2026年、KAITOとして「swim?」を発表した髙橋海人は、歌の研究を続ける楽しさを語りました。
曲を自分に合う歌にすることと、聴く人へ届けることを考え、声や歌い方を研究するようになったのです。
その歩みの途中には、尾崎世界観が書いたソロ曲を一人で届ける歌も、永瀬廉とともに、曲調の違う二曲を歌い分ける歌もあります。
ソロと二人の曲を行き来し、その曲で自分の声をどう使うかを考えてきた過程です。
swim? MV(2026年)
2023年、尾崎世界観の言葉を一人の歌にする
『ピース』に収められたソロ曲「ワレワレハコイビトドウシダ」は、髙橋からの依頼で、尾崎世界観が作詞作曲を手がけました。
アレンジ、演奏、コーラスはクリープハイプが担当しています。
尊敬する作り手の曲を、自分の歌声で引き受ける作品でした。
『ピース』は、二人体制で今歌いたいものにこだわったアルバムで、永瀬廉と髙橋、それぞれのソロ曲を初めて収めています。
二人の声で作るアルバムの中に、一人の声を続けて聴いてもらう場所も設けたのです。
髙橋の場合は、自分から依頼した相手が楽曲だけでなく演奏やコーラスにも関わり、その世界に自分の歌を重ねる形になりました。
同年10月22日のKアリーナ横浜公演では、7 MEN 侍のバンド演奏を背に、スタンドマイクでこの曲を歌いました。
その公演を取材した音楽ライターの林ななは、複雑な気持ちを含む言葉を、一つずつ丁寧に旋律へ乗せる歌として捉えています。
言葉を一つずつ届ける姿が、ソロの歌を聴かせる中心にあったといえます。

画像出典:写真掲載元
尾崎が書いた言葉を、髙橋が一続きの主旋律として歌う。
林の評が捉えているのは、言葉の複雑さを残しながら、一つずつ聴き手に渡していく姿でした。
グループの中で短いパートを担当する時とは違い、一曲の気持ちを長く引き受けるところに、ソロで歌う髙橋の表現が見えます。
ワレワレハコイビトドウシダ 公式音源(2023年)
2024年、異なる二曲で自分の響きを残す
2024年の「halfmoon」と「moooove!!」には、同じ二人が歌う中でも、異なる声の使い方が表れています。
二曲はダブルAサイドのシングルとして発表されました。
小林武史が作詞・作曲・編曲したバラードと、Ayumu Imazuが手がけたヒップホップ色の強い曲を、同じ時期の二人が歌っています。
音楽ライターの伊藤亜希は、「halfmoon」で二人が母音の終わりまで丁寧に歌い、髙橋は甘さのある中高音に、喉を少し鳴らすような低音も合わせて響かせると評しました。
クリアな響きを保つ永瀬との違いが、旋律を丁寧につなぐ場面で分かると捉えています。
その評価で興味深いのは、二人が似た丁寧さで歌いながら、声の質感には違いが残ることです。
伊藤は、サビで一緒に歌うところにも、互いに寄り添いつつ、それぞれの声を感じさせる表現を見ています。
一人で一曲を届けるソロに加え、相手と重なる中で自分の声を生かす歌も、同時に聴かせていました。
halfmoon MV(2024年)
一方の「moooove!!」では、滑らかなフロウと、子音を強く発して一つの単語に強弱を付ける歌い方を評価しています。
母音を終わりまで扱う歌と、子音で言葉に動きを付ける歌。
曲ごとに、声の表情を作る場所が変わるのです。
moooove!! MV(2024年)
ソロで言葉を一人の歌として届けることと、二人で曲調に合わせて声を運ぶことが、並行して表れています。
相手の声と並ぶところでも、自分の響きを残しながら、その曲を歌う姿が見えてきます。
2026年、声質と歌割りを自分たちで考える
『So Honey EP』では、歌い方をスタッフと話し合い、言葉をすっと切ってみるなど、一曲ごとに細部を考えました。
髙橋自身は、曲によって声質を変えたいと説明し、ぼんやりした響きから途中で芯を出すなど、声の表情を変えることも楽しんでいます。
2024年の二曲で評価された歌い分けに加え、歌い方を選ぶ本人の考えも、具体的な試みとともに語られています。
少ししゃがれさせたり、鼻にかけたりすることも、本人が挙げた選択肢でした。
一つの声の出し方に全曲を合わせるのではなく、曲に応じて、声の質感から選ぼうとしています。
さらに、一曲の途中で響きを変えることも考えており、曲の展開と声の変化を結びつけていました。
So Honey EP クロスフェード(2026年)
「うそだよ すきだよ」では、1番を髙橋、2番を永瀬がまとまって歌う構成を選びました。
一行ずつゆったり言葉を聴かせる曲なので、一人が長く歌うほうが、聴く人も曲に入りやすいと考えたのです。
番組で披露した後には、曲の良さをじっくり届けられたという手応えも話しています。
髙橋が面白さを感じていたのは、落ち着いた大人の曲調に、弱気な恋愛感情が組み合わされているところでした。
言葉の中にある揺れを、一人の声でゆっくり追ってもらう。
長い歌割りは、ソロを目立たせるためだけでなく、この曲の物語を伝えるための選択だったのです。
二人の歌を細かく交代するだけでなく、一人の声に長い展開を任せる。
2023年のソロ曲とは違う形で、二人の曲の中にも、一続きの歌を聴かせる時間を作りました。
うそだよ すきだよ 公式音源(2026年)

