増田貴久の歌い方と歌唱力|ハモリで磨いた「相手を聴く声」がソロで強い理由

増田貴久の歌い方と歌唱力をハモリとソロ表現から分析する記事のアイキャッチ シンガー

増田貴久さんの歌唱力を「声量がある」「太い高音が出る」だけで説明すると、一番おもしろい部分を取り逃がします。
増田さんの強みは、自分の声を目立たせる前に、隣で鳴っている声と曲全体を聴き、自分が埋めるべき場所を決められることです。

テゴマスでは相手の主旋律を支え、NEWSでは人数や歌割りの変化に合わせ、ソロではアカペラからラップまで一人で声の役割を組み替えてきました。
「喜怒哀楽」で30本のマイクに囲まれる演出は、派手な飾りではありません。
長く人の声を支えてきた歌手が、今度は自分の声だけで合唱を作るという経歴そのものです。

増田貴久の歌唱力は、声の大きさより「置き場所」に表れる

増田さんの歌声には、前へ出る力があります。
ただし、いつも同じ太さで押し通すわけではありません。
ハーモニーでは輪郭を少し丸くし、言葉を届ける場面では子音を立て、感情が大きく動く曲では声の密度を上げるというように、曲の中で立ち位置を変えます。

この違いは、サッカーの強いシュートよりパス回しに近いでしょう。
どれだけ強い声を持っていても、他の声と同じ場所へぶつければ歌全体は濁ります。
増田さんは「自分が歌える音」ではなく、「ここで自分が出すと曲が完成する音」を選ぶタイプです。

その性格が最も分かりやすく形になったのが、初のソロアルバムです。
アカペラ、ハーモニー、多重録音、ラップ、カバーを一枚に収めた構成は、一種類の美声を見せる作品ではありません。
一人の中にある複数の歌手を、曲ごとに呼び出す作品になっています。

テゴマスで磨かれたのは、きれいにハモる技術だけではない

テゴマスのライブを扱った複数の記録では、二人が短い打ち合わせだけで音を合わせ、伴奏のない場面でも迷わずハーモニーを作ったことが繰り返し語られています。
ここで重要なのは、「正しい音程を知っている」ことだけではありません。
相手がその瞬間に出した声を聴き、自分の高さ、音量、語尾をすぐ合わせる必要があります。

ハモリは、主旋律より小さく歌えば成立するものではありません。
声が弱すぎれば消え、強すぎれば旋律を奪います。
二人の声質が違うからこそ、増田さんには自分の魅力を足すだけでなく、相手の魅力が見える余白を残す役割がありました。

相手の声を聴きながら自分の役割を変える増田貴久

ファンの記録には、柔らかく包む声と、アップテンポでも崩れない安定感の両方が印象に残ったという見方があります。
一方で、手越祐也さんの派手で前へ飛ぶ歌唱との対比から、増田さんを「支える側」とだけ捉える声もありました。
しかし、支えることは脇役になることではありません。
相手を聴く力があるからこそ、必要な瞬間には主旋律の中心へ移っても曲のバランスを壊しにくいのです。

太い中高音は、一枚の厚い声ではなく複数の表情でできている

増田さんの高音は、低い声の力をそのまま上へ運ぶだけのものではありません。
公式に示されたソロ作品の内容を見ると、アカペラ、重ね録り、ラップ、柔らかなカバーまで、音量も声色も異なる表現を意識的に並べています。

「高音が強い歌手」と聞くと、サビで一気に大きくなる歌い方を想像しがちです。
ところが増田さんの場合、声の芯を残したまま言葉を近くへ置く場面と、会場全体へ投げる場面が共存します。
太さは常に最大音量で歌うことではなく、音量を落としても声の存在が消えにくいことから生まれます。

