ユキナ(花冷え。)の歌声の変遷|シャウトからラップへ、アニメ風の声を加えるまで

ユキナ(2026年の「JAPAN Forward」掲載写真/撮影:Mei Okabe) シンガー
ユキナ(2026年の「JAPAN Forward」掲載写真/撮影:Mei Okabe)

最初は歌詞をシャウトしていた自分が、ラップやヒップホップにひかれ、可愛いアニメ風の声でも試してみたくなった。
2026年の取材で、ユキナは歌い方が広がった過程を振り返っています。
組み合わせた音が面白く、自分で歌うことも楽しかったそうです。

その楽しさは、2021年の『乙女改革』にも、2026年のアニメ主題歌にもつながっています。
カラオケで探ったシャウトから、ラップ、可愛い声、作品の登場人物を思い浮かべて歌うことへ。
ユキナが何を試し、どんな声を選ぶようになったのかをたどります。

「O・TA・KUラブリー伝説」(2024年)のミュージックビデオ。

カラオケで声を探し、仲間の反応に励まされた

2023年の取材で、ユキナは、シャウトが初めからできたわけではなかったと話しています。
好きなバンドをコピーするため、まず曲を聴き、どうやって声を出すのか考えて、カラオケで試していました。

マキシマム ザ ホルモンの曲などをメンバーに聴いてもらうと、できそうだという反応が返ってくる。
それが、もう少し頑張ってみようと思うきっかけになったそうです。
一人で声を真似する時間と、仲間に聴いてもらう時間の両方が、出発点を支えていました。

マツリによると、2人が好きだったバンドには、クリーンな歌とシャウトを分担する組み合わせが多かったといいます。
コピーを重ねるうちに、ユキナのシャウトとマツリの歌という役割も自然に定まっていきました。
その土台ができた後、ユキナ自身の声の中にも、別の表情が加わっていきます。

「令和マッチング世代」で、声の勢いに言葉の速さを加える

2020年にMVが公開された「令和マッチング世代」は、翌年のアルバム『乙女改革』にも収録されました。
2021年のセルフライナーで、この曲を選んだ当時のドラマー、サエは、新たに挑戦したスピード感のあるラップを聴きどころに挙げています。
ドラムのグルーヴとともに、言葉が進んでいく速さも曲の特徴になっていました。

後年の回想だけでなく、当時のメンバーもラップを新しい挑戦として捉えていたのです。
シャウトの強さを保ちながら、言葉の運び方を変える。
その選択が、歌の中に違う動きを作っていました。

『乙女改革』(2021年)収録の「令和マッチング世代」のミュージックビデオ(2020年公開)。

同年8月の個人ブログ「Welcome To My 俺の感性」のアルバム評も、ユキナのグロウル、アイドルを思わせる声、ラップの行き来に注目しています。
一方で、ラップの方向をさらに磨き、バンド全体のクリーンな歌やコーラスのメロディを洗練させてほしいという期待も記していました。
多彩な声がすでに魅力として届き、その組み合わせをどう育てるかも聴き手の関心になっていた時期です。

2022年の渋谷clubasia公演を記したRyotaのライブ感想では、「令和マッチング世代」の速いラップとドラムのグルーヴが印象に残っています。
ユキナの激しい声と、マツリの高いクリーンな声も、別々の役割として捉えられていました。
録音で試した言葉の勢いが、ライブでも聴き手に届いていたことがうかがえます。

好きなアニメの声を加え、「O・TA・KUラブリー伝説」へ

2026年の回想でユキナが語ったのは、ラップへの興味と、可愛いアニメ風の声を合わせてみたいという発想でした。
海外の音楽に加え、日本のアニメソングやゲームにも親しんできたことが、自分たちらしいポップさや混沌とした曲作りにつながっています。

可愛い声も、本人が試してみたいと思い、歌っていて楽しいと感じた表現です。
シャウト担当という役割の中でも、声の表情を自分から増やしてきました。

2024年の「O・TA・KUラブリー伝説」では、録音の中で声を組み合わせる方法も広がっています。
マツリによると、英語の部分にはAIに話させた音声を入れ、ユキナ本人の声と重ねました。
実声と人工の音声を混ぜ、2.5次元のような新しい音を目指した試みです。

ユキナは、海外で日本のアニメやポケモンが好きだと声をかけられ、その文化の広がりを実感したとも話しています。
自分たちも好きなものを、曲の題材として前に出していく。
声を加工して組み合わせる工夫にも、歌うテーマと音の世界を近づける考えがありました。

ユキナ(2024年の「TOKION」掲載写真/撮影:Hamanaka Yoshitake)
ユキナ(2024年の「TOKION」掲載写真/撮影:Hamanaka Yoshitake)。
画像出典:画像掲載元

思いついた声を、一度曲に当ててから選ぶ

2025年の取材でマツリは、ユキナの案をまず曲に当て、録音前に複数のパターンをみんなで聴いて選ぶと説明しています。

2026年にはユキナも、マツリの格好いいデモに、面白い言葉を加えてメンバーを驚かせたり、笑わせたりしたいと語っています。
自分のパートの歌詞を作ることも、声の表情を考えることにつながっているのです。
まず試し、仲間に聴いてもらう。
声を探っていた頃のやり取りが、曲の中の選択を確かめる作業へと育っています。

2026年の主題歌では、キャラクターの気持ちを声にする

「命短し対する乙女よ」では、アニメ風の声を好む歌手が、実際の作品の世界へ踏み込んでいます。
2026年10月の取材でユキナは、キャラクターの気持ちになり、世界観に入り込んで歌詞を書くと説明しました。
原作で気に入った言葉や登場人物がよく使う言葉を書き出し、自分のパートへ生かしています。

一方、マツリが歌うサビは、誰にでも分かりやすくする。
キャラクターの言葉を持つ部分と、広く届くメロディの部分を、2人で分けていました。
ユキナは、激しい声と高い声が交互に現れることにも、飽きずに楽しめる面白さがあると話しています。

曲の後半には、ラップ風の部分からサビへ進み、さらに試合のアナウンスが始まる展開もあります。
最後の明るい叫びについて、ユキナは聴く人にも一緒に叫んで、すっきりしてほしいと語りました。
声の種類が増えることが、場面を切り替え、聴き手を曲に参加させる表現につながっています。

命短し対する乙女よ — 2026年のミュージックビデオ。

ユキナ(2026年10月のアニメイトタイムズ掲載写真/前列中央)。
ユキナ(2026年10月のアニメイトタイムズ掲載写真/前列中央)。
画像出典:アニメイトタイムズ

仲間に聴いてもらいながら探したシャウトが、速いラップや可愛い声と組み合わさり、作品の中の人物を表す歌へ広がっていく。
ユキナの変遷には、自分が楽しいと思える声を試し、それを曲の中で生かす過程があります。
その声を聴く側にも、一緒に笑い、叫びたくなる楽しさを届けようとしているのです。
日本語の響きや、録音で勢いを引き出す工夫は、ユキナの歌い方で取り上げています。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました