THE RAMPAGEのRIKUには、力強い曲を任されるボーカリストという印象があります。
けれども、その歩みには、持って生まれた明るい声を隠そうとした時期もありました。
歌声の変遷をたどると見えてくるのは、別の声に近づこうとするところから、自分の声で曲ごとの役目を果たすところへの変化です。
高い声を、グループの中でどう生かすか
2014年にTHE RAMPAGEの正式メンバーとなり、2017年に「Lightning」でメジャーデビューしたRIKU。
川村壱馬、吉野北人とともに、三人でグループの歌を担ってきました。
一人で一曲を完結させる歌手とは違い、自分の個性と、隣で歌う二人との関係を同時に考える出発点だったのです。
デビュー時の本人は、女性曲も原曲のキーで歌えるほど、もともとの声が高いと話しています。
R&Bやポップスを好み、歌の技術でグループの表現を広げたいという意欲もありました。
高い声は、当初から自覚していた特徴でした。
一方、ヒップホップ色の強いグループに、この声は合わないのではないかという悩みも抱えます。
後年の本人によれば、話し声まで低くしようとしたものの、自分の声を封じることが負担になり、その試みをやめたそうです。
声を別人のように作るより、自然に歌う方向を選び直したことが、その後を考える大切な出発点になります。
「HARD HIT」で、力の強さから一音の動きへ
2018年の「HARD HIT」では、歌を押し出す力だけでなく、一音ごとのリズムをどう動かすかが課題になりました。
RIKUは、それまで勢いに頼っていた部分から、声を強めたり緩めたりして、曲のノリを作ることを意識したと説明しています。
歌唱指導を受けながら、声色や声質にも目を向けた録音でした。
この曲では、同じ歌詞を歌うサビも、三人の担当によって表情が変わります。
同じ言葉を大きく届けるだけなら、歌い手を替える意味は薄くなってしまう。
誰の声で、どんな強弱とリズムをつけるかを考えることが、RIKUの個性をグループの中へ置く方法になっていきました。

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「INVISIBLE LOVE」で、明るい声に葛藤を含ませる
2020年の「INVISIBLE LOVE」は、本人の声質と曲の感情が、簡単には重ならない例です。
RIKUは、自分の声が明るく聞こえやすいため、主人公の男性が持つ暗さや葛藤を出すのが難しかったと話しています。
そこで、憧れの相手を思い浮かべて感情を重ね、録音で合格が出ても、納得できなければ歌い直しました。
求められたのは、声の高さを変えることだけではありません。
明るい響きの中に、すっきり割り切れない感情をどう残すか。
曲の主人公に近づくため、声の印象と歌う気持ちの両方を調整する段階へ進んでいたのです。
舞台で覚えた、人物によって声を変える感覚
2021年の『ETERNAL』を経て、2022年のミュージカル『天使について〜堕落天使編〜』では、ヴァレンティーノとジャコモの二役に挑みます。
架空の人物と、実在した人物を演じ分ける仕事でした。
稽古中のRIKUは、声質や緊張感、身振りまで変える必要を話しています。
グループでの歌い分けは、同じ曲の中で自分の役目を探すものです。
舞台ではさらに、歌っている人物そのものが替わります。
声を強くするか柔らかくするかの前に、「誰がこの言葉を言うのか」を考える経験が加わりました。
同年のソロ曲「Stand by you」も、映画の登場人物を想像するところから作られました。
RIKUは『HiGH&LOW THE WORST X』の人物の気持ちに、自分にとっての仲間の存在を重ねて歌詞を書いています。
録音で描こうとしたのは、譲れない思い。
役の感情を借りながら、自分の経験も歌に入れる、ソロでの入口になりました。
2023年ごろから、力みと三人の関係が変わる
2023年の「Summer Riot 〜熱帯夜〜」では、大人っぽさと情熱をどう出すか、最初は難しさを予想していたそうです。
ところが、歌ってみると無理なく曲の雰囲気に入れた。
RIKU自身は、近年は頑張りすぎずに歌うことを心がけ、積み重ねた経験が自然に出る感覚を話しています。
三人の関係にも変化がありました。
2024年に振り返ったRIKUは、以前は三人の声がぶつかり合っていたのが、歌い、話し合ううちに互いを補えるようになったと説明しています。
特に2023年ごろから、その変化を感じていたそうです。
自分がどれだけ目立つかだけでなく、隣の声を生かした結果として、自分の声も届く関係になっていきました。
2024年の舞台『前田慶次 かぶき旅』では、言葉の解釈も深まります。
怒りに見える言葉が、場面によっては喜びを含む。
演出家や共演者と考えたそうした経験は、歌詞を表面的な感情だけで歌わないための材料になりました。

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2025年の「蜘蛛の糸」では、仮歌の歌い方が、まだ試したことのない方向を示してくれました。
普段のロック寄りの表現とは違う、ヒップホップの感覚で声を使う録音です。
舞台を終えた直後でもあり、簡単ではなかったと本人は振り返っています。
経験を重ねて自然に歌える場面が増えても、未知の歌い方へ挑む余地は残っていました。
ソロでは、三人の間を埋める必要がなくなる
2025年にはソロ公演「RIKUのMUSIC TIMES vol.1」を開催します。
一人でライブを成立させることは、デビュー前から抱いていた目標でした。
グループでは担当する場面が回ってきますが、ソロでは最初から最後まで、自分で聴き手との関係を作る。
長く温めてきた願いを、ようやく実際のステージで試す機会になったのです。
その年の「This is me 〜約束の詩〜」では、事前に十分練習したうえで、録音時には伴奏へ身を任せて歌いました。
本人が納得するテイクを録れたら、次へ進む。
細かく飾り立てることより、歌っている今の自分を残す選択です。
自分をどう見せるかに悩んだ初期から、自然な声で何を伝えるかへ、問いが移っています。
ビルボードライブで選んだのは、生バンドとの公演でした。
観客が近い場所で、録音した音源に頼らず、声と演奏で届けたいと考えたのです。
一人へ視線が集まる状況を経験し、緊張そのものも楽しもうと思える余裕が出てきた、と公演後に語っています。
自然体を知ったあとも、強い声を選べる
ただし、その後の歌が、すべて穏やかになったわけではありません。
2026年の「BLACK TOKYO」では、RIKUはロックの感覚を前へ出し、叫ぶような勢いで歌ったと話しています。
強い伴奏に負けず、ライブの熱を持ち込むための選択でした。
自然に歌う土台ができたことと、曲に必要な強さを出すことは、両立しています。
同年のミュージカル『RENT』では、ロジャー役として、さらに違う歌の理由へ向き合います。
「One Song Glory」の稽古で考えたのは、観客を元気にするためというより、人物自身のやりきれなさを吐き出すことでした。
日ごろのグループ活動とは異なる感情の向きが、歌の出発点になっています。
同じ力のある声でも、客席を引っ張るために使うのか、自分の内側をこぼすために使うのかで、意味が変わります。
声の変化を、音量や高さの成長だけで測れない理由が、ここにあります。
RIKUの歩みを振り返ると、明るい声を別の声へ作り替えることより、その声を置ける場所が増えてきたことに気づきます。
三人の歌では互いを生かし、ソロでは自分の言葉を届け、舞台では人物の心から歌い出す。
その選び方を知ると、力強さの中にある細かな違いも、追いかけたくなります。







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