REIKOの歌い方|力強い高音と柔らかさをつなぐ、声色と言葉の選択

『VOICE』ツアーのREIKO(2026年7月17日) REIKO
『VOICE』ツアーのREIKO(2026年7月17日)

REIKOの歌では、高い声の迫力と、柔らかく相手に近づく表情が同居しています。
その幅を知る手がかりは、音域の広さだけではありません。
どこで力を出すか、どんな言葉で響かせるか、主旋律を歌い続けるか。
本人の言葉と、曲や公演ごとに確認できる選択から、声の使い方を見ていきます。

2025年7月3日、品川ステラボール公演。

高い声が出ることと、力を使い分けること

REIKOは「366日」を歌い直した時、自分のパワーの使い方が分かってきたと振り返っています。
強弱を付けることも、その手応えの一つでした。
高音を安定させる練習と、声をどれだけ前へ出すかという表現は、本人の中でつながっています。

大きな声を持っていても、一曲の最初から最後まで使い切る必要はありません。
控える場所があるから、強く歌う場所にも意味が生まれます。
REIKOが語る成長は、最高音を一つ更新するような変化だけでなく、持っている声の力を曲の中へ置けるようになることでした。

その選択を支えるため、普段の家での練習では、曲を歌うより発声に取り組むことが多いといいます。
歌うことが好きだからこそ、上達だけでなく、声の状態を整えることも大切にしているのです。
本番で気持ちを込める姿の背景には、声を使う準備を日常に置く習慣があります。

2026年7月17日の豊洲PIT公演の「まだ」は、スタンドマイクで歌った後、本編の最後にアカペラでも届けられました。
同じ曲を、伴奏のある歌と、声だけの歌で差し出す。
歌う環境を変えることも、その声へ耳を向けてもらう選択になっています。

「No More」の高音を、迫力だけで受け取らない

2023年のテレビ特番で披露した「No More」では、澄んだ高音が、大人びた曲の表情に結び付いていました。
同じ番組の「BUTTERFLY」では、力のある歌唱も見せています。
高い声を聞かせる時にも、色気を帯びた雰囲気へ使うのか、明るい力として届けるのかで、曲の顔が変わります。

ここで大切なのは、高音という一つの特徴から、いつも同じ歌い方だと決めないことです。
声が高くなることと、曲の気持ちが強くなることは、必ずしも同じ動きではありません。
澄んだ高音という特徴を、どんな曲の表情に結び付けるか。
声そのものの性質と、その使い道を一緒に考えることで、二曲の違いが見えてきます。

2023年のミュージックビデオ。

2023年のREIKO(撮影:西村満)
2023年のREIKO(撮影:西村満)。
画像出典:画像掲載元

「君のせい」――悲しさを、声の動きにする

「君のせい」は、Matt Cabと共作したR&Bです。
REIKOが生まれた2002年頃のサウンドをヒントに、恋の苦しさを相手へ向ける曲として作られました。
穏やかに愛を差し出すだけでは収まらない感情が、この歌の出発点にあります。

2026年7月17日の豊洲PIT公演では、「君のせい」の歌い出しにフェイクを置き、伸びるファルセットも使っていました。
フェイクは旋律を細かく動かす表現、ファルセットは裏声です。
一つの音を強く押し続けるだけでなく、音の動きや声色の切り替えで、感情の揺れを見せる歌い方として捉えられます。
同じ公演でREIKOが示したのも、声には柔らかさ、硬さ、高低、質感の違いがあるという考え方でした。

悲しみを歌う声が、すべて弱々しくなるわけではありません。
言い切りたくなる気持ちと、割り切れずに残る気持ちがある。
「君のせい」のような曲では、声の強さだけを測るより、旋律がどう動き、どんな声へ移るかにも目を向けると、歌の表情を考えやすくなります。

言語が変われば、同じ曲の響きも変わる

「イタズラ」には、タガログ語版の「Hanggang Kailan Pa」があります。
REIKO自身が、この二曲は聴き比べても面白いと話しています。
本人が挙げた理由は、言語ごとに母音や子音が違い、出来上がった歌の響きも変わることでした。
同じ曲を別の言葉で歌う時、変わるのは意味の伝え方だけではありません。
声を伸ばす部分や言葉の輪郭も、その言語の音と結び付いています。

この例は、REIKOの声色を考えるうえで欠かせません。
柔らかく聞こえる、輪郭がはっきりする、といった印象を、喉の使い方だけで説明すると、言葉そのものの働きが抜け落ちます。
声の持ち主は同じでも、歌詞を構成する音が変われば、歌の手触りも変わり得るのです。

主旋律を離れ、ハーモニーを歌うこともある

REIKOは、小学校の合唱部で歌った経験もあり、ハーモニーを好んでいます。
ライブでは、主旋律の代わりにハモリのパートを歌うこともあると話しました。
毎回、録音と同じ旋律をなぞることだけが、自分の歌を届ける方法ではないのです。

「First Christmas feat. JUNON(BE:FIRST)」では、JUNONが参加し、LOARがボーカルディレクションを担当しています。
一人の声だけで完結させず、相手の声とともに一曲を作る作品です。

2024年12月の公開収録では、この曲が流れる中、REIKOとJUNONがその場で歌い始める一幕もありました。
予定された歌唱の形に収まらず、相手が歌うことで自分も歌いたくなる。
REIKOの歌には、こうした人と声を交わす楽しさもあります。

初ワンマンツアーのステージと客席(2025年/撮影:Ray Otabe)
初ワンマンツアーのステージと客席(2025年/撮影:Ray Otabe)。
画像出典:画像掲載元

踊る曲でも、声をどう届けるかを選ぶ

2025年の初ワンマンツアー追加公演では、踊れる曲である「Take It Back」を、中央に立って歌い始めました。
曲の勢いが、そのまま大きな動きになるとは限りません。
身体の動きを抑え、声へ注意を集める場面も作っています。

「CHECK」では、UKガラージのビートを取り入れ、繰り返すフレーズのリズムが曲の特徴になっています。
長い高音を伸ばす時とは違い、声をリズムの中でどう運ぶかが、曲の輪郭を作る例です。

この曲には、ステージ前に格好よく見せたい自分も表現されています。
REIKOは、自分の好きなところを確かめる気持ちで歌っていると話しました。
歌の中で見せる自信は、本人が意識して選んだ表情でもあります。

2026年のツアーに向けては、寒い時期から体力作りをしていたといいます。
もっと踊り、もっと歌えるようにするための準備でした。
動きを小さくする場面も、身体ごと盛り上げる場面も、選べる状態を用意しているのです。

REIKOの歌い方をつないでいるのは、強い声を一種類の見せ場に閉じ込めないことです。
高音には力加減を、旋律にはフェイクを、言葉には言語ごとの響きを持たせる。
さらに、一人で主旋律を歌う以外の役割も選ぶ。
声を聞かせる技術と、誰かと歌う楽しさが離れずにあることが、彼の歌の近さを支えています。

オーディションから声の選択肢を広げてきた歩みは、REIKOの歌声の変遷にまとめています。

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