ウジの歌声を、柔らかい声とも力強い声とも感じるのはなぜでしょうか。
その両方が現れる曲を、録音とステージの具体例から考えます。
穏やかな歌、ロック、グループで重なる歌。
ウジが曲ごとにどんな声を選び、その声をどう聞かせているかをたどります。
「Destiny」―「WARNING」ツアー公式映像(会場・収録日の記載なし)
「Destiny」で、語りかける歌い出しから高音へ
2025年8月6日、Kアリーナ横浜で歌った「Destiny」は、ギタリストとの演奏でした。
静かな響きに合わせ、冒頭はささやきかけるように歌い、サビでは高音を長く伸ばす。
音の高さだけでなく、近くで語りかける歌い方と、大きく広げる歌い方の差が、曲の起伏になっていました。
「Destiny」は、アルバム『HAPPY BURSTDAY』に入ったソロ曲です。
作詞はBUMZU、作曲はBUMZUとパク・ギテ。
自作曲を数多く持つウジが、ここでは他の作り手による曲を、自分の声で形にしています。
曲を作る力と、歌を受け取って表現する力の両方に目を向けられる一曲です。
横浜公演の歌唱には、繊細さと力強さの双方が感じられたという評価があります。
柔らかく歌う箇所があるからといって、曲全体を弱い声で統一しているわけではありません。
ギターと重なる声に、静かな部分と力を感じる部分がともにある。
ウジの柔らかさを、高音の迫力と切り離さずに聴きたい理由です。

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「Ruby」のざらつきは、歌い方と録音を分けて考える
「Ruby」では、リズムとアクセントを強調して歌うことを楽しんでいます。
「Ruby」は、まず加工なしで声を録音し、その後のミックスで効果を加えています。
途中の話し声に近い一部分では、逆に効果を外しました。
本人が面白がったのは、加工された声と素の声の違いです。
録音のざらつきすべてを、喉で作った声として説明することはできません。
曲の始まりはオーケストラ風の響きですが、やがてギターとドラムが強く入り、歌も勢いを増します。
終わりにはジャズを思わせるピアノへ移る。
一つの曲の中で伴奏の手触りが変わるため、声の加工も、独立した飾りというより音楽全体の表情として働きます。
きれいな声をそのまま前へ出す場合とは、聞かせ方の狙いが違うのです。
加工の強い声でも、伴奏とよく合っていると評価する聴き手がいる一方、もっと長く展開し、最後に大きな高音で締めてほしかったという感想もあります。
実際の「Ruby」は、その期待通りに歌唱の大きな山を置く曲ではありません。
繰り返される歌の形と短い展開を楽しむ曲として見ると、声の使い方もつかみやすくなります。
普段の軽い声が、この曲では挑発的に響くという評価もあります。
軽さをなくして低く太い声に変える、という説明ではなく、同じ歌手の声に別の態度が加わる、と考えると分かりやすいでしょう。
音色の加工と、前へ進む歌の勢いが重なって、「Ruby」の強さを作っています。
英語の歌詞も、最初から決まっていたわけではありません。
曲の色を十分に表せる言語を考えた結果、本人は難しさがあっても英語を選びました。
その挑戦に至るまでの経緯は、ウジの歌声の変遷で扱っています。
歌い方の面では、地声の質だけに注目せず、言葉とリズム、録音後の音作りを一緒に捉えたいところです。
裏声やR&Bは、曲に似合う声から選ぶ
グループの「Heaven’s Cloud」について、ウジは裏声を行き来する旋律が、曲のしゃれた雰囲気に合うと説明しています。
歌うには難しい面もありながら、その動きが曲を多彩にする。
裏声は高い音をしのぐためだけでなく、旋律に似合う色を作るための選択でもあるのです。
ボーカルチームの「Same dream, same mind, same night」でも、出発点はジャンル名ではなく、メンバーの声を生かしたいという考えでした。
そこから2000年代のR&Bを思わせる方向へ進んでいます。
先にR&Bらしい型を決めて全員を当てはめるのではなく、声の持ち味から音楽を選ぶ。
これはウジ個人の特定のパートだけでなく、5人の歌を組み立てる際の考え方です。
メンバーも、ボーカルチームは5人の声にそれぞれ特徴があり、表現できる範囲が広いと語っています。
ウジの声も、他の4人と同じ音色でそろえるためだけにあるのではありません。
異なる声を持つ人たちが、話し合いと練習を通して一つのハーモニーを作っているのです。
仮歌で伝えているのは、音程と歌詞だけではない
ウジは、自分で歌ったガイド音源を用意し、メンバーの録音にも立ち会います。
「Home」や「Pinwheel」などのガイドに表れる切なさは、曲の感情を歌声で伝える手がかりになっています。
ホシも、ウジのガイドには特別な力があると感じています。
録音では、相手を萎縮させないことも大切にしています。
自身がデビュー前に歌唱指導を受けた経験から、怒鳴られてもよい録音にはつながらないと考え、歌う人を励ます側であろうとしてきました。

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そのウジがホシと二人で歌う「96ers」では、鋭いラップに対して高音が伸び、二つの声の違いが魅力になっています。
グループの音を整える人でありながら、自分の声まで均一に消してしまうわけではありません。
他の声と並んだときにも、自分がどんな役割を担うかを聴ける曲です。
「Destiny」では歌い出しとサビの対照を、「Ruby」では声の加工を、「96ers」では相手のラップとの違いを聴く。
曲ごとに注目する場所を変えると、ウジの歌声を一つの音色だけでは捉えられないことが分かります。

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