Jun. Kの歌声の変遷|高音の迫力から、心地よく届く声を選ぶまで

2015年の取材に掲載されたJun. K Jun. K
2015年の取材に掲載されたJun. K

Jun. Kの歌には、会場を一気に熱くする力があります。
一方で、ソロ曲をたどると、そばで話しかけるような歌も少なくありません。
その違いは、年齢とともに声が落ち着いた、という一言では説明しきれないものです。
自分の音楽を見せたい気持ちと、相手に届く歌にしたい気持ち。
その二つの間で何を選んできたのかが、歌声の変遷を読む手がかりになります。

2PMの大きな舞台を支えた、伸びのある声

2008年にデビューした2PMで、Jun. Kは歌唱を支える存在になりました。
かすれを含む声色と、上へ伸びる高音。
大きな声量は、グループの力強いダンスにも負けない歌の存在感を作っています。

もともと高校生の頃から作曲を学び、ソロではR&Bやヒップホップ、ゴスペル、ジャズなど、好きだった音楽を形にしたかった人です。
2014年の日本ソロデビュー作『LOVE & HATE』では、その考えが作品全体へ広がりました。
表題曲についても、本人はそれまでとは違う声のトーンを示せたと話しています。
グループに似合う力強さを担いながら、ソロでは別の声も試せる場所ができたのです。

2014年の取材に掲載されたJun. K
2014年の取材に掲載されたJun. K。
画像出典:画像掲載元

2015年、自分を見せる歌から、相手に寄り添う歌へ

二作目の『Love Letter』では、制作の出発点が変わりました。
最初の作品で自分の個性を詰め込もうとしたのに対し、今度は聴く人へ寄り添うことを考えた、と本人は説明しています。
冬の温かさを思い浮かべ、歌詞も手紙のように話しかける言葉へ。
どんな自分を見せるかに加え、どんな距離で相手へ届けるかを考えた作品でした。

表題曲では、古いビッグバンドを思わせる音に、新しいビートを組み合わせています。
懐かしさと新しさの間を行き来する伴奏が、歌の表情にも居場所を作りました。

「Better Man」で目指したのは、すぐ横で歌っているように感じてもらえる表現でした。
さらに「Walking On The Moon」では、本人が新しい唱法に取り組んだと話しています。
同じ冬のアルバムの中でも、親密さを出す曲と、新しい歌の動きを試す曲が並んでいました。

2016〜2017年、歌とラップの間を広げる

2016年末の『NO SHADOW』では、歌ともラップとも取れる表現を、もっと自由に使おうとしています。
本人には、舞台での見せ方を考えて音を足すうちに、欲しかったグルーヴが薄れたという反省もありました。
音数を絞り、声とリズムの関係を前へ出す。
歌い上げる以外の表現も増やした時期です。

2017年の韓国作品『My 20’s』に入った「A Moving Day(引っ越す日)」では、前年の「THINK ABOUT YOU」の強い印象とは違う、穏やかで力みの少ない歌が前面に出ました。
きっかけは、住んでいた部屋から荷物が運び出され、思い出までなくなるように感じた経験です。
音楽的な挑戦を示すことから、人が自分のこととして受け取れる話へ。
J.Y. Parkの助言も受け、聴き手との共感を意識した選択でした。

身近な喪失を歌うとき、強い声ばかりでは、その小さな感情が見えにくくなることがあります。
ここでは歌の題材と、その題材を渡す声の距離が結びついています。
声の迫力を持つ人だからこそ、穏やかに歌う選択にも意味が生まれるのです。

2020年、歌い方を一変させずに、淡く歌う

兵役を終えた2020年、Jun. Kは「THIS IS NOT A SONG, 1929」を発表しました。
この曲で本人が心がけたのは、できるだけ淡白に歌うことです。
ただし、唱法を一変させたとは言っていません。
持っている声を作り替えるより、その曲に合う表情を選び直したのでしょう。

同年のオンライン公演でも、声の迫力が失われたわけではありません。
「Better Man」ではギターから始まる歌を豊かな声量で届け、「My House」はソロのソウルフルな形で披露しました。
最後の「THIS IS NOT A SONG, 1929」は、録音より感情を強く感じさせる歌として伝えられています。
録音では淡く整えた曲も、その日の公演では熱を帯びる。
一つの作品の中にも、固定されない表現が残っています。

2021年の「THE FIRST TAKE」では、2PMの「My House」をアコースティックの編曲で歌っています。
本人は、マイクの前でファンを思い浮かべたと話しました。
大勢で踊るグループ曲も、一人が歌へ集中する場に置けば、聴き手との距離が変わります。
以前の曲を別の形で届けることも、この時期の表現を広げていました。

2023〜2024年、強い個性を残しながら、聴きやすさを考える

2023年のベスト盤『THE BEST』には、新曲「Command C+Me」が加わりました。
模倣があふれる社会を題材にした、強いヒップホップ曲です。
柔らかな歌が増えても、挑発的な表現を手放したわけではありません。

一方、2024年に初ソロからの変化を問われた本人は、舞台を思い浮かべて作るあまり、曲が大げさで難しく聞こえることもあったと振り返っています。
そのうえで、軽やかで聴きやすい音楽を作ろうとしている、と説明しました。
ステージで見せ場を作ることと、日常で気持ちよく聴いてもらうこと。
両方を見渡すようになったのが、この時期の変化です。

ただし、本人は音楽の好み自体が変わったとは考えていません。
2024年に過去の作品を振り返った際も、大事なのはジャンルの変更より、テーマをどう込めるかだと説明しています。
好みを残しながら、伝え方を選び続けてきたのでしょう。

2024年公開の対談に掲載されたJun. K/撮影:Eri Morikawa
2024年公開の対談に掲載されたJun. K/撮影:Eri Morikawa。
画像出典:画像掲載元

2025年、高さよりも、出しやすく聴きやすい声へ

J-POPカバー集『O/N』を出した2025年、本人は歌への意識の変化をはっきり語りました。
以前は高音を絞るように出し、客席が喜ぶこともうれしかった。
しかし次第に、高さそのものより、自分が出しやすく、聴く人にも心地よい音を求めるようになったというのです。
年を特定した話ではなく、活動の中で育った考え方です。

同年の韓国ミニアルバム『Dear my muse』では、「R&B ME」に柔らかな歌声とシンセの響きを組み合わせました。
ラップにはStray Kidsのチャンビンが参加しています。
歌い手一人ですべてを強く押し出す以外にも、曲の表情を作る方法がある。
声の役割を分けることも、その一つです。

本人もこの作品では、新しいものを証明することより、誰でも楽に聴ける音楽を考えたと話しています。
すべてを自分で書かなければ、という重圧から、集めた曲を仲間と選び、磨く方向へ。
声の心地よさを求める考えは、作品の作り方にもつながっていました。

2026年、繊細な歌と、別の声との組み合わせ

2026年6月の「Midnight Ticket」は、エレクトリックピアノと重みのあるドラムを土台に、繊細なボーカルを置くポップR&Bです。
リズムの力を弱めなくても、その上の歌は細やかにできる。
かつての力強さをすべて捨てるのではなく、強さを伴奏と声にどう配分するかという選択が見えてきます。

8月には、ウェンディを迎えた「Your Lips」を発表しました。
二人のハーモニーでロマンティックな曲の雰囲気を作る、別の声と組み合わせる表現も続いています。

Jun. Kの歩みには、自分の音楽を強く示したい時期と、相手のそばへ届く歌を探す時期が重なっています。
音楽の好みが丸ごと変わったというより、好きな音楽をどう届けるか、その答えが増えてきたのでしょう。
高音の迫力を知っているからこそ、穏やかな一曲にも耳を向けたくなる。
その両方を持つことが、今のJun. Kの歌を豊かにしています。

声の質感、歌とラップのつなぎ方、曲ごとの強弱の選択は、Jun. Kの歌い方で掘り下げています。

アイキャッチ:2015年の取材に掲載されたJun. K/画像掲載元

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