中でグループの色を保つ助けになったといいます。
強い曲だからこそ、強い声だけで埋めない役割もあったのです。

リードの歌声は、誰が歌っているのかを見つけやすい部分です。
一方、重なる声は、歌全体の厚みやまとまりとして受け取られることもあります。
TAEHYUNを追うとき、目立つ一節だけでなく、その周囲に重なる声も意識すると、歌の中の役割をより広く捉えられます。
ただし、個々の録音で誰がどの声を担当したかは、クレジットや制作側の説明と分けて確かめたい点です。

「Good Boy Gone Bad」— MV(2022年)

力を抜いた印象と、細かなコントロールを両立する

『The Star Chapter: SANCTUARY』の「Forty One Winks」では、TAEHYUNは最初のヴァースを歌いたいと自ら希望しました。
得意だと思えるスタイルを選び、日本での録音も早い段階で形になったといいます。
同作の「Over The Moon」では、余裕のある、気持ちよく受け取れる表現を意識しました。
力いっぱい歌うことだけでなく、力みを感じさせずに届けることも彼の選択肢です。

「Forty One Winks」— Special Performance Video(2024年)

グループ全体の表現として参考になるのが、2025年の「Beautiful Strangers」です。
サビでも叫び続けず、裏声と地声の切り替えによって感情を細かく動かすところに、聴きどころがあります。
グループ全体の歌唱についての特徴ですが、TAEHYUNが歌う楽曲で、声の強さ以外の変化がどう使われるかを考える手掛かりになります。

澄んだ声か粗い声か、力を込めるか抜くか。
その違いは、歌手のタイプを一つに分類するためだけにあるのではありません。
同じ曲の中でも、次の言葉へ何を残したいかによって選び方が変わります。
TAEHYUNの歌い方を捉えるには、その使い分けを曲の流れと一緒に見ることが大切です。

2023年初めの取材に掲載されたTAEHYUN
2023年初めの取材に掲載されたTAEHYUN。
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「Bird of Night」で、一曲の声の流れを追う

ソロ曲「Bird of Night」について、TAEHYUNは、眠れない夜や明日への不安を抱える人に、小さな慰めを届けたいという思いを語っています。
静かな場所で一人で聴くことも勧めています。
声の力を示すだけでなく、聴く人がどんな時間にその歌を受け取るかまで考えて選んだ曲です。

この曲を聴くときは、一つの高音を待つだけでなく、最初の声が次のフレーズへどうつながるかを追ってみるとよいでしょう。
五人の声が交代する曲と違い、一人の声の変化が曲の道筋になります。
その変化が、静かな時間に寄り添うという曲の役割とどう結びつくかも聴きどころです。

TAEHYUNの歌の特徴は、澄んだ声と粗い声のどちらか一方には収まりません。
言葉に力を置き、必要なところで抜き、重ねる声では全体を支える。
そうした選択の積み重ねが、曲ごとに違う彼の表情を作っています。
その選択が広がってきた過程は、TAEHYUN (TOMORROW X TOGETHER)の歌唱変遷でたどっています。

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