静かで率直な歌が似合う人が、激しいロックを歌ったら、それは本来の自分から離れることになるのでしょうか。
ウジは、ソロで見せてきた穏やかな音楽を自分の主軸にするべきか、疑問を持っていました。
バラードもR&Bもロックも試したいという思いが、歌手としての見せ方を広げていきます。
何を歌って自分を伝えるか。
ソロ曲と公演をたどり、ウジが選び直してきた表現を見ていきます。
歌うことから始まり、13人の音楽を作る側へ
幼い頃に通った英語教室の先生が、ウジを音楽へ導きました。
牧師でもあった先生からポップスを教わり、教会で歌や楽器に親しむようになります。
オーディションで歌ったのはジェイソン・ムラーズの「I’m Yours」。
途中で止められる参加者もいるなか、一曲を最後まで歌えた経験を、本人は自信とともに振り返っています。
SEVENTEENでは、ウジはボーカルチームのリーダーを務めています。
作曲や制作を担う姿がよく知られていますが、自分の声で歌を届ける役割も、その活動の中心にあります。
デビュー翌年の2016年、エスクプスは、ウジの曲には一聴して歌えるか心配になるような独特の部分もある、と語っていました。
それをボーカルチームが練習し、ハーモニーを合わせて仕上げていく。
ミンギュも、5人が歌う前によく話し合い、細かく息を合わせる様子に驚いています。
ウジの音楽は、初めから一人の歌唱だけで完成するものではなく、それぞれの声を合わせる過程を持っていたのです。
2016年7月発売の『Love & Letter』リパッケージ盤には、ソロ曲「SIMPLE」が収められました。
大人数の歌の中で自分の番を担うだけでなく、一曲を通して声を届ける作品も、早くから残しています。
「SIMPLE」の明るいポップな響きを好む聴き手にとって、後の「Ruby」は大きな方向転換でした。
ウジの軽やかな声が、ロックの中では挑むような態度を帯びる。
同じ歌手の声でも、曲の勢いと言葉の出し方が変わると、聴き手へ届く人物像まで違ってきます。
2022年、「歌手ウジなら何を歌うか」を選び直す
2022年1月の「Ruby」は、初のソロ曲ではありません。
以前のソロ曲の再発表ではなく、新しい曲で、ソロで歌う自分を示そうとしました。
当初はバラードも考えていました。
ただ、バラードだけで自分を表したくはなかった。
得意な方向を選べば自然にまとまるとしても、それで自分の全部を示したことにはならない、という判断があったのです。
難しかったのは、好きなジャンルを決めることだけではありません。
13人のために音楽を作り続けてきたウジは、グループの自分とソロの自分を、どこで分ければよいか考え込んだといいます。
自分が一人で歌う曲では、進む方向を客観的に判断しにくかった。
それでも曲が形になるにつれ、自分の新しい可能性を発見し、一つの壁を越えた感触が生まれました。
歌唱も、最初から楽にできたわけではありません。
ロックの歌い方には不慣れで、練習では難しい部分がありました。
録音へ進むと、リズムやアクセントを強調しながら歌う面白さをつかみ、以前より自然に取り組めるようになったと振り返っています。
ロックを歌った後も、静かな自分は消えなかった
2023年にも、ウジは自分のソロについて、静かで率直な音楽が中心だった一方、多彩な色を試すことが当時の自分に合っていた、と説明しています。
一度ロックを選んだからといって、それを新しい定位置にするわけでもない。
次に同じ問いを考えれば、また違う音楽になるだろうという余地を残していました。

画像出典:画像掲載元
2024年1月26日には、「What kind of future」が正式に配信されます。
「Ruby」の後にも、以前から大切にしていた曲を届ける機会がありました。
この曲は2018年の「IDEAL CUT」公演などで披露されていた、長く音源化されていなかった作品です。
生前からこの曲を愛していたASTROのムンビンが亡くなった後、ウジは彼の誕生日に発表すると約束しました。
その約束を果たした音源化です。
友人を失ってから新たに書いた追悼曲というより、すでにあった歌を、友人との約束とともに届けた出来事なのです。
ウジは、自分に正直に書こうとするとバラードになることが多いと語っています。
ロックを歌っても、大切な人への思いを託すバラードは、もう一つの自分であり続けました。
2025年、ホシとの舞台に並んだ二つの表情
2025年には、ホシとのユニットHOSHI X WOOZIで『BEAM』を発表します。
ウジが制作について挙げたのは、親友と楽しみながら、二人の率直な姿を込めることでした。
ホシの情熱に動かされることはあっても、互いを長く知る二人です。
相手の知らなかった一面を発見する、という説明ではなく、すでにある個性を生かす活動として語られています。
3月の音楽番組での「96ers」では、ホシの鋭いラップとウジの伸びる高音が、対照を作りました。
一人で曲の世界を引き受けた「Ruby」とは違い、相手の声があることで、自分の声の役割が際立つ場面です。
同年8月6日のKアリーナ横浜公演では、「Ruby」と「SIMPLE」が同じソロステージに並びました。
さらに「Destiny」では、静かな歌い出しから、サビの高音へと表現を広げています。
「Destiny」―「WARNING」ツアー公式映像(会場・収録日の記載なし)
横浜での公演中、ウジは、ホシのように明るく場を引っ張るのは得意ではない、と話しています。
情熱的な時間ばかりでは疲れるだろうから、少し休むような気持ちでいてほしい。
歌の合間の話し方にも、相手と同じ勢いで競うのでなく、自分の静かな時間を作る姿勢が表れていました。

画像出典:画像掲載元
以前からの曲と新しい挑戦を、同じステージで歌う。
ウジが何を変え、何を残してきたかを、作品の並びからも考えることができます。
曲の中での声の選び方は、ウジの歌い方の記事で掘り下げています。







コメント