兎田ぺこらの歌い方|通りのよい高音と、台詞から歌へつなぐ声

2026年1月18日、3期生ライブDAY2で「最強女神†ウーサペコラ」を披露する兎田ぺこら シンガー
2026年1月18日、3期生ライブDAY2で「最強女神†ウーサペコラ」を披露する兎田ぺこら

兎田ぺこらの歌では、メロディと一緒に、その人の話し方や表情も伝わってきます。
けれど、普段の声を録音に持ち込むことと、ただ普段どおりに話すことは同じではありません。
高音の個性、台詞の自然さ、曲の中で強調する言葉。
制作側の説明と具体的な歌唱場面から、その使い分けを考えます。

高い音でも、自分だと分かる声を保つ

Blue Journeyのプロデューサーは、ぺこらの特徴として、よく通る高音とマイクへの乗りのよさを挙げています。
さらに、音域が変わっても本人らしい声を保てる点を評価しました。
複数人で歌う場面にも、かわいらしい丸みが加わるという捉え方です。

ここで注目したいのは、高い音が出ることだけではありません。
低いところと高いところで人物像がばらばらにならず、同じ人の言葉としてつながること。
その声が、深刻なテーマを含む曲にも親しみやすさを残すと、制作担当者は考えています。
明るい声色は、楽しい歌だけのためにあるわけではないのです。

例えば、2023年9月の「不純矛盾」は、4人で歌う軽快な曲でした。
跳ねる鍵盤のリズムに歌が乗りながら、作品の世界には明るさだけでは割り切れない部分もあります。
声まで重く塗りつぶさずに、曲の陰りを運べる。
そうした聴きどころを、ソロの楽曲と並べて考えると、声色の役割が分かりやすくなります。

「不純矛盾」スタジオ録音の歌い分け映像。

「いいわけバニー」は、台詞とまっすぐな歌を組み合わせる

「いいわけバニー」で、ナナホシ管弦楽団が意識したのは、全編の賑やかさと、伝えたい部分をまっすぐ歌うことの両立でした。
台詞の多い曲でも、すべてを同じテンションで押し通す設計ではありません。
言葉の表情が次々に変わる部分と、気持ちを旋律に乗せる部分があることで、一人の女の子の感情としてまとまります。

また、この曲には初期の自己紹介ラップのフレーズも取り込まれています。
作家は一度は外そうと考えながら、ファンの立場なら聴きたいはずだと残しました。
曲の中に、聴き手がよく知る声のリズムを置く工夫です。

2023年12月6日、初ソロライブの「いいわけバニー」
2023年12月6日、初ソロライブの「いいわけバニー」。
画像出典:画像掲載元

「ぺこらんだむぶれいん!」を披露した2021年の『Bloom,』でも、元気な歌声と身体の動きが一体となった表現が印象を残しています。
同じ舞台での「ぺこみこ大戦争!!」は、さくらみことの掛け合いが中心。
一人の声を長く聴かせるだけでなく、声を受け渡すタイミングにも、その人らしさが出る場面です。

笑い声にも、録音ならではの調整がある

「全人類 兎化計画!」の収録で、本人が特に意識したのは、台詞や笑い声の自然さでした。
録音では緊張して声に違和感が出ることもあり、前山田健一のディレクションが、自分らしい表現を出す助けになったと話しています。

台詞、コール、笑い声も曲の一部になるため、歌と話し声の切り替えで、演技だけが浮かないことが大切になります。
普段らしく聞こえる声にも、制作中の調整があるのです。

客席へ投げる声と、一緒に歌う声

初ソロライブへ向けて、本人はコールのできる曲を多めに求めました。
会場にいる人と配信で見る人が、一緒に盛り上がれるライブにしたかったからです。
「最強女神†ウーサペコラ」や「昇天直前Love it LIVE」の呼びかけには、その目的があります。

2026年の3期生ライブ2日目、「最強女神†ウーサペコラ」では、ぺこらの煽りに客席が繰り返し応えました。
同じ日の「Baby Sweet Berry Love」では、不知火フレアと、いつも以上にかわいらしさを意識した歌唱も披露しています。
客席を引っ張るときの声と、相手とかわいさをそろえるときの声。
同じ公演でも、声の見せ方には違う役割があります。

2025年の全体ライブで「最強女神†ウーサペコラ」を歌った際も、最初の言葉だけで客席が曲を察して盛り上がりました。
声の入り方そのものが、曲の合図として共有されているわけです。
高音を長く伸ばす場面だけでなく、短い呼びかけで相手を動かす力にも、この歌手の持ち味があります。

「最強女神†ウーサペコラ」スタジオ録音。

バラードでは、言葉をメロディへ丁寧に渡す

2023年12月の「キミと見たい景色」は、初ソロライブの中でも、言葉を大切に運ぶ歌唱が際立った場面でした。
ミドルバラードの中で、一つひとつの言葉を旋律へ乗せる。
賑やかな台詞で場面を動かす歌とは、聴き手との距離の作り方が違います。

同じ公演の「神っぽいな」では、続けざまに現れるフレーズを、かわいらしい表情で歌いこなしています。
言葉が次々に進む曲と、一つの言葉に耳を留めてもらう曲。
その対照が、ゆったりした歌の表情も引き立てます。
言葉の届け方の違いが聴きどころです。

「キミと見たい景色」アルバム収録版。

2023年12月6日、初ソロライブで「神っぽいな」を披露する兎田ぺこら
2023年12月6日、初ソロライブで「神っぽいな」を披露する兎田ぺこら。
画像出典:画像掲載元

本人もアルバム制作では、アップテンポ以外の自分を見せたいと考え、バラードを希望していました。
曲調を広げることは、速さの違う伴奏を選ぶだけでなく、その声で何を伝えるかを選び直すことでもあるのです。

共演相手が変わっても、声の個性は使える

ベールズとの「HIDE & SEEK ~なかよくケンカしな!~」は、二人のいたずらや競争のような関係から発想された曲です。
ベールズは、ぺこらの声と歌い方にも似合う作品を意識しました。
よく知る相手の声に何が合うかを考え、その組み合わせ自体を曲の楽しさにしているのです。

2026年にカバーした「美少女無罪♡パイレーツ」では、明るい歌声に、いつものぺこらとは少し違う人物像が重なりました。
相手の曲を歌うことは、声まで相手そのものに変えることではありません。
もともとの声色と、演じる人物との組み合わせによって、別の面白さが生まれます。

こうした声を出す前の準備として、本人は肩回しなどの簡単なストレッチも挙げています。
身体が硬いままでは、配信で声や元気を出しにくかったという、自分の経験から続けている習慣です。
特定の高音技法を語ったものではありませんが、声を出すときの状態にも気を配っていることが分かります。

兎田ぺこらの歌い方は、通る高音だけでも、特徴的な台詞だけでも説明しきれません。
自分らしい声を保ち、曲の中で言葉の目立たせ方を変え、相手の反応を引き出す。
声の個性を消さずに、使いどころを選ぶことが、その歌を支えています。

初期からの制作と舞台の歩みは、兎田ぺこらの歌唱変遷をご覧ください。

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