この点は、手越祐也さんの派手でも崩れにくい歌い方と比べると分かりやすくなります。
手越さんがフレーズの頂点を鮮やかに見せる方向なら、増田さんは曲の土台を保ちながら頂点へ運ぶ方向です。
どちらが上という話ではなく、二人の異なる強さが重なったからテゴマスのハーモニーが成立しました。

NEWSで人数が変わるたび、「支える声」は中心の声になった

NEWSは活動の中で人数が変わり、歌割りもそのたびに組み直されてきました。
増田さん自身、3人体制になった時には、自分一人になってもNEWSを残すという意思を先に示したと語っています。
その言葉はグループへの思いであると同時に、歌う責任の変化も表しています。

大人数の中で一音を支えていた時代には、声を出しすぎない判断が必要でした。
4人、3人と減るにつれ、一人分の声が担う旋律、低音、ハーモニー、会場への呼びかけは増えます。
相手の音を聴いて空いた場所へ入る能力が、人数が減るほど中心を支える能力へ変わっていったのです。

この経緯を知ると、現在の声量は生まれつき大きな声を持っていたという一言では片づきません。
曲の中で足りないものを引き受け続けた結果、柔らかい声にも強い声にも「任せられる」安定感が加わったと考える方が自然です。

「喜怒哀楽」は、一人で歌った曲ではなく一人でハモった曲

ソロの「喜怒哀楽」では、複数のマイクと多重録音が作品の核として明示されています。
これは、グループを離れて一人の声を誇示する企画ではありません。
自分の中にある主旋律、コーラス、低い声、ラップ、感情の揺れを、それぞれ別の役として並べる試みです。

アカペラからラップまで一人で声の役割を組み替える増田貴久

ライブでも、マイクを通さないアカペラから厚いバンド演奏へ移り、曲によって歌い方を大きく変える構成が選ばれました。
一人になって消えたはずの「相手を聴く」という技術は、ここで自分が録音した別の声を聴く技術に変わります。
過去の自分が歌ったハモリへ、現在の自分が主旋律を重ねるようなものです。

その意味で、ソロはテゴマスやNEWSの反対側にある活動ではありません。
グループで学んだ声の配置を、一人の作品の中へ持ち込んだ延長線上にあります。
歌だけで勝負したいという言葉も、誰より大きく歌いたいという宣言ではなく、これまで担ってきたすべての役割を自分で引き受ける覚悟として読むと腑に落ちます。

今入れる? 近くで入りやすい飲食店がわかる混雑予報マップ

真似するなら大声ではなく、曲の中で役割が変わる瞬間を聴く

増田さんの表面だけを真似して、太い声や感情的な高音を常に最大音量で出すのはおすすめできません。
参考にしやすいのは、声そのものより「誰と、どの音の上で、何を担当しているか」を聴く姿勢です。

「青いベンチ」では二人の声が重なる場所、「U R not alone」では言葉を観客へ渡す場所、「喜怒哀楽」では一人の声が何役にも分かれる場所に注目すると、同じ増田さんでも声の役割が違うと分かります。
一曲だけで「地声が太い歌手」と決めず、二曲以上を比べると歌い方の設計が見えてきます。

増田さんの年代による役割の変化は、NEWS・テゴマスからソロまでの歌唱変遷で詳しく整理しています。
声の特徴より、なぜ現在の立ち位置になったのかを知りたい人は、続けて読むと二つの記事がつながります。

まとめ

増田貴久さんの歌唱力を支えているのは、太い中高音や声量だけではありません。
長くハモリを担ったことで、相手の声を聴き、自分の音量と声色を曲の空いた場所へ置く力を磨いてきました。

NEWSの人数が変わると、その力は主旋律を支える力へ広がりました。
ソロではさらに、自分の声を何層にも分け、一人で歌いながら一人でハモる表現へ進んでいます。

増田さんの歌を聴く時は、最高音だけを追うより、声が前へ出る瞬間と一歩引く瞬間を見つけてみてください。
「相手を聴ける声」が、なぜ一人になっても強いのかが見えてきます。

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました