イ・ジュノのソロ活動は、夏の明るさと結びついてきました。
それでも作品をたどると、爽やかな恋の歌だけでは収まらない表情に出会います。
自分にかかる重圧、恋の危うさ、失った存在への思い。
歌う内容が広がるにつれて、声に求めるものも変わっていきました。
2016年、本人は曲作りを始めてから歌が伸びたと振り返っています。
録音を聴き、自分の歌い方を知る経験が、表現を選ぶ土台になっていました。
『キミの声』で、自分の歌を届け始める
2008年に2PMでデビューしたジュノは、2013年に日本でソロミニアルバム『キミの声』を発表します。
ホン・ジサンらとの共同制作による、自分の言葉と旋律を歌う出発点でした。
表題曲は、ファンへ応える気持ちから生まれています。
制作時にはロック調など複数の形を試し、アルバム全体に合うものを選びました。
最初から一つの音の形に決めていたわけではありません。
一枚の中にも、異なる声の表情がありました。
「目を閉じて」では、ゆっくりしたR&Bにサビのファルセットを重ね、「GOOD BYE」では、バラードから疾走感のある展開へ進みます。
初ツアー最終日の東京国際フォーラムでは、「Move on」の裏声から、メンバーへ提供した「Be With You」の熱唱までを披露しました。
自作曲を自分で引き受け、観客の声にも応えるステージです。
ソロで得た自信を、次の作品へ持ち帰る時間にもなっていました。

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2014年から2015年、明るさの奥も歌うようになる
翌年の『FEEL』では、前作にない活動的な面を出そうとしました。
ソロツアーを経験したことも、もっとよいコンサートを作りたいという意欲につながっています。
同時に「Turn it up」の録音では、日本語の速いラップの発音に苦労しました。
歌う範囲を広げることは、言葉を扱う新しい課題を引き受けることでもありました。
2015年の『SO GOOD』では、見せてきた明るさに、自分の暗い部分も加えようとします。
「Pressure」の言葉を書く際には、活動の中で感じてきたことや、自分の置かれた状況へ向き合いました。
爽快さを届ける歌手が、重圧を抱える自分にも歌う場所を与えたのです。
作曲の進め方も変えました。
先にコードを用意して旋律を探す方法から、旋律を先に作る方法へ。
思いがけない和音の進み方も生まれ、苦労しながら新鮮な感覚を得ています。
歌いたい感情に加え、その感情を乗せる曲の作り方まで試し直していました。
『DSMN』で、爽やかさから離れる歌い方を選ぶ
2016年の「DSMN」では、疾走感を出すため、爽やか一辺倒の歌い方から離れます。
本人が選んだのは荒さとゆるさでした。
勢いを声の表情でも作ろうとしたのです。
前作でやりたい音楽を考え抜いた経験から、今作は自由や解放を主題にしました。
内面の葛藤を知ったうえで、そこから抜け出す気持ちを作品へ込めています。
可愛らしさも、憂いも、自分の中へ残す
その翌年、「Ice Cream」では可愛らしい表情を前に出しました。
ジュノは、今の自分だからできることを作品にしたいと考えていました。
大人っぽい曲へ進んだからといって、親しみやすさまで手放すわけではなかったのです。
同じ『2017 S/S』の「Fine」は、亡くなった愛猫への歌でした。
本人は作りながら泣いていたといいます。
表現の幅は、強さや色気だけで広がったものではありません。
2018年の『想像』では、暗く奥行きのある電子音や、ソウル、AORに通じる曲へ、その声を置いています。
表題曲、「FLASHLIGHT」、「どうせ忘れるだろう」と、恋の描き方も音の質感も異なる曲が並び、歌声に憂いや色気を含む作品となりました。
年末のベスト盤『JUNHO THE BEST』では、自ら曲を選び、発売順に並べることを望みました。
新しい姿だけを見せるのではなく、そこへ来るまでの歌も一緒に届ける。
初期の明るさと、その後の陰影を、自分の歩みとしてつなげています。
同年12月の武道館公演では、「キミの声」をデビュー当時と同じ衣装で披露し、昔の映像と現在の姿を重ねました。
最後には、さらに成長して戻るとファンへ約束しています。
積み重ねた歌を振り返る舞台が、次に歌う自分を考える場にもなっていました。
2022年、歌を入口にステージを組み直す
2022年8月、久しぶりの日本公演「Before Midnight」の冒頭に選んだのは、「FLASHLIGHT」でした。
ここでは踊らず、歌で観客を引き込みます。
続く「Instant love」ではファルセットを生かし、最初の三曲で曲の世界に入り込んでもらう構成を考えていました。
歌とダンスを共に得意とする人が、始まりを声に任せる。
その選択に、増やしてきた表現をどの順序で届けるかという、ステージ全体への意識が見えます。
夕暮れから真夜中へ進む構成の中で、声の役割も移り変わっていきました。
一方で、「キミの声」「SO GOOD」「Ice Cream」も歌い、ファンと過ごした夏を呼び戻します。
「Believe」の裏声から「INSANE」の熱唱へと進む場面もありました。
初期曲を残したまま、静かに聴かせる時間と激しい時間を一つの公演に組み込んでいます。

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十年後の初期曲と、新しい歌
2023年のツアー「また会える日」最終公演では、初期の「I love you」をギターと歌で届けました。
ジュノは当時の自分を振り返りつつ、十年後も歌い踊れることへの感謝を伝えています。
同じ歌を、今の自分と観客が向き合う時間に置き直していたのです。
「キミの声」にはロックのアレンジを加えています。
昔の曲をそのまま再現するだけでなく、現在のバンドと舞台に合う形へ変える。
長く歌ってきた曲にも、新しく関われる余地を残していました。
この年には新曲「Can I」も発表しました。
7月の横浜初日公演では、揺れ動く恋の感情を、甘い歌声と繊細なダンスで表現しています。
過去を振り返る十周年に、新しい曲も同じ舞台へ加わっていました。
2026年の「사계(Always)」では、本人が作詞と共同プロデュースに参加し、ファンと季節を重ねる思いを歌にしました。
誕生日のファンミーティングでも披露したバラードです。
華やかな夏の歌から始まったつながりは、一年を共に過ごす歌へも広がっています。
ジュノの変遷には、新しい表情を覚えても、以前の歌を消さない強さがあります。
甘さ、荒さ、悲しさを自分の声で扱い、その時々の相手へ届ける。
曲ごとの声の使い分けは、イ・ジュノの歌い方で詳しく見ていきます。

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