ミンニの歌声を思い浮かべると、夢の中へ引き込むような雰囲気が浮かぶ人もいるでしょう。
けれど、その声は最初から一つの完成形だったわけではありません。
韓国語で歌う時にも自分らしい色を残すこと。
グループの中で、曲に合う役を演じること。
そして、ひとりで一枚の作品を歌い通すこと。
活動が広がるにつれ、声を選ぶ時の課題も変わってきました。
2018〜2019年――韓国語の歌にも、自分の声を残したい
タイ出身のミンニは、2018年に「LATATA」でデビューした(G)I-DLE、現在のi-dleのメンバーです。
グループで歌う道を選んだ彼女には、母国語とは違う言葉で表現する仕事も待っていました。
韓国語の発音は、好きな先輩の歌を何度もまねて身につけていったといいます。
一方、2019年には、韓国の歌を歌うと声が少し明るくなり、洋楽を歌う時はもっと厚く暗い音色になると話していました。
言葉に慣れるだけでなく、自分の好きな声の色も残したい。
韓国語でも、かわいらしい声に寄りすぎないよう意識していたのです。
同年の「LION」では、歌詞に難しい韓国語があり、知らない言葉を調べたと振り返っています。
それは、発音を滑らかにすることとは別の準備です。
何を言っているのかを理解して、その曲の人物になる。
初期のミンニは、言葉と歌の世界の両方に近づこうとしていました。
2019〜2020年――自分の感情から、歌の世界を作り始める
曲を書くようになると、ミンニの内側にある感情も、作品の出発点になります。
「For You」は、寂しさを感じていた時に生まれた曲でした。
歌詞を書いているうちに感情が強まり、自分でも圧倒されるほどだったといいます。
その歌が、同じように孤独な人の気持ちを和らげてほしいとも願っていました。
自分の寂しさを、誰かのための歌にしたかったのでしょう。
ただし、最初からどんな曲でも同じように書けたわけではありません。
2020年のミンニは、感情を込めた静かな曲が好きで、バラードを書くことに自信があると話しています。
その一方で、グループのためには、新しいスタイルやリズミカルな曲にも挑戦したいと考えていました。
好きな音楽を深めることと、仲間のために幅を広げること。
その二つが、同時に進んでいました。
2021年――仲間の歌を、録音室で導く側にもなる
『I burn』の制作期には、自作曲の録音へ立ち会い、メンバーにどう歌ってほしいかを伝える仕事もしていました。
ミンニは当時、ドラマの撮影と歌の練習、録音が重なっていたと振り返っています。
忙しさの中でも、自分の担当部分を録り終えれば終わりではなかったのです。
誰の声で、どんな表現にするか。
仲間の歌を導く経験は、歌い手だけでは見えにくい、一曲全体を作る立場も彼女に与えました。

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2023年――英語へ戻ることで、声の重さを選び直す
英語作品『HEAT』は、ミンニにとっても新しい調整の機会でした。
韓国へ来た当初は英語のほうが楽だったのに、この頃には韓国語が身近になり、英語で歌うことに慣れ直す時間が必要になっていたのです。
本人によれば、韓国語では声が少し細く、かわいらしくなり、英語では自然に低めの調子になって重みが生まれる。
『HEAT』では、その英語の声の格好よさを生かそうとしました。
メインボーカルとしての歌だけでなく、ラップの比重も増やしています。
どの言葉で、どんな重さの声を使うかという選択が、作品の中へはっきり持ち込まれたのです。
2025年――『HER』で、ひとりの声を一枚分に広げる
2025年1月21日、ミンニは初のソロミニアルバム『HER』を発表します。
「Blind Eyes Red」「HER」「Drive U Crazy」「Cherry Sky」「Valentine’s Dream」「It’s Okay」「Obsession」の七曲。
グループの一曲で担当する部分を歌う時とは、声の見せ方そのものが変わる作品でした。
本人が課題にしたのは、最初から最後まで自分の声だけで歌っても、表情が一つにならないことです。
グループでは夢幻的なイメージを担ってきたけれど、ソロではもっといろいろな姿を見せたい。
そのために、高い声、低い声、細い声を使い分けたと説明しています。
先行曲「Blind Eyes Red」は、ビートを聴いた時から、これまでとは違う面を見せられると感じた曲でした。
ミンニはソロ制作を振り返り、音楽から作品の見せ方まで、自分の判断が関わる範囲の広さを挙げています。
決められた役をうまく歌うだけでなく、どんな自分を最初に届けるかまで決める。
その責任も、ソロの声には加わりました。
「ミンニらしい色とは何だろう」と、録音中にも自分へ問いかけていたといいます。
「Blind Eyes Red」の暗さにも、自分の気持ちと想像が混ざっている。
ただ怖く、ただ神秘的に見せればよいというものではなかったのでしょう。
自分らしさを一語で決めて終えるのではなく、曲を作り、歌いながら探し続けた作品でもありました。

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仲間との声の違いも、ソロの表情になる
ひとりの作品だからといって、全曲をひとりきりで閉じたわけではありません。
「Drive U Crazy」にはウギ、「Obsession」にはWayVのテンが参加しています。
声の違う相手を迎えることも、七曲を違う景色にする方法になりました。
ウギとは、先に彼女のソロ曲「Everytime」で共演していました。
ミンニは、その穏やかな曲とは違い、「Drive U Crazy」ではもっと強く、楽しい方向を目指したと話しています。
同じ二人でも、前の組み合わせをそのまま繰り返してはいません。
実際のソロ制作で、特に大変だった時間としてミンニが挙げたのは、録音でした。
自分との闘いでもあり、スタッフも苦労したと振り返っています。
自分で選ぶ部分が増えるほど、その選択がどんな結果になるかも学ぶ。
ソロになれば自由に歌えて簡単になる、という歩みではありませんでした。
声を出す人であると同時に、その声をどう作品へ残すかを考える人になっていったのです。
i-dleの声と、ミンニひとりの声を行き来する
2026年にも、ミンニはi-dleの一員として歌い続けています。
本人は「Super Lady」で示した強さに対し、「Mono(Feat. skaiwater)」では弱さも受け入れることを含めた強さを語っています。
力強く見せる時も、内側を見せる時もある。
ソロを経験した後も、グループで新しい曲の意味を考える仕事は続いているのです。
ミンニの変化は、別人のような声を手に入れた、という物語ではありません。
言葉に合わせて色を調整し、自分の感情から曲を作り、ひとりの声にいくつもの役を任せるようになった。
その積み重ねが、今の歌の幅になっています。
曲ごとの声の使い分けは、ミンニの歌い方で掘り下げています。

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