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「上手くなりたい」から、研究を続ける楽しさへ
同年10月のソロ始動時には、歌への意識の変化を、継続して研究することと結びつけて振り返りました。
以前も上手くなりたいとは思っていましたが、関心がほかにも向かい、ボイトレは数回で終わることがあったそうです。
この数年は、自分で歌を研究し、定期的に習いながら、声や歌い方を楽しんで考えられるようになりました。
好きな音楽の幅が広がるにつれ、その曲を自分の歌にするには、技術も気力も必要だと感じています。
新しい歌い方を試す楽しさと、それを続けることが、本人の中でつながったのです。
本人が研究の中で考えたのは、その曲を自分に合う歌にする方法と、聴く人に届く歌にする方法でした。
好きな曲が増えたことが、練習したい理由にもなっています。
いろいろな表現への興味を持つ性格はそのままに、歌については続けることで得られる手応えを知った、と振り返っていました。
「うそだよ すきだよ」の番組歌唱を評価されたことも、本人には嬉しい出来事でした。
一度の挑戦で結果を求めるだけでなく、研究を積み重ねるうちに、少しずつ評価が届くようになった。
その経験が、続けて練習する意味を実感することにつながっています。
「swim?」で、自分が選んだ言葉を録音へ持ち込む
2026年10月5日には、KAITO名義で「swim?」を発表しました。
それまでにもKing & Princeの楽曲作りへ深く関わり、作詞作曲や、アルバムに必要な曲を考える時間を楽しんでいたといいます。
グループに求められるものを考えて作る中で、今の自分だけを出発点にしたら、どんな音楽になるのかという興味が生まれました。
「swim?」は、その年の初め頃から、ソロの最初の一曲にするつもりで作っています。
自分らしさを伝えるとともに、聴いた時に気持ちを上向かせる曲にしたいと考えました。
尾崎の言葉を歌った2023年のソロ曲とは、歌の出発点が異なります。
歌詞は、友人のラッパーであるBBY NABEと一緒に作り、その後も自分で磨いていきました。
同じ音の言葉でも、漢字の選び方で意味の伝わり方が変わることを意識し、何をどんな言葉で届けるかを考えています。
用意された歌詞をどう歌うかに加え、実際に声にして届ける言葉を選ぶところにも、自分の判断が入ったのです。
ただし、選んだ言葉をスタッフへ初めて聴いてもらう録音の場では、受け止められ方が気になり、恥ずかしさもあったと話しています。
周囲の意見を大切にする自分にとって、良いと言ってもらえたら嬉しいという気持ちがありました。
歌詞を作り、歌って見せ、他者に受け取ってもらうまでが、自分の表現を外へ出す経験になっています。
ソロを経験した後も、永瀬が隣にいるからできる表現や、King & Princeでアイドルソングを歌う喜びは大切だと語っています。
一人の曲を作ることで、二人で歌う場所の意味も、あらためて確かめていました。
続けてきた歌の研究は、ソロとグループ、両方の場で表現を広げる力になっているのです。
髙橋の歌唱は、一人で歌うこと、二人で歌うこと、そのどちらの中でも、曲に合う声を探す歩みとしてたどれます。
その響きや発音の選び方は、髙橋海人の歌い方で詳しく見ています。